魚を捌(さば)いていると、緑色をした謎の物体がお腹の中から出てきました。
なんだこれは・・・・。なぜ緑色??
コショウダイという魚を捌くと出てきた謎の緑色の物体。

広告の関係で自主規制しますが、下の画像クリックで謎の緑色を確認できます。
明らかに毒々しい色をした物体の正体は、苦玉(にがだま)と呼ばれる魚の臓器で、つまり胆嚢(たんのう)のことです。
ジブリ映画「千と千尋の神隠し」に出てくる「にがだんご」とは全く無関係ですので念の為。
魚の苦玉を食べても良いことありませんし、むしろ食べてはいけません。
今回は「苦玉」とは何かを説明していきます。
魚の内臓の画像を載せてます。慣れてないと
だいぶキモいので苦手な人は見ないほうが良いです。
魚の苦玉(にがだま)とは?
魚の苦玉(にがだま)は「胆のう」のこと。
胆のうは人間にもある臓器で、食べ物を消化するための内臓の一つですね。
魚の場合、胆のうが別称で「苦玉」と呼ばれるわけでして、逆に人間の胆のうは苦玉とは呼ばれません。
苦玉と呼ばれる理由(味がニガい)
魚の胆のうがなぜ「苦玉」かと言うと、食べると苦いからです。
魚を処理する際、厄介な部位であるため包丁などで間違って破かないように注意しましょう。
苦玉を破いて胆液が魚の身にかかろうものなら、苦味が身に着いてしまい洗っても落ちません。
・・・と言われていますが、すぐに身を洗い流せばセーフなことも多いです。実際に苦玉が破れてしまった魚の処理については後述してます。
なお、魚には、苦玉の発達した魚、そうでない魚が存在します。
一般的に、近海に住む根魚や岩礁域に定住している魚には、強烈な匂いの苦玉を持つ魚が多く、青魚や回遊する魚の苦玉は、ソフトなものが多いとされています。
後述の通り、好んで苦玉が食べられる魚もいます。
苦玉を食べる魚(鮎[アユ]、秋刀魚[サンマ])
鮎(アユ)や秋刀魚(サンマ)を丸ごと焼いて食べたとき、苦味を感じることがあります。あれはまさに苦玉を食べているから。
苦玉は基本的に食べません。苦いですし、後述する鯉(コイ)のように食中毒を引き起こすケースもあるからです。
しかし、鮎(アユ)と秋刀魚(サンマ)は、苦玉を味のアクセントとして除去せずあえて食べる有名な魚と言えるでしょう。
その他にも、幼魚や小さい魚、火を通すことで骨まで食べることのできる魚など、苦玉を取らずに食べる魚は多く、人により好みも分かれるところでしょう。
苦玉を食べてはいけない魚(鯉[コイ])
鯉コクなどの料理で有名な「鯉(コイ)」。食材として昔から親しまれてきた淡水性の大型魚にも、苦玉はついています。
鯉の苦玉もやはり苦く、さばく時には同様に潰してはいけません。
さらに、鯉の苦玉を食べることによって食中毒を引き起こします。症状は、下痢、嘔吐、腎不全、肝機能障害、痙攣、麻痺、意識不明など。
日本国内では、鯉の苦玉の摂食による死亡例もあるそうなので、注意したいところです。
苦玉の栄養
食べてはいけないとされる「鯉の苦玉」。
しかし一方で、鯉の苦玉は「鯉担(りたん)」や「鯉魚担(りぎょたん)」と呼ばれ、昔から漢方薬とされてきたそうです。
毒と薬の違いは紙一重ということでしょうか。
ただ、漢方薬と言っても、捌いたばかりの鯉から取り出した苦玉をすぐ食べるわけではないでしょう。危険な食材であることは紹介した通りですので、知識がない人は扱ってはいけません。

いろんな魚の苦玉を紹介
あらゆる魚に苦玉は存在すると書きましたので、魚たちが持っている苦玉を画像で紹介していきましょう。
ヒラメ
ヒラメのにが玉。
(筆者は見慣れてて何も感じませんが割と衝撃強めかもしれませんので、見たい方のみ、画像のリンクから閲覧してください。)
赤丸で囲んでいるのが苦玉です。他の臓器に混じって明らかに変な色の物体なのですぐにわかりますね。
マトウダイ
ヒラメに似て平べったい体をしたマトウダイ。
ヒラメとは全然違う種類の魚であれど、体の作りは似たり寄ったり。にが玉もしっかり持っています。
(画像リンク先に載せてます)
色はヒラメと同じで濃い緑色。
にが玉は色と形で多くの魚で共通しており、初めて解体する魚でも見分けることがしやすい臓器です。
マダラ
マダラは冬の鍋などに美味しい淡白な白身の魚。
白子や肝が美味ですが、肝は食べられません。
キモいのが大丈夫という方は画像クリックでご覧ください。
マダラの臓器はどれも大きく、苦玉もサイズ大きめ。
画像の中で、手前に見える白い雲のような臓器は「雲子」と呼ばれるマダラの白子。
クリーミーで美味しいと人気の高級食材です。
スズキ
釣りでも料理でも定番であるスズキ。
食用魚としての知名度が高いスズキも、当然、苦玉を持ちます。
苦玉を含めた臓器類はフニャフニャと柔らかい部位の集まりなので、締めた魚の取り扱いによっては右に寄ったり左に寄ったりして、思った場所に見当たらないケースもあります。
だいたい、下の赤丸の部分にあるので魚を捌くときの目安にしましょう。
魚のお腹に包丁を入れるときは苦玉を破らないように気をつけてくださいね。

破れたらどうなる?どうすれば良い?
破らないように注意をしていても魚の臓器はとても繊細なので、ふとした拍子に傷ついてしまうこともあります。
また、野締めの魚(漁獲した後そのまま氷の中で死んだもの等)は、雑に扱われたりして自然に苦玉が破れていることも多いです。
破れた苦玉に遭遇したら、すぐに流水で臓器ごと洗い流して綺麗にしましょう。
また、身に色が移って変色していることもありますので、その部分はなるべくそぎ取ればOKです。魚の身に苦味がうつると言われていますが、すぐに洗い落とすか、色がついた部位を削ぎとれば大丈夫です!

自主規制の画像では、にが玉が破れてかなり混み入った状況になっており、慣れていないとパニックになってしまいます。
このケースでは、臓器をまるっとお腹から引っこ抜いて流水で洗い落とせば問題ありません。
身が破れて、可食部位が変色している場合はどうすれば良いでしょう?
スズキの画像をご覧ください。(画像リンク先閲覧注意)


ご覧のように、腹骨の膜の下まで色が変わっている場合もあります。
染み込んでいる身の部分を包丁で削ぎとれば大丈夫です。

魚の苦玉は厄介なので傷つけずに除去を!
ということで、緑色の丸型、もしくはフットボール型の臓器を発見したら、それは苦玉ですので慎重に取り除いてください。
魚の種類によっては緑色ではないパターンもあるので注意。
もし苦玉を潰してしまった場合は、落ち着いて内臓ごと魚の身を洗い、胆液が染み込んでしまった箇所は包丁でそぎ取るようにしましょう。
肝や白子、真子など、魚の臓器や卵は美味なものも多いですが、慣れないうちは慎重に取り扱うべきです。
イシナギのように、肝臓に中毒物質を持っている魚もいますので。
苦玉のみならず、アニサキスなどの寄生虫にも注意が必要!