クロダイを食べる前に知っておくべき豆知識

魚介の雑学

クロダイは「タイ」の名前を冠する、正真正銘「タイ科」の魚です。

名前に「〇〇タイ」などとついているのに、タイと全く関係のない魚というのは日本の海に数多いますが、クロダイは数少ないタイの仲間というわけです。

味も良し、姿も良しなので「魚の王様」などと呼ばれるタイの仲間である「クロダイ」。もちろん美味しい魚です。

今回は、そんなクロダイの豆知識をいくつか紹介していきたいと思います。

クロダイ料理を楽しむために知っておきたいこと

クロダイの知名度は、マダイ(世間でタイと言えばマダイのこと)よりは低いものの、料理の業界や釣りの世界ではスタメンに入るスター選手の扱いです。

クロダイに毒はあるのか?

クロダイは、背ビレや腹ビレのトゲが鋭く、扱いに注意が必要です。

クロダイ(黒鯛、チヌ)の背びれ

クロダイの背ビレをよく見ると、何本もあるトゲに膜が貼ってあるような構造。

これは鰭条(きじょう)と言って、魚の種類によっては先端が鋭く尖っていることが多いのですが、手に持つときに掴みどころが悪いと一瞬でケガします。

魚の種類によっては、この部分に毒を仕込んでいるヤツもいたり・・。人間よりも小さいとはいえ、生き物の防衛本能をナメてはいけません。

クロダイは、このトゲトゲの部分(鰭条〔きじょう〕の中の尖っている所で刺条〔きょくじょう〕と呼ばれる部分)が特に発達する魚みたいで、その証拠が学名にも表れており、

学名の属名「Acanthopagrus 」は「棘のある鯛」の意

出典:wikipedia

・・・とのこと。

トゲの多いヒレを持つ一般的な魚だと、クロダイの他にマゾイクロソイなんかもケガしやすいのでご注意を。

体のあちこちが鋭く尖り、ケガする危険性が高いクロダイですが、しかし刺毒はありません。刺毒というのは頭部やエラ蓋、ヒレなどにある毒成分のことで、刺されれると強烈な痛みが数日続いたり、魚の自己防衛機能の一つと考えられています。

ただし、魚の体は常に海水に触れていて、その海水には様々な雑菌がいる為、刺毒のないクロダイであっても油断はできず、トゲによる傷から感染症を負うリスクもあることは忘れてはいけません。

クロダイ(チヌ)は「釣り」が人気!

やっぱりクロダイと言ったら「釣り」で人気があるのです。夏場の釣りの対象魚として知名度の高い魚。その人気の理由は、

  • 首都圏の内湾にも多く、堤防などから狙えて手近。
  • 雑食、悪食、何でも食う性質から様々な漁法がある。
  • 引きも良い

・・など。

要するに初心者でも入り易いうえ、引きも面白いので、ちゃんと奥の深い対象魚であるというバランスの良さ。人気になるべくしてなったと言えるでしょう。

クロダイの釣り人気を表す言葉が「チニング」。

クロダイが地方によって「チヌ」と呼ばれることから生まれた釣り用語で、ルアーでクロダイを狙うことをチニングというわけです。

ちなみに、雑食性だというのは、歯の構造を見てもうかがい知ることができます。

クロダイの歯

歯が口の奥まで二重、三重に連なっていて、これは甲殻類を食べることのあるタイ科の特徴です。

この歯の形状は、甲殻類以外にも小魚をはじめとした様々なものを食べる食性に繋がっているようですね。「悪食」といわれるほど、なんでも食べるらしいですよ。

魚が食べたものによって、魚自体から著しく臭みが出ることがあります。

クロダイは上記で書いた通り悪食の魚ですので、特に、都市部の堤防のような場所や、河川の流れ込みなどでは、様々なものを口にしている個体が多いと予想され、手軽に釣ることができる反面、食べてみると臭みが強い場合もあるようです。

さらに、クロダイは淡水域でも生きることができます。

河川の汽水域にも侵入するというのは、スズキと似たような特徴で、クロダイとスズキは生息域や近く、釣りにおいてもよく比較される2種のようです。

そんなこともあって、クロダイのことを「川鯛」と呼ぶ地方もあるんだとか。真水でも生きられるという強い生命力を持つ魚です。

釣る場所にもよると思いますが、釣ったクロダイは火を通して食べるのが無難。徐々に、臭みが出る魚のクセを学んでいき、料理のバリエーションを増やしていくと良いでしょう。

上でも書いたように、この生命力の高さがアダとなり、釣る場所によっては臭い個体と出くわすことがあることは覚えておきましょう。

クロダイは性転換する魚!(雄性先熟、オスからメスへ)

メスからオスへという展開はありがちだけど逆もあり、それがクロダイ。

オスからメスへ性転換をする魚です。

ホルモンの関係で、4、5歳くらいになるとメスになる、あるいはそのままオスのまま生きるという個体がいるようです。

こちらはクロダイの卵。

クロダイの卵は美味。

もし手にしたクロダイが卵を持っていたら、食べることをオススメします。

クロダイは出世魚

クロダイは成長するに連れて呼び名の変わる「出世魚」なんですが、幼魚の時の呼び名が、関東では「チンチン」、関西では「ババタレ」というそうです。

クロダイの体格は、最大で70㎝近くになる個体も存在します。

寿命は長く、一説には13〜19歳などと言われています。しかし成長は遅いようで、9年ほどかけて40㎝くらいまで成長するそう。

ちなみに、釣り人からは50センチを超える個体を「年無し」、60㎝オーバーは「ロクマル」と呼ばれます。

クロダイ料理を余すことなく食べ尽くそう!

見た目はあまり特徴的ではないけれど、よく調べて見ると意外な発見があるので、魚って本当に面白いですよね!

そしてクロダイ料理。普通に塩焼きでも美味しい食べれますが、あえてクロダイ茶漬けや炊き込みご飯にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。

「チンチン」に「ババタレ」はひどくないすか?

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