「生きた化石」と言われるシーラカンスは、言わずと知れた太古の魚類の一種です。
シーラカンスが有名なのは、近年になってもニュースになってお茶の間を沸かせてきたからでしょう。
現代において現生種が発見され、古代ロマンをくすぐって「生きた化石」という言葉を世に生み出したのもシーラカンスが走りではないでしょうか?
一方、日本には「シイラ」と呼ばれる魚がいます。
シイラは海釣りの対象魚として人気の魚であり、あまり認知度は高くないながら食用も可能、というのが筆者の認識。サラッとしてますが。
シーラカンスとシイラ、名前が似てるけど近縁種的な魚なの?
これは非常に気になるところです。
シイラという魚の姿を見てみれば分かりますが、モンスターかと見紛うほどの荒々しい見た目ですよね。
こんな魚が、今なお海を泳いでいるのかとドキドキさせてくれるのと同時に、古代の魚との関係性を疑わざるを得ないというわけです。
違う魚なのかそれとも近縁種のような間柄なのか。
知らないからこそ気になる、シーラカンスとシイラの関係について調べてみました。
シイラとシーラカンスの違いとは
シーラカンスを実際に見たこともないのに、その名前だけは知っている。
今回、シーラカンスについて調べてみると、「シーラカンス」という呼び方そのものが実は正しくはないということも明らかになってきました。そして、現代においてシーラカンスよりは身近であろうシイラはどのような魚なのか?
最初にシイラについての情報を見ていきましょう。
シイラはどんな魚?

まず、生物学的なシイラの属性の話から。
シイラは「スズキ目シイラ科」に分類される魚で、食用とされる魚では近縁種も少なく、大型化するうえに生息域も沖合とあり、陸上の生活圏では目に触れづらい魚と言えます。
シイラはシイラの名前について整理しましょう。
シイラという名前は日本でのみ使われていて、漢字で「鱰」と書きます。
そして「秕(しいな)」という言葉がシイラの由来で、これは「身がない稲の籾(もみ)」の意味。
シイラの、皮が硬くて身が薄い様が中身のない稲の籾に似ているからです。
日本でしか「シイラ」と呼ばれないのであれば、シーラカンスとは無関係な気がしてきました。
太古の生き物に見えなくもない姿ですが、一応、生物界の既定路線ではあるようです。
シイラの持つ毒についての記事でも書きましたが、見た目の他にウロコの特徴など、明らかに他の魚類とは一線を画す存在でしたが、太古から存在する魚ではありませんでした。
ウロコは硬く、皮は厚く、筋肉質。そして大型魚。何よりも異様な見た目。
しかし、マダイやスズキといった人気の魚と同じく、「スズキ目(もく)」の魚なのです。
シーラカンスはどんな魚?

一方で、シーラカンスは4億年くらいほぼ変わらぬ姿で生きているまさに「生きた化石」の魚。
普通に化石でも発掘される魚なので、少し前までは既に絶滅した生き物だと考えられていました。
桁違いに長い歴史を持つシーラカンスは、現代の魚類とはかけ離れた体の構造をしているようです。
そもそも、「シーラカンス」とは、生物学上の「目(もく)」の名前で、本来なら「シーラカンス目シーラカンス科」と細かく分類された上で、個別の種が存在しています。
例えば、近代、生きていることが発見されたシーラカンス目の種は「ラティメリア属カルムナエ」と「ラティメリア属メナドエンシス」というのが本当の種の名前。
「シーラカンス目(もく)」は、かつては海や川にたくさんの種が生息していたそうですが、現代では上記の2種のみが生き残っているそうです。
つまり、シイラは「スズキ目」に属し、シーラカンス(カルムナエやメナドエンシス)は、「シーラカンス目」に属す、全く別の魚ということなのですね。
シーラカンスは食用なのか
ところで、シイラは毒はあるが食用とされる魚でした。
シーラカンス(カルムナエやメナドエンシス)は食べれるのでしょうか?
答えはYESです。その昔食べた人がいるらしく、味はあまりおいしくないとか。
また、人間には分解できない脂を持っているそうで、アブラソコムツのようにお腹を壊すことになるでしょう。