「真鯛(マダイ)と鯛(タイ)は同じ魚のことを指している」という説明は、半分正解だと言えます。
つまり、「鯛」という言葉を使う場面によって、意味するモノが次のように変わるのです。
- 多くの場合、「鯛」は「真鯛(マダイ)」という1魚種のことを指す。
- 「鯛」を広い意味で使うと、「タイ科」に属す全ての魚を指す(クロダイやチダイも「鯛」だと言える)。
屁理屈を言っているように聞こえるかもしれません。
もう少し詳しく説明します。
真鯛(マダイ)と鯛(タイ)の違いとは?
真鯛(マダイ)と鯛(タイ)の違いを説明するのは非常に簡単です。
多くの場合、「鯛=真鯛(マダイ)」と考えて良い。しかし、広い意味での「鯛(タイ)」は、「タイ科のすべての魚種」を指す。
「タイ科の全ての魚種」とは、チダイやクロダイ、もちろんマダイもタイ科の魚です。
言い方を変えれば、「鯛(タイ)」と言った場合、それは真鯛を含む「タイ科」そのものを指す意味にも取れるということ。
実際には、クロダイを指して「鯛」とはあまり言いません。
タイ科の中でマダイは特別な存在であり、クロダイやチダイを「鯛」と呼んでも間違いではありませんが、ふつう、「鯛」と言ったら「マダイ」のことだと覚えておきましょう。
タイ科の魚はたくさんいる
広い意味で鯛(タイ)である「タイ科」の魚には、マダイの他にも、クロダイ、チダイ、キダイ、ヘダイなど様々な魚種がいます。
マダイの人気と知名度がダントツに抜きん出ていて、「タイ科」全体が他の魚類と比べて評価されているというわけではありません。
それでも、クロダイなどは磯釣りでも人気ですし、料理でも使いやすい魚と言えるでしょう。
タイ科の魚達は、マダイを筆頭に美味しい魚種がラインナップされています。
クロダイなど悪食(雑食)で環境適応の強い魚種は稀に臭かったりしますが、それでも刺身から煮物までオールマイティに使える白身魚です。

「肖り鯛」は「鯛」とは違う
タイ科ではないのに「○○鯛」と名前のついた魚は非常に多く、それらを「鯛(タイ)」と呼ぶのは間違いです。「タイ科」ではありませんからね。
具体的に言えば、メダイやマトウダイ、ヒメダイなど。見た目も生物学的にもマダイとは遠い存在です。しかし、これらはこれらで味の良い魚たちです。
マダイが圧倒的な存在であるが故、真鯛にあやかって「鯛」の名前を冠する魚が多くいるという話。
ある意味、それだけマダイという魚が日本人にとって特別な魚であると言えるかもしれません。
実際の味は、もちろんマダイは美味しい魚ですが「肖り鯛」も甲乙つけがたく、「肖り鯛」という言葉にあまり意味は感じるものではありません。