「ヤマモモ(山桃)」とは、「山桜桃(ユスラウメ、またはユスラと読む)」の別名でも呼ばれる低木のこと。または、その木になる果実の呼び名。
日本にも古くからある植物ですが、中国産が有名で樹齢千年に及ぶ古木も存在するとか。
暖かい地域に多く、山などに自生したり庭木にされたりして、割と地域密着型で馴染みのある植物だそうです。
そんなヤマモモの実を一体どうするかとういうと、食べます。
実は食材として、(地域差もあるかもしれませんが)昔から認知された存在。
今回は、このヤマモモ(山桃)の実について調べたことを、備忘録も兼ねて書いておきます。
ヤマモモ(山桃)とは??味と食べ方と豆知識
ヤマモモは「山の桃」と書きますが、誰もが知ってる「桃」とは見た目も似てませんし味もかなり異なります。
味の表現を色々と考えて思いついたのがこちら。
「山で遭難して2日目くらいで目の前にヤマモモの木が現れたらテンション上がる味」
・・・ちょっと伝わりづらかったでしょうか。すみません。
普通の桃(白桃とか)の味が100点なら、ヤマモモは72点くらい。私的には決して不味くはないと感じました。
熟し具合にもよりますが、酸味、甘みとも両方強く、割合は「酸味6:甘み4」もしくは「5:5」くらいで、意外に甘みが強く、まぁまぁ美味しいです。
ヤマモモは「桃」じゃなかった!
ヤマモモには、「桃」のような優しくて爽やかな風味はあまりなく、「野性味」が感じられます。
言い換えれば青臭さとでも言いましょうか。独特の風味があるフルーツです。
言わば、「山」を想起させる感じ。生で食べるよりは加工したほうが美味しさが増す気がしましたね。
ヤマモモ(山桃)と「桃」の味が全く違うのは、両者、生物学的に遠くかけ離れた植物だからです。
- 「桃」はバラ目バラ科
- 「山桃」はブナ目ヤマモモ科
ヤマモモには、大きな種が真ん中に大きく一つ入っている点など、桃と似た特徴もありややこしいですが、ヤマモモ(山桃)と「桃」は別種。
では、美味しく食べる方法は?
オススメの食べ方は次の3つ。
ヤマモモ(山桃)のコンポート
直径5センチくらいの大きさなら、コンポートで食べるのが一番簡単だと思います。
山桃は種が大きいので、あまり小さな実だと食べ高がありません。しかも甘みが弱く酸味が強いので、できるだけ大きな実のものを使いましょう。
ヘタをとってよく洗ったら、鍋にヤマモモを入れてヒタヒタくらいの水と砂糖を入れて火にかけます。

沸騰したら火を止め、常温で冷ませば完成。砂糖は味見しながら適宜追加するスタイルで。水の代わりに赤ワインを使っても、色味も酸味も際立って美味しかったですよ。
ただ、煮込みすぎに注意。実は意外と崩れやすく、煮込みすぎると実の表面の細かくポツポツとした果肉が崩れてしまいます。
コンポートなら冷蔵庫で一週間くらいは保ちます。
火を通すことで青臭さが薄れ、“ほんのりと”梅に似た風味がし、爽やかな甘みと酸味でなかなか美味なフルーツであることに気付きます。
他にない味なので、旬の季節は割と楽しめると思いますよ。
ジャムにする
ヤマモモは、甘みも酸味も強いのでジャムにピッタリだと思います。
独特のワイルドな風味も手作り感を演出してくれそうです。
青臭いといっても野菜のような主張はしてこないので、拒否反応を示す人は少ないのではないでしょうか。
問題は種。
処理が非常に面倒で、生の状態では取りづらいです。

実の量が多いなら、種のまま鍋で煮詰めてそのまま粗目のザルで裏漉しすれば簡単です。
ヤマモモ(山桃)酒
梅酒を作るのとほぼ同じ手順ですね。漢名では「楊梅(ようばい、ヤンメイ)」と呼ばれるので、あながち梅と似た加工法が多いのかもしれません。
詳しい作り方は割愛しますが、焼酎を使って作るようです。
浸けた後の山桃の実は、アルコールを飛ばせばジャムなどに再利用できて一石二鳥。
保存も効くし、作り方も単なので、まずは山桃酒を作ってみると良いかもしれませんよ。
シロップとジュース
ヤマモモシロップは「砂糖」とヤマモモの実だけで作れて究極的に簡単です。
よく洗ったヤマモモと、同じ重量の砂糖(または3分の2くらい)を瓶の中で混ぜるだけ。10日も放置すれば、砂糖が溶けてヤマモモの風味をプラスしたシロップの完成です。
薄めてジュースに、お酒に、実を潰してドレッシングやヨーグルトに混ぜて食べたり、様々な用途に使えて便利ですよ。
さらに、シロップを薄めてジュースが作れます。炭酸で割っても良いですし、牛乳でも。
好みの割合で作ることができて栄養満点ですね。
先に紹介したヤマモモのコンポートも、似たような使い方ができるかも。
ちなみに、ヤマモモの実ができるのは、伊豆高原地区が最北端だそうです。
伊豆高原の伊豆急行線では、やまももドリンクが自販機で売られているそうです。これは興味深い!
伊豆高原地区が実のなる最北端と言われているため、伊豆急行線の各駅では自動販売機で「やまももドリンク」というヤマモモの清涼飲料水が売られている。
wikipediaより
苗木、加工品を通販で一挙紹介!
紹介したジャムやシロップなど、通販でも買えるので紹介しておきます。
土佐の果物 香るジャム
万大醸造 やまもも酒
ヤマモモの苗木も販売されてます!
実を付けたいのならば当然、雄木(オス)と雌木(メス)を両方植える必要があります。
しかし、実を付けてしまうと下に落ちて汚れるとか、鳥や虫が湧くとか、むしろ観賞用だけってことなら雄木だけでも良いでしょう。
最後に、ヤマモモの”うんちく”を少し紹介しておきます。
海水魚”シイラ”とヤマモモとの関係
コワモテ海水魚「シイラ」とヤマモモの間に、意外な関連性がありました。
高知などで行われている「シイラ漬漁業」と呼ばれる漁では、ヤマモモの葉付きの枝を利用するそうです(詳しくはこちら)。
シイラは浮遊物に群がってくるという習性がありますが、まさにその習性を利用した漁法で、なぜヤマモモの枝かといえば葉が取れ難いため。
また、それだけヤマモモの木が住民にとって身近な存在ということかもしれません。
シイラも暖かい地方に住む魚ですし、ヤマモモとの意外な繋がりがありました。
ヤマモモの効能と”花言葉”
ヤマモモの実にはブドウ糖とクエン酸が多く含まれています。
ブドウ糖は体を動かすエネルギーに、クエン酸は「糖」のエネルギー変換を助けたり、カルシウムやマグネシウムを吸収する補助的な役を持ちます。
そして、実の濃い赤色は「アントシアニン」。ポリフェノールの一種で、平たく言えば疲労回復に役立ちます。
さらに、ヤマモモの樹皮は下痢止めなどの効能を持つ生薬にも加工されるとか。
まさに山で遭難した際に見つけたらありがたい食べ物と言えそうですね。
そんなヤマモモの花言葉は「教訓」、「一途」、「ただ一人を愛する」です。
見た目の色のゴージャスさや小粒な可愛さを良い意味で裏切るような素敵な花言葉ですね。