サゴシとサワラの違いは?

魚介の雑学

サゴシは、体長40cm〜50cmくらい、鋭い牙と細長い体が特徴の海水魚です。光り物とか青魚などと呼ばれる赤身魚で、ギラリと光る刃物ような出で立ち。

一方で、サワラという魚がいて、これがサゴシと激似なのです。なぜ似てるか事情を知らないと「サゴシとサワラの関係性は?」と、違いについて疑問になってくるわけです。

サゴシとサワラの違いを解説しつつ、サゴシという魚について紹介していきます。

サゴシとサワラの違いは?

サゴシとサワラの違いは明確。それは、サゴシはサワラの若魚であるということ。つまりサゴシとサワラは同じ魚なのです。その上で、明確な違いは体の大きさ。サゴシが40〜50cmであるのに対し、サワラは60cm以上の体長となります。

なぜ、同じ魚なのに、成長によって名前が変わるのでしょうか?

それは、サワラが出世魚だからです。

【出世魚】サワラの若魚はサゴシ

40センチは軽く超える体長。サゴシはイワシなど他の青魚に比べると大きい魚です。(青魚サゴシの詳細も記事にしてますので良ければ参照してください。)

しかし繰り返しますが、これでまだ若魚の状態。この後もさらに大きく成長して、成魚となれば1mを超え、サワラと呼ばれるようになります。

日本では、同じ魚でも成長するにつれて呼び名が変ることがあり、このような魚を出世魚と呼びます。サゴシは出世魚です。

上でも書いた通り、サワラの若魚時代の名前はサゴシ。その後成長してさらに大きな成魚「サワラ」となるわけです。

サゴシの呼び名の変化 40〜50㎝でサゴシ(サゴチ)→ 50〜60㎝でナギ→ 60㎝以上をサワラ

「出世魚」とは?

そもそも、なぜ「出世魚」という、一見すると面倒そうな概念があるのでしょうか?

理由は出世魚「スズキ」の記事でも少し触れています。

魚のスズキは出世魚!成長によって変わる名前とは?
出世魚「スズキ」の、成長による呼び名の変化や名前の由来について調べました。

例えば、漁業で同じ魚の子供と大人を一緒に捕まえた場合、大きさ、色、形などが全く違うことが多く、その2匹が全く異なる種類の魚に見えたりします。あるいは、同じ魚でも子供の時と大人の時で料理する方法や価値が変わるため、間違いのないよう分類しなければならないケースもあります。

つまり、別の魚として扱う理由があるので、「出世魚」という概念が今でも使われています。

逆に、2つの見た目の違う魚が学術的に同じ種かそうでないか、商売を行う上ではあまり重要ではないとも言えます。

なお、サゴシは、「サゴ“チ”」と呼ばれる場合があり、これは地方によって呼び名が変わるから。出世魚で変わるパターンとは別に、地方によっても名前が変わる。めちゃくちゃややこしいけど、これが「魚の名前の世界」なのです。

ちなみにサワラを漢字で書くと、“鰆”。または“狭腹”。一つの名前に対して複数の漢字が存在することも、また輪をかけてややこしい。なお、サゴシの漢字表記は「青箭魚」。その由来や意味の話は別記事で紹介してます。

サゴシの漢字表記「青箭魚」の意味とは?
「サゴシ」を漢字で書くと「青箭魚」となりますが、この漢字にはどんな意味があるのでしょうか?

それにしても、同じ魚なのに呼び名や漢字がたくさんあるのは日本独特の文化じゃないでしょうか。

サゴシは赤身?白身?

サゴシは赤身魚ですが、少し昔は白身魚として扱う料理店もありました。

鳥のクチバシのよう。鋭い牙で指を切ること多め。

白身魚と赤身魚の違いと関係性についても記事にしてますので覗いてみてください。

白身か赤身か、物議を醸す魚は多くはありません。サゴシのような中間的な魚は稀です。

それぞれの身質に適した料理が幅広く楽しめます。

サゴシは身割れしやすい魚

サゴシは細長い赤身魚で、加えて若魚だから身もまだ柔らかめ。だからこそ美味しいのですが、同時に身割れも起きやすいです。魚の身割れの原因に関する記事では、サゴシを使って詳しく解説しています。

既に書いた通り、サゴシは赤身らしからぬ味。まるで白身のような中性的なお魚です。

そんなサゴシの美味しい食べ方はバリエーション豊富なので、いくつか紹介しておきます。

鮮度がよければ、まずは刺身で食べましょう!

赤身魚だから、筋肉が多く繊維質かと思っているとびっくりします。時期にもよりますが若魚のサゴシでも、脂が乗っていることが多いです。

中でも、一番美味しい”皮”を活かした炙り(焼き霜造り)がおすすめ!

サゴシの食べ方:塩焼き

塩焼きは、成魚であるサワラの方が美味しいと思います。

しかし、例えば刺身の時期を逃した(鮮度が落ちてしまった)など、サゴシでも塩焼きで十分美味しくいただけます。塩焼きの場合も、皮目を香ばしく焼き上げた方が美味です。

バターを使ってフライパンソテーの方が、しっとりと焼き上げることができてパサつかず、コクもプラスされるのでおすすめ。

さらに、少し手間はかかりますが「西京焼き」も定番料理です。味噌ダレに漬け込んで焼き上げる料理です。

サゴシの食べ方:煮付け

クセの少ない魚なので、湯引きは要らないと思います。若魚なので身が柔らかいですが、次のことに気をつけて料理すれば大丈夫!

  • 煮汁は少なめに(身が完全に隠れない)
  • 火加減に気をつける(コトコトをキープ)
  • 鍋の蓋はせず、クッキングシートで落し蓋
  • 長い時間火にかけない(10分〜20分)

お好みで生姜を入れたり味噌煮にしても良し!

サゴシは“歩留まりが優秀”な魚

サゴシは、魚市場などでは年間を通して売り場に並ぶことが多い魚。気になるコスパは?というと・・、

  • そもそも値段が安い
  • 頭が小さく内臓系も大きくない(可食部が多い)
  • 細長い体のわりに身に厚みがある

と、歩留まりの良い(コスパの良い)魚とされています。「歩留まり」というのは、丸ごとの魚から、食べることができる正味量のこと。(食べれない骨などを除いた量)

サゴシの成魚であるサワラは、昔から日本の代表的な食材でした。日本だけでなく、お隣の韓国をはじめ世界的にメジャーな食用魚でもあります。韓国産のサワラは、日本の魚屋でもたまに見かけますよ。

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