【怪魚シイラ】味は“まずい”のか?それとも・・・

シイラ(鱰)の背鰭(背ビレ) お魚一覧

シイラは恐ろしげな見た目に反し、食材として世界的に認知された魚です。

シイラを実際に食べてたところ、見た目とのギャップということもあるでしょうけど、知らずに出されたら高級魚かと思えるほど淡白で上品な味でした(個人の感想)。

でもはっきり言って、外見から“美味しくないだろう”って判断するのは当然な気はしてます。誰もが持っている“食べず嫌い”撲滅のためにも、食味を経験した筆者が味のレポートや美味しい食べ方を考えてみます。

さらにオマケ的に、シイラに関する豆知識も少し書いてます。

シイラの味って“まずい”の?

正直言って“強そう”に見えても“美味しそう”には見えないシイラという魚。しかし、普通に食用魚であるのはもちろん、世界中で幅広くシイラは食用として利用されています。地域によっては高級魚として扱われるほど美味とされます

ただし、「食中毒リスクがあるシイラ」で紹介している通り、安全に食べたいところ。

その上でシイラというお魚、いったいどんな味わいなのでしょうか?ぶっちゃけマズいの?

シイラはどんな味?

シイラを食べてみた筆者個人の感想を紹介すると、シイラは白身魚ですが身はちょっと赤みがかっていて、味は意外と淡白。思ったよりはあっさりしているもののちゃんと旨味があり美味しい魚です。

筆者はフライパンで焼いて食べたのですが、大きな魚だからか繊維はしっかりしていて、“硬い”までは行かないけど、そこそこの噛みごたえはありました。でも外見からイメージするほど硬くはなく本当に食べやすい魚だというのが正直な感想です。

程よい食感で淡白で上品な味に驚きました。ハワイでは高級魚だそうで、納得です。

刺身は断念。リスクがあるので筆者は生食はオススメしません。しかし、シメてすぐの刺身は絶品らしいです。

生食オススメしない!と言った側から身も蓋もないですが、確かに、実際に捌いてみるとこのシイラという魚、赤身で脂肪分が少なく、加熱するよりは刺身で食べると美味しそうな身質をしていることは事実。様々な魚を見てきた筆者にはそう感じられます。チビキ系とブリの間みたいな感じ。

さらに、これまた意外ですがシイラの鮮度落ちは早いです。刺身でも火を通してでも、すぐに食べるのが美味しいと言えるでしょう。フライやフリットに適した魚かと思います。唐揚げとかボリューミーで良いかもです。

とにかく、多少難はありますが外見やその毒性に似合わず美味しい魚なのは間違いありません。

世界一“まずい”魚は何?

事前の知識なしで、「シイラは世界一“マズい”魚だよ」と言われたらアッサリ納得しそう。失礼だけどそれくらいシイラの見た目は美味しいとは思いづらいです。でも、世界中で認められて利用されるほどに味の良い魚なのです。

余談ですが、「世界一まずい魚は何ですか?」という疑問にも触れておきましょう。

よく言われるのは、「ターポン(イセゴイ)」や「イスズミ」など。しかし筆者の意見ですが、簡単に「マズい」とレッテルを貼るのは良くないと思います。

魚は同じ種でも味わいに大きな個体差が出る場合があり、例えばボラメジナなどは美味しい個体も臭みが強い個体も両方います(※特にメジナ、臭いのは本当に臭いです)。あるいは、ソウダガツオは刺身が抜群に美味しい魚だけど、鮮度が悪いと食べれたものではなく、そのうえ鮮度落ちが異常に早いので、美味しい状態で食べれるハードルがかなり高い魚なのです。

つまり何が言いたいかというと、美味しい魚もマズい魚も、生息場所や食べる時期、鮮度などの影響を受けた結果である可能性が高いのです。マズいと言われたからと鵜呑みにしてしまうのはもったいないことです。

シイラ(鱰)の顔面

シーラカンスとの関係は?

シイラシーラカンス。従兄弟みたいなものなのか・・・。いや、まさかとは思うけど・・・。調べてみたので興味のある方はシイラとシーラカンスの違いの記事をどうぞ。

シイラという名前は日本でのみ使われているようです。漢字にすると「鱰」。呼び名の由来は、「身のない稲の籾(もみ)」を表す「秕(しいな)」から来ているそうです。

なぜ「身のない籾」なのかというと、シイラは皮が硬くて身が薄い。その様がちょうど中身がない稲の籾に似ているからってことみたいです。

確かに、長い体の割には薄いですかね。

正面から見たシイラ(鱰)

まあ体長の割にはってことで。

ちなみに、シイラの名の由来である「身のない稲の籾(もみ)」という表現、縁起が悪いということで、逆の意味の「万作(マンサク)」という名前で呼ぶ地方もあるんだとか。地方名というのも調べてみるとなかなか面白いですよ。

シイラの背びれは特徴的

もう一つ、書いておきたいのが背びれの特徴です。

シイラ(鱰)の背鰭(背ビレ)

・・・こうですよ。

太古の雰囲気が漂っていますよね。

面白いのが、この背びれは触ってみると全然“トゲ”っぽくないのです。触りどころが悪くてもケガしません。どちらかというと“毛”に近い感じ。

そしてさらに面白いのが、背びれ付近のウロコ。

シイラ(鱰)の鱗(ウロコ)

分かりますかね?

腹側の方は細かくて丸い普通めのウロコなんですが、背びれに近い方のウロコは針状というか、むしろ“毛”のような形状をしているのです。

エチオピアという、シイラに負けないくらいコワモテの魚がいるのですが、やはり共通した針状のウロコを持っていました。

これは、他の魚にはなかなか見られない特徴ではないでしょうか。シイラの祖先は、もしかしたら毛が生えている魚だったのかもしれませんね。

マヒマヒ(強い強い)だから、戦いの痕?

シイラのハワイ名「マヒマヒ」は「強い」という意味があるとか。

雄(オス)は頭が隆起して、この写真よりさらにイカツイ出で立ちとなるようです(写真はメス)。

頭にたくさんの傷がありました。

傷だらけのシイラ(鱰)の頭

これは漁獲の時、あるいはその後についたものかもしれませんが、この傷のような痕を見て、この魚が生きていた頃の海での生活を想像せずにはいられませんね。

シイラは見た目通りの肉食魚で、トビウオなどを捕食対象としているようです。

飛んで逃げるトビウオと、2メートルに達する体で海面をジャンプしながら捕らえようとするシイラの映像はめちゃくちゃ見応えありそうですね。

でも、実際に海に潜って会いたくはないです。なにせ「死人喰らい」ですから。

シイラと「ヤマモモ」の関係

ヤマモモとは、「ヤマモモ科」の植物または果実の名前で、マイナーなフルーツですが、甘味が強く野生的。

高知では、ヤマモモの葉付きの枝を利用したシイラの漁「シイラ漬漁」が行われるそうです。

シイラの、浮遊物に群がる習性を利用した漁法で、なぜヤマモモの枝かといえば葉が取れ難いためだとか。

意外な共通点でした。

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