クロダイ(別名チヌ)は言わずと知れた海釣りの対象魚で、チニスト(!?)にとても人気の魚。
そして、なんと言っても料理に欠かせない食用魚でもあります。
今回は、釣りに料理に引っ張りだこのクロダイを美味しく食べ尽くすための方法を紹介します。
クロダイ料理のおすすめ
- 「晩春、太リすぎず、鮮度良し」なら、刺身
- クロダイ茶漬け
- クロダイの炊き込みご飯
- カマ焼き
- 残ったアラを利用した汁物
クロダイをおいしく食べるには、生息域や食性の理解はとても重要です。なぜなら育つ環境は魚の味に大きな影響を及ぼすから。
多方面でよく食される魚ゆえ、「臭くてまずかった!」という感想も稀に聞きます。おいしく食べるためのポイントも解説していきます。
また、クロダイの体は凶器だらけ。料理する為に魚体を捌く必要がありますが、その時の注意も書いておきます。
クロダイ(別名チヌ)のおすすめ料理を紹介!
クロダイがなぜ「チヌ」と呼ばれるのかと言えば、かつての大阪湾が「茅渟(ちぬ)の海」と呼ばれていたから。
大阪湾でよく獲れる代表的な魚が「チヌ(クロダイ)」だったのですね。
そんなクロダイ(チヌ)はマダイ(真鯛)の仲間。
世の中にはマダイと関係ないのに「○○タイ」と呼ばれる魚が数多く存在しますが、クロダイは正真正銘、マダイと同じ「タイ科」の魚で近縁の関係です。
そう、つまり不味いわけがないのです。
大体の場合おいしく食べれるクロダイの代表的な食べ方を紹介しつつ、味が良くないレアケースも最後の方で紹介していきます。
刺身
まず最初に紹介する食べ方は、マダイと同じ「タイ科」ならば間違いありません。「刺身」です。
中でも晩春の産卵前、まだ卵を持っていない(太りすぎていない)鮮度の良いクロダイの刺身は抜群。もしくは、11月〜12月頃の脂の乗った個体も捨てがたいです。
春、冬のクロダイはマダイを凌駕するかもしれません。
いやいや言い過ぎでしょと言われるかもしれませんが、マジです。
ただし、「晩春」というのは、その年、場所によってズレる場合があります。初夏の頃に最高のクロダイが出てくるケースもあるでしょう。
また、卵の有無、鮮度が良し悪し、これらの目利きは素人には難しいですが、鮮魚店や魚市場のお店の人に思い切って聞いてみるのも良いかもしれません。
お店の人は、仕入れた魚の腹を開いて状態を熟知していることが多いですよ。
クロダイ茶漬け
クロダイを使った「タイ茶漬け」もかなりオススメ。生食できる鮮度であれば、お茶漬けの選択肢もアリかと個人的には思います。
ということで、作り方も簡単に紹介しておきます。
- 煮切ったみりんと醤油、炒りごまを合わせた「ごま醤油」を作る。
- クロダイを3枚におろし、腹骨、小骨をとり皮を引く。
- 人数分を食べやすい大きさにカット。(刺身状でもサイコロ状でも)
- 上の「3」を「1」のごま醤油に浸して30〜60分。
- 4の漬け時間の合間にネギを刻んでおく。
- 器に熱々ご飯をよそい、ごま醤油をひと回し、クロダイの切り身を乗せる。
- 煎茶をかけ、ネギを散らし、お好みでワサビを絞って完成。
【補足】
- 自ら捌いたクロダイを使う手順ですが、もちろん、刺身の状態で買ってきたものを使っても構いません。
- 3の手順で、クロダイの身をカットするときは、刺身状にそぎ切りにするなら出来るだけ薄めに、サイコロ状なら、各辺が1㎝より小さいくらいの方が良いでしょう。
- 7の手順で、煎茶は熱いものをかけますが、クロダイにかけて(身に火を通して)食べるもよし、熱湯を逸らして生のまま食べるも良しです。
炊き込みご飯
クロダイから出る出汁を使ってご飯を炊くと、まるで料亭の味になるでしょう。こちらも簡単に作り方を紹介します。
- いつも通りご飯を炊く要領で炊飯ジャーに0.5合分くらいセット(水は少なめに)。
- クロダイを3枚におろす。腹骨、小骨をとる。出たアラはとっておく。
- 2で出たアラのうち、頭は梨割りにして血合いを洗って取り除く。
- 3で洗った頭と中骨に、熱湯をかけて洗う。
- 1の炊飯ジャーに、2でおろしたクロダイの半身と、4のアラを入れる。
- 醤油大さじ1、日本酒大さじ1を加えて炊き上げる。
- ご飯が炊ける間に、ネギ、三つ葉など薬味を刻んでおく。海苔も刻む
- 炊き上がったら、5で加えたアラだけ取り除き、身を崩しながら混ぜ、器に盛る
- 7の薬味と海苔を散らして完成
【補足】
- 炊き込みご飯の要領で、しいたけや小松菜、または冷蔵庫にある余った野菜など、適宜に切って加えても良いです。
- クロダイのアラから取った出汁があれば、米を炊く時の水の代わりに使うとより一層旨味が増します。
カマの塩焼き
丸のままのクロダイであれば、身を余さず食べたいもの。
「カマ」というは、魚のエラの付け根から腹ビレの付け根あたりの部位のことで美味です。
この部分は、魚を捌いた時にでる半端な部位なのですが、火を通して食べましょう。
カマの貧しい魚もいたり骨が多く難易度は高めですが、クロダイやマダイの「カマ」は食べどころも多く取れてお得。
塩焼きにします。上で紹介した炊き込みご飯に混ぜて食べても良いですね。
あるいは、次に紹介する汁物の具材としても出汁が出て一石二鳥。
アラを使った汁物
クロダイを捌いた時に出る頭、カマ、中骨、腹骨などなど、これらから出汁を取りましょう。
頭は梨割りにして目玉を取り、血合いを綺麗に洗います。まとめて熱湯にくぐらせ、水から煮出して出汁を取ります。昆布を加えても良いですし。30分も煮込めば美味しい出汁が取れるでしょう。
味付けは塩、醤油、味噌、トマト、なんでもOKです。
貝や甲殻類など、他の魚介類を加えればブイヤベースのような濃厚な味わいにも。
自分で釣ったクロダイ(チヌ)の食べ方の注意点
食べて美味しいクロダイはフィッシングにおいても人気の魚。
夏場の釣りの対象魚として知名度の高く、その理由は、
- 首都圏の内湾にも多く、堤防などから狙えて手近。
- 雑食、悪食、何でも食う性質から様々な漁法がある。
- 引きも良い
・・など。
要するに初心者でも狙い易いうえ、引きも面白いのでハマる人が多いというわけなのです。
ちなみに、雑食性だというのは、クロダイ(チヌ)歯の構造を見てもうかがい知ることができます。

ご覧のように、歯が口の奥まで二重、三重に連なっていて、どんなものでも噛み砕くことができる強靭な歯を装備しています。
クロダイは悪食の魚ですので、特に、都市部の堤防のような場所や、河川の流れ込みなどでは、様々なものを口にしている個体が多いと予想され、手軽に釣ることができる反面、食べてみると臭みが強い場合もあります。
さらに、クロダイは淡水域でも生きることができ、そういった場所でも生育環境は悪く、臭みが出る場合もあるかもしれません。
釣る場所にもよると思いますが、釣ったクロダイは火を通して食べるのが無難。徐々に、臭みが出る魚のクセを学んでいき、料理のバリエーションを増やしていくと良いでしょう。
卵持ちクロダイ(チヌ)は不味い?
クロダイは3歳くらいでオスからメスへ性転換します。
これは「雄性先熟」と言い、魚類の世界ではあまり珍しいことではありません。
魚の卵自体は、たいていの場合において食材として美味とされます。
ただし、卵を孕んだメスの身は、卵に栄養を取られてしまい味が落ちますので、卵の有無の確認は重要になってくるわけです。
「味が落ちます」を、もう少し具体的に言うなら身がパサパサになる感じですね。
汽水域のクロダイ(チヌ)は不味い?
淡水でも生きることができるクロダイ(チヌ)は、海と川の交わる「汽水域」と呼ばれる場所でも釣果が多い魚。これは、海水魚のスズキと似た特徴を持つ魚ということですね。
食材としてのクロダイは、この生命力の高さがアダとなります。
汽水域で釣ったクロダイは、河川独特の泥臭い個体と出くわすことがあるようです。
釣った直後の血抜きはもちろんのこと、刺身で食べるという選択肢は外した方が良いかもしれません。
ちなみに、淡水でも生きるクロダイは「川鯛」と呼ぶ地方もあるとか。
クロダイ(チヌ)の鰭(ヒレ)は凶暴
さて、クロダイ(チヌ)の食べ方とは直接は関係ありませんが、クロダイの処理は注意が必要という話。
マダイに比べ色合い的に地味なクロダイ、実は鰭(ヒレ)が凶暴なのです。

上の写真はクロダイの背びれで、よく見ると何本もあるトゲに膜が貼ってあるような構造になっていますよね。
これは鰭条(きじょう)と言って、魚の種類によっては先端が鋭く尖っていることが多く、手に持つときに掴みどころが悪いと一瞬でケガします。
魚の種類によっては、この部分に毒を仕込んでいる種もいたり・・。人間よりも小さいとはいえ、生き物の防衛本能をナメてはいけません。
クロダイは、このトゲトゲの部分(鰭条〔きじょう〕の中の尖っている所で刺条〔きょくじょう〕と呼ばれる部分)が特に発達する魚で、その証拠が学名にも表れており、
学名の属名「Acanthopagrus 」は「棘のある鯛」の意
出典:wikipedia
という由来を持つ魚です。
トゲの多いヒレを持つ一般的な魚だと、クロダイの他にマゾイやクロソイなんかもケガしやすいのでご注意を。
クロダイ料理を余すことなく食べ尽くそう!
クロダイ(チヌ)はマダイの仲間で、普通に塩焼きでも美味しく食べれます。
しかし、あえてクロダイ茶漬けや炊き込みご飯にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
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