ソウダガツオは、鰹節(かつおぶし)の一種である宗田節(そうだぶし)の原料となる魚です。
加工品に回されることの多いソウダガツオですが、実は細かく見ると「ヒラソウダ」と「マルソウダ」の2種に分かれています。
宗田節が有名である一方で、ソウダガツオは刺身でとても美味しいらしい!
筆者は、鮮度が悪くなさそうなヒラソウダを入手したので食べてみることに。
これがなんと劇的に「まずい」・・・。
鮮度は悪くないはずなのになぜ!?
どうして刺身が美味しくなかったのか。どうすれば食べれるのか。今回は、そんな話を書いてみました。
結論から書くと、コンフィという調理法を使えば激ウマに変化。
(ヒスタミン中毒にはくれぐれも要注意!)
詳しく説明していきましょう。
ソウダガツオの刺身が「まずい」時の食べ方
「刺身で食べる魚はヒラソウダが最強という説」
誰が言ったか、割とネット上でも散見されます。数ある刺身の中で最強ってすごいですよね。
筆者も、これは!ということで探していて、ある時、手に入れたソウダガツオ(たぶんヒラソウダ)を刺身で食してみました。鮮度はそこまで悪くないはず。
・・・が、なんとこれがまずい。
いや、まずいというよりは、「血の味が強烈」という表現が適切でしょうか。要するにハンパなく血生臭いのです。
筆者は、魚の赤身がダメという人間ではなく、カツオの漬け丼は好物の一つ。
ある程度は耐性のあるにも関わらず、一瞬で「これは食べちゃダメなやつ」と本能的に拒否するほどの強烈な血生臭さ。
決して、痛んでいるとか腐っているとかではなく、ひたすら”血”の味しかしない・・・。
ソウダガツオ、“まずい”のはナゼ?
原因はおそらく、漁獲時の処理が不適切だったのでしょう。
後で調べると、ソウダガツオは(カツオに輪をかけて)猛烈に鮮度落ちが早い魚であることがわかりました。
そのため、漁獲した時に1分1秒でも早く、血抜きなどの適切な処理が必要な魚であるようです。
筆者が食べたヒラソウダは、その処理がされていない「野締め」の状態だったということですね。
扱いの難しい魚です。
ソウダガツオの生食は、産地にのみ許される特権なのかもしれません。
ソウダガツオのように、鮮度の扱いが難しかったり、味は良いのに流通量が安定しない魚は産地に近い漁業関係者の中で消費される場合が往々にしてあるようです。
ソウダガツオはヒスタミン食中毒に注意
ソウダガツオ(ヒラソウダ)など赤身の魚は、ヒスタミンによる食中毒に注意が必要です。特に鮮度落ちが劇的に早い魚はなおのこと。
もし、食べた時に舌がピリピリとした場合は、ヒスタミンが発生している可能性があるので、食べるのをやめましょう。
ヒスタミンとは?
- ヒスタミンは化学物質。ヒスチジンを多く含む赤身魚は、条件が揃うと発生する。
- 口の周りなどが赤くなったり、じんましん、おう吐、下痢などの症状
- 重篤な場合は、呼吸困難や意識不明になることも!
- 赤身魚を常温で放置はNG!冷蔵や冷凍でも早めに食べること!冷凍ものを解凍する時でも、常温解凍はダメ!
- 火を通してもヒスタミンは分解されない!「〆た魚は早めに食べる」が鉄則。
筆者も、明らかにヒスタミンが発生している食材を食べたことがありまして、舌がピリピリして、普段の味覚で感じたことのない初めての感覚だったので不思議に思ったものです。
「辛い」という感覚とは少し違い、「しびれる」という表現が近いかもしれません。
刺身NGのソウダガツオは「コンフィ」にする!
ソウダガツオの刺身のクオリティをめっちゃ期待していたのですが、ちょっと残念な結果に終わってしまいました。
今回のように、ヒスタミンは大丈夫っぽいけど刺身はムリ。そんな時はどうやって食べるのが良いのでしょうか。食べ方の最適は?
それはコンフィです。
コンフィとは、フランス料理を素とする料理法で、簡単に言えば、素材を油脂に浸して低温、長時間の火入れをする調理法。
和訳だと「オイル煮」とかになるのでしょうか。ただし、「グツグツ煮る」はダメ。
「油がフツフツ煮立っている」くらいのニュアンスで、温度で言えば80℃〜90℃後半をキープしてじっくり火を入れます。
温度が高すぎるとカラッと唐揚げになってしまいますので。
ソウダガツオをコンフィで食べてみたところ、刺身では体が拒否するほどの味だったけど、嘘のように激ウマでした!
「激マズから激ウマに!」
ソウダガツオが刺身で旨いというのも疑いに変わっていましたが、元々のポテンシャルは相当なものだと思われます。
「刺身にすると非常に美味しい」との情報があることや、昔から鰹節の原料として使われる理由も辻褄が合うと、一人で納得したのでした。
さておき、今回作ってみた自家製コンフィがこちら↓


まぁ見た目はアレですが。
市販のシーチキンを想像していただければ良いと思います。ただし中身はシーチキンとまるで違います。
パサパサせずしっとりと、そして味も濃厚で、パスタの具材に、ご飯のお供にとてもよく合います。
作り方を簡単に書いときます。
ソウダガツオのコンフィ作り方
コンフィは難しい調理法ではありません。ただし面倒で時間もかかります。
大まかに言えば、内臓を取り、塩をふって、オイルで煮る。それだけ。
詳しく見ていきます。
下処理
3枚に卸して全体重量の1.2パーセントくらいの塩をふって冷蔵庫で一晩置いておく。もしくは、3枚卸しにしなくても、内臓を取っただけの丸のままでも良いです。
丸のままの場合は、塩はほんの少し多め(全量1.3パーセントくらい)にしましょう。内臓は必ず取り除きます。
火入れ
オリーブオイル(身が浸かるくらい)で超弱火で6時間ほど煮ます。骨つきでも大丈夫。
オイルで煮る時は、フツフツと気泡が出るくらいの温度を保つこと(80度〜90度後半くらい)。
温度が上がりすぎるとカラッと揚がって別の料理になってしまいますので注意。ホールのブラックペッパーとローリエを入れて煮るとなお良いですよ。
ちなみに、コンフィで使ったオイルは濾し取って、炒め物の油や別の素材のコンフィなど(ジャガイモや人参などいかがでしょうか)に再利用できます。
めちゃくちゃ美味しかったのでオススメです。
ソウダガツオの毒性とは
ソウダガツオは鮮度落ちの早い魚で、鮮度が悪化すればヒスタミンの毒性が高まります。
厄介なのは、火を通してヒスタミンは分解されないということ。
当たり前のことですが、世の中のだいたいの食材は鮮度が悪くなれば食中毒のリスクが高まります。特に、魚介類は鮮度落ちが早いので気をつけて取扱いましょう。
もう一方で、ソウダガツオにもアニサキスが寄生しているリスクはあります。
寄生虫による食中毒リスクも無視できないということですね。
アニサキス症も鮮度の悪化と相関関係にあるため、いずれにしても鮮度要注意です。
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