「同じスズキの話をしているのに、なぜか会話が噛み合わない」でお馴染み、魚のほうのスズキ(鱸)の紹介です。
「鈴木(スズキ)さん」と言えば日本人に多い苗字。
使われている数は常に上位で、「名字由来net」によると、2019年3月時点のランキングで2位だそうですよ。

魚のスズキもお魚界では超メジャー級な存在。釣りでも料理の食材としても大人気で、流通量も多い魚です。
しかし、メジャー級の魚でも「これってあまり知られていないんじゃ・・・」っていうポイントがあるのも事実。
スズキが「出世魚」であることも、そのうちの一つじゃないでしょうか。
「出世魚」ってそもそも何!?ってことも踏まえて、いろいろ調べてみました。
出世魚のスズキは呼び名がこう変わる!
出世魚のスズキ、成長の状態によって呼び名は以下のように変わります。
呼び名 | 成長の状態 |
コッパ | 幼魚 |
ハクラ | 15㎝以下 |
セイゴ、デキ | 1歳、15〜18㎝ |
フッコ、マタカ、マダカ | 2〜3歳、35㎝前後 |
スズキ | 4歳以上、60㎝以上 |
魚の呼び名というのは、地方によって変わることがほとんどです。これに出世魚としての名前の変化も加味すると、たくさんの名前が登場してやや複雑になります。今回は上記の表に書かれた呼び名の紹介だけで留めて置くことにします。
出世魚なのに?スズキに関する素朴な疑問
出世魚に関して興味深い話を一つ。
下の写真は魚市場で「スズキ」として売られていたものです。

測ってみると40センチくらい。ってことはフッコなのでは??と単純に思ったわけです。

体の表面をよく見ると、斑点のような模様が見えます。
若い個体にはこういった斑点がある個体もいるようで、成長と共に消えてしまうこともあるようです(消えないこともある)。
ということで、なおさら「スズキ」ではなく「フッコ」なのでは?と疑ってしまったという話。
これはつまり、「同じ魚を出世魚として別の名前で呼ぶのは、漁業関係者やお魚屋さんそれぞれの判断によるところが大きい」ということ。
そもそも出世魚とは?
そんな、割と曖昧な定義の「出世魚」について、wikipediaによると、
出世魚(しゅっせうお)とは稚魚から成魚までの成長段階において異なる名称を持つ魚。江戸時代までは武士や学者には元服および出世などに際し改名する慣習があった。その慣習になぞらえ「成長に伴って出世するように名称が変わる魚」を出世魚(しゅっせうお)と呼ぶ。「縁起が良い魚」と解釈されて門出を祝う席など祝宴の料理に好んで使われる。ブリ・スズキ・ボラなどが代表的。
だそうです。
名前が変わる魚を、江戸時代の慣習になぞらえて「出世魚」と言うのですね。
でも何で名前が変わるの??と思いますが、
それは、成長度合いで見た目が異なるから。
大きさが違うなど見た目が異なる魚は、用途(食べ方など)も変わってくる為、漁業関係者の方たちは違う名前で呼んだ方が都合が良かったのだと思います。
やはり、人間の主観が大きく判断に影響しているということのようですね。
「スズキ」の意味は?名前の由来の話
ところで、スズキはなぜ「スズキ」と呼ばれるのでしょうか。
これは諸説あり、
- 身が“すすい”だように白いから
- 出世魚なので、出世に“すすむ”ことから
- ウロコが“すすけ”た色であるから
などの説が有名です。
ちなみに、ブランジーノやシーバスなんて呼ばれたりもしますが、これらは厳密には別の魚のこと。
フランスやイタリア、アメリカなんかでも、日本のスズキと似ている魚が食べられているようです。
【ちなみに】スズキの浮き袋の役割
さて、ここからは出世魚の話から脱線しますが・
スズキに限らず、ほとんどの魚には「浮き袋」があります。
この用途を簡単に説明すると、「浮力調整のため」です。
中の空気量を調整することで、少ない力で海の中の上下の位置を移動できるというわけです。
浮き袋がどんな形をしているかというと、魚によって様々ですがそのまま「浮き袋」の形をしていることがほとんどな気がします。
スズキの浮き袋はこちら。

画像の白いところが全部浮き袋です。ここに空気が溜まっている時、袋を針で刺すと、風船みたいに「ブシューッ」ってなります(ならないこともある)。

強そうでカッコイイですね、スズキ。
出世魚として複数の名前を持つ魚は、成長度合いで見た目も異なるのでちょっとややこしい。
思うに、出世魚の呼び名というのは結構ざっくりとしています。
間違った名前で呼んでしまったとしても、あまり大ごとにはなりません。
気になるなら、例えばスズキの場合、幼魚のときも成魚の「スズキ」の呼び名を使って一貫してそう呼んでいれば、少なくとも間違いではないでしょう。