「春」を感じる食材と言えば、タラノメやフキノトウなどの山菜、アサリやホタルイカなどの魚介類が思い浮かびますが・・・、
春によく獲れる魚である「サクラマス」の存在を忘れてはいけません。
鮭(サケ)や虹鱒(ニジマス)などと同じ「サケ科サケ属」の魚で、春を代表する食材の一つと言えるでしょう。
今回はそんな「サクラマス」について、筆者の知りうる情報に加え追加調査した内容を紹介していきます。
サクラマスとは?鮭(サケ)や山女魚(ヤマメ)との関係






「鮭(サケ)」は、秋ザケの記事で触れた通り、見分け方、地方名など呼び方において超ややこしい魚。
サクラマスとの関係は?と言えば、サケとサクラマスは同属なのです。
しかし、サクラマスは春の時期に獲れる「鮭(サケ)」の別名ではありません。
けっこう勘違いしている人は多いかも。かく言う筆者も、サクラマスって鮭の季節限定の呼び名かと思っていたところ。
春にマダイのことを「桜鯛」と呼ぶように、春に獲れる鮭(サケ)のことをサクラマスと呼ぶのかと思いがちですが、それは間違いです。
サクラマスは、鮭(いわゆる「シロザケ」)とは別種の魚で、サケ属に含まれる、独立した別個の種なのです。
つまり、サクラマスとサケは厳密に言えば別種ということ。
サクラマスとサケは異なる種
では、サクラマスとサケの関係性は?
狭い意味で鮭(サケ)と言うと、それは「シロザケ」のことを指し、このシロザケは「サケ目サケ科サケ属」の魚で、サクラマスもその「サケ属」に分類されています(見た目が似ているのもうなずけますよね)。
しかし繰り返しますが、見た目が似ていようと「種」で見ると別の魚で、サクラマスと鮭は同じ魚ではありません。
ここで、鮭についてもう少し詳しく掘り下げていきます。
シロザケは本当にややこしい魚です。
季節によって呼び名が変わったりするし、その中には「鱒(マス)」っていう名前を含めた呼び方もあるので。
サクラマスも実はシロザケのことでは?と思ってしまう人がいるのもうなずけますね。
ちなみに、「サケ(鮭)」という呼び方は狭義でシロザケのことだと書きましたが、広い意味で使った場合は「サケ属」の魚ぜんぶを指します。
ということは、厳密に言えばシロザケ(通称サケ)とサクラマスは違う魚だが、一方で、シロザケもサクラマスも同じ「サケ」だという捉え方もできるわけで、実にややこしい。
サクラマスと山女魚(ヤマメ)は同じ魚
サクラマスは、基本的には成長につれて降海する魚ですが、様々な理由で川に止まる個体も存在しており、これらを「陸封型のサクラマス」と呼びます。
そして、川に止まった個体は大人になっても大きく成長せず「ヤマメ」と呼ばれて一生を終えます。
そう、川魚で有名なヤマメ。実はサクラマスの陸封型で、種として同じ魚のことを指しているのです。
他にもサクラマスの亜種は存在します。
陸封型の中でも、琵琶湖の環境で降海型のように肥え太った「ビワマス」、南日本、西日本の河川残留型「アマゴ」など、環境によって形態を変化させているサクラマスの亜種が存在しているようです。
中でも、栄養を蓄えて破裂寸前にまで肥え太ったサクラマスは、料理業界では「板マス」と呼んで特別視します。当然ながら脂が乗っていて非常に美味。
そもそもサクラマス自体が、漁獲量が減っている魚の一つであり獲れる期間も限られているため、高級魚として扱われることが多いです。
サクラマスのおいしい食べ方
サクラマスはシロザケと同様で冷水域に生息し、川から海へ降って回遊する魚です。
日本では神奈川、山口あたりから北海道までに分布(九州の一部も)し、夏の時期に海水温が上がるとオホーツク海の方まで回遊していると考えられているみたいですね。
寿命は3年くらいと言われ、産卵の為に海から川を遡上するのですが、ちょうどその時期に、沿岸、河口付近、遡上中の河川などで漁獲されるようです。
で、その遡上する時期と桜の開花時期が重なる為に、「サクラマス」と呼ばれるようになったとする説があるわけですね。
ただし、産卵期の「婚姻色」と呼ばれる魚体の模様の変化が名前の由来だ、との説もあるようですが。
最後にサクラマスの食べ方についても少し書いておきます。
サケ科特有の臭みがあり、これを風味と捉えて美味とするかは人によるかと思います。僅かに感じる程度(個体にもよる)ですが、僕の場合は正直この臭みが苦手ですね。
対処法としては
- 薄塩で1日マリネする。
- 燻製する。
・・など。
また、生食するときは、念の為いったん-20℃で最低24時間冷凍してからにしましょう。冷蔵庫で解凍するなどしてから食べます。これはアニサキスによる食中毒症予防のためです。