アカサバの異名を持つ「ハチビキ(葉血引)」は外も中も血のように真っ赤だった

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鯖(サバ)なのに身が赤い、アカサバ」の異名を持つハチビキ。マイナーな海水魚だけど食用として流通しています。

血のように赤い色をした外見に加え、切り身にすると中の身も真っ赤でビックリ!しかし実は白身魚に分類される、ちょっと珍しいお魚。

白身魚なのに赤い身の「なぜ」を調べながら、刺身と焼き魚の両方で味わってみたました。どんな味か感想も書いてます。

さらに、「サバ」と切っても切り離せない寄生虫「アニサキス」についても。

南の海のお魚、ちょっぴりレアなハチビキの紹介です。

アカサバの異名を持つお魚「ハチビキ(葉血引)」とは?

ハチビキは地方では「アカサバ」とも呼ばれる海水魚。アカサバの意味は「赤い身の鯖(サバ)」ということ。

“サバ”といえば、赤身の青魚ですが、アカサバことハチビキは白身魚に分類されるお魚。

ご覧のように、ハチビキを捌いてみるとマグロやカツオのように真っ赤な身の色をしています。しかし赤身魚ではなく白身魚というから不思議。

ハチビキ(アカサバ)の味

ハチビキを生で食べると、赤身魚のように鉄分を感じる味。・・・ではなく、アッサリしたちゃんと白身魚の味でした。見た目とのギャップもあってイメージに舌の感覚が追いつかず何と表現して良いか迷います。刺身だとちょっと物足りないかな?とは思いました。

切り身に火を通して食べてみました。

火を通すと色が白身魚っぽくなりました。カツオとか火を入れるとピンク色になるので、やはり真っ赤な白身魚と真っ赤な赤身魚の違いということか・・・。

焼いた時の身の色の感じから、「パサついたり硬くなるかも?」と想像しましたが、食べてみるとフワッとして独特の旨味も感じられます。

焼くことで皮の間あたりが若干硬くなるような気もしますが、しかし、それもまたコリコリとした食感となりプラス要素。

ハチビキの火入れの注意は焼きすぎないこと。脂が少ない魚なので焼き過ぎると硬く繊維っぽくなってしまうと思います。

火を通した時の味わいは美味。血抜きなどしっかりとした処理を行えば、高級な料理としても出せるポテンシャルを秘めた味だと感じました。発想を変えれば、刺身でも、白身魚としては変化球的に身色を楽しめるかも?

ハチビキの身が赤い理由

ネットで調べても、残念ながらハチビキの赤い身色の理由は分かりませんでした。

なので、なぜハチビキの身は赤い色なのか推理してみることに。

そもそも、赤身魚には以下のような定義があります。

筋肉や血液の中に、赤色を出す為のヘモグロビンミオグロビンという色素タンパク質が多く含まれている魚(100gあたり10gという基準あり)を赤身魚と呼ぶ。

この逆で、ヘモグロビンやミオグロビンが少ない魚が白身魚だと分類されます。

サワラ(または若魚のサゴチ)など、赤身だけど白身魚に間違われる魚は、ヘモグロビンやミオグロビンの値が赤身魚としてギリギリの値になります。

実際、サワラの身の色と味はかなり白身魚っぽいです。

ハチビキにおいては、赤身魚特有の成分であるヘモグロビンやミオグロビンの量はそう多くないと思われます。・・・たぶん。根拠は、ハチビキを刺身で食べても赤身魚特有の鉄分の味は弱めだからです。

ところで、赤っぽい色の身をしたサケ類が赤身魚ではなく白身魚であることは有名な話です。

ハチビキ(アカサバ)と似てますね。

サケ類の身色が赤いのは、甲殻類(エビ)を多く食べて「アスタキサンチン」という物質が体の中に蓄積されるから。赤身魚とは違う理由で身が赤くなるというわけです。

ハチビキも、もしかしたらサケ類のようにアスタキサンチンが多いことが、赤い身の理由かもしれません。

個人的には、ハチビキの身色は血のように赤いのでサケ類とは”赤”の質が違う気がしています。サケは”サーモンピンク”、「血のような濃い赤」ではありませんよね。ハチビキの身色は甲殻類によるアスタキサンチンによるものではなさそう。

・・・とは言え、ハチビキ(アカサバ )の真っ赤な身には何かしらの色素成分が含まれていることは間違いないでしょう。

サケ類に似て、食性の影響も考えられますし、赤身魚のように、色を出す成分を代謝として作り出している可能性もあると思います。特別な藻類とかプランクトンとか、ハチビキしか食べないような物質があるのかもしれませんね。

ハチビキの口の形は、プランクトンを食べる特徴とも言えるし、藻類を食べるような形にも見えて微妙なところ。

歯が発達していないので、大きな甲殻類は食べれないことは確かだと思います。

結局、ハチビキ(アカサバ )の身の色がなぜ血ように真っ赤なのか。

調べても結論は得られませんでした。

おそらく海藻なのか、プランクトンなのか、ハチビキが摂取する食べ物、あるいは自ら代謝する物質に、赤色に関わるの物質が含まれているのではないでしょうか。

ハチビキの名前の由来

ところで、なぜ「ハチビキ」と呼ばれているのでしょうか。

ハチビキの名前に関する疑問にも注目していきます。

まず最初に、「チビキ」という名称群の魚たちがいることを紹介しなければなりません。

「チビキ」の名前がつく魚たちは、フエダイ科やハチビキ科に多く、「科」をまたいで「○○チビキ」と呼ばれます。

例えば和歌山では昔、ヒメダイを「チビキ」、または「本チビキ」と呼んでいたとか。「アカチビキ」は「ハマダイ」のことですし、標準和名「シマチビキ」と呼ばれる魚も存在します。

いっぽう、ハチビキも地域によって元々は「チビキ」と呼ばれていました。ところがヒメダイに「チビキ」の名前を充てられ、「偽物のチビキ」、「半端なチビキ」という意味で「”ハ”チビキ」と呼ばれるようになった。これがハチビキの名前の由来のようです。

余談ですが、「チビキ」という名前は、「身が血のように赤い」という意味なので、ヒメダイよりも、むしろハチビキの特徴と言えるような気がします。

生物学的な分類では、ハチビキは「スズキ目スズキ亜目ハチビキ科ハチビキ属」で、ヒメダイは「スズキ目スズキ亜目フエダイ科ヒメダイ属」とだいぶ遠縁ですが、名前も似ているし、姿形も似ている方だと感じます。

ハチビキの別名で「アカサバ」という呼び名は関東でよく使われます。

既に書いたように「赤い鯖(鯖)」のことで、漢字で書くとそのまま「赤鯖」。見た目は確かに似てなくもない気もしますが、味は全く別物ですね。

アカサバ(ハチビキ)にアニサキスはいる?

青魚のサバの内臓にはアニサキスが寄生していることが多いですが、アカサバことハチビキに寄生している確率は高くないと思います。

もちろん可能性はゼロではないでしょうが、そもそも食べるエサが違うのでアニサキスの危険は少ないはず。

そもそもハチビキはサバのように全国的にメジャーな魚種ではないので、食中毒の報告数も少ないとは思いますが。

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