イトヒキアジ入手しました。けっこう珍しい魚だけど、ちゃんと食材として流通してます。
SDGsとか持続可能性とかの単語をよく耳にする昨今、「サステナブルシーフード」という言葉が注目されているとか。イトヒキアジは未利用魚や低利用魚とされている魚で、サステナブルな可能性を秘めた食材かもしれません。
ひと昔に獲れまくっていた魚が著しく減っているので、もっと視野を広げ幅広い魚介類に対し食材としての価値を見出そうとする動きに注目が集まっているというわけです。
イトヒキアジのポテンシャルはどんな感じでしょうか?
【珍しい魚】イトヒキアジは刺身でもイケるのか?
イトヒキアジは「アジ科イトヒキアジ属」の魚。誰もが知っている「アジ」のお仲間です。
アジは赤身魚なのでイトヒキアジも赤身なのかというと、そう単純でもありません。
そもそもアジは白身と赤身の両方の特徴を持つ魚と言われており、アジの仲間でありながら白身魚に分類される魚もいます。
食材として、イトヒキアジの分類はどちらなのでしょうか?
イトヒキアジは白身か赤身か“分からない”
ネット情報を漁りましたが、イトヒキアジが白身か赤身か不明でした。
白身魚と赤身魚の分け方についてサゴチの過去記事で触れたことがありますが、魚が白身か赤身かは、簡単に言えば体に含まれる成分によって明確に分けることができます。
体の成分は魚の種類によってバラつきがあって、数値を簡単に二極化できないでしょうから、たぶんギリギリ白身、ギリギリ赤身のような切り分けの仕方になるのだと思います。
ひょっとしたら、魚によっては同じ個体によっても調べてみたら赤身と白身に分けられる魚がいるのかもしれません。例えば、同じアジでも昨日釣ったやつは白身で今日のは赤身だね、みたいな。あくまで筆者の想像ですが。
イトヒキアジが白身か赤身かネット上でハッキリ言及している記述は見つけられませんでしたが、研究機関とかで分析すれば簡単に分かる問題なのかな?と感じています。
その上で、イトヒキアジは“たぶん”白身魚じゃないかなと個人的には思っています。
なぜかというと、同じアジ科の「ロウニンアジ」は白身魚とされていて、イトヒキアジの体の特徴がロウニンアジに超似てるから。
体の成分とかは、体の形がそっくりなら似てくるのかな?という安直な発想です。
一つ言えるのは、イトヒキアジを切り身にすると白身か赤身か判別が難しいということ。
切り身にしてしまうと、まるっきり白濁した白身魚と変わりないので、プロでも見極めは難しいでしょう。
イトヒキアジは刺身でも美味!
イトヒキアジを食べると、味もやはり白身のような赤身のような感じでした。
よく言えば「良いとこどり」的な、まさにアジの仲間だなと思わせてくれる味わいです。鮮度によりけりですが、イトヒキアジは美味しいので刺身でも全然食べれます。
刺身だけでなく、フライやムニエルなど、マアジの美味しい食べ方はだいたい適用できると思います。
イトヒキアジは幼魚と成魚でだいぶ様相の変わる魚。味は幼魚と成魚そんなに変わらないらしいですが、後述する食中毒リスクの観点から、なるべく若い個体を選んだ方が良いと思います。
筆者が食べた個体は、中くらいの成魚。このくらいがちょうど良いのではないでしょうか?
1mくらいに大型化する魚で、巨大なイトヒキアジには注意が必要。
イトヒキアジは“シガテラ毒”に注意
イトヒキアジは、南国系の魚に多い「シガテラ毒」に注意が必要。
シガテラは見ただけでは発見が難しく、指標として言えるのは、対象魚について老成した(大きく成長した)個体を食べないようにすること。
イトヒキアジはサイズがデカくなるロマンのある魚ですが、成魚を食するのは気をつけた方が良いかもしれません。
名前の“イトヒキ”は、幼魚のときに背ビレと腹ビレの先端が糸のように長く伸びているから。
飼育は難しいらしいですが、幼魚のイトヒキダイは観賞用としても利用されるとのこと。
大人になると、背ビレ腹ビレの“糸”は短くなるようです。
体長は最大で1メートルを超え、アジ科の中ではブリ類を除けばかなり大きくなる部類の一つ。ちなみに、いわゆる有名なアジ(マアジ)も実は40cm前後まで成長します。

筆者が入手したイトヒキアジは40cm前後のサイズでした。




大きな目もイトヒキアジの特徴です。幼魚は水面近く、内湾にもいますが、成魚は水深60〜100メートルの範囲で活動しています。
体の迫力と比べて、繊毛のような極小の歯を持つようです。もしかしたら餌は小さいものを食べているのかもしれません。肉食です。
アジの特徴である「ぜいご」も持ち、マアジのものと比べると体の大きさの割に控えめな印象。
尾びれを繋ぐクビレは細く、速く泳ぐ魚の特徴をしています。実際に泳いでいるところを見たことがありませんが、ずんぐり見た目に反しスピードのある魚だと想像できます。