「ソイ」と呼ばれる魚にはいくつか種類がいて、その中でもマゾイとクロソイは激似すぎて違いを見分けるのが非常に難しいです。


これは見分けつかんでしょ・・・。むしろ同じ魚でしょ(違)。
今回はマゾイとクロソイの違いを紹介しつつ、見分け方のポイントを解説していきます。
結論から言うと、マゾイとクロソイの違いは「顔の涙骨という場所にトゲがある/ない」で見分けます。
涙骨にトゲが・・・、
- ある→クロソイ
- ない→マゾイ(キツネメバル)
「涙骨」については後ほど画像で紹介。それでは両者の違いと見分け方をさらに詳しく見ていきましょう。
マゾイとクロソイの違いと見分け方
マゾイは標準和名を「キツネメバル(狐眼張)」と言い、ソイ類の代表的な魚であることを意味する「マゾイ」は通名。一方、クロソイも同じくらい有名な魚なので、両者の激似ぶりは常に混乱を招いてきました。
マゾイとは? クロソイとは? それぞれ別々の記事で詳しく解説しています。
マゾイとクロソイの共通点は、両者とも「メバル科メバル属」に分類される魚ということ。そして味も非常にそっくり。
近縁種だから形が似るのも当然と言えば当然ですが、厳密にはお互い別個の生物という大きな違いがあります。
マゾイとクロソイはどう違う?
マゾイとクロソイの具体的な違いは主に3つ。
- マゾイとクロソイは別々の種
- 市場価値はマゾイが上(の場合が多い)
- 見た目がわずかに違う
マゾイは「カサゴ目メバル科メバル属キツネメバル」という種、クロソイは「カサゴ目メバル科メバル属クロソイ」という種で、別個の生き物です。例えて言うなら、われわれ人間(ホモサピエンス)とネアンデルタール人の違いみたいなものでしょうか。
次に、食材としての市場価値を見た場合、クロソイよりもマゾイの方が高価であるケースが多いです。
鮮度やサイズ、水揚げされた地域や季節など様々な条件により魚の価値は上下するため、魚どうしの価値を比較するのは簡単ではなく、時には価値が逆転することもあります。その上で、総合的にはマゾイのほうが高価とされる場合が多く、クロソイの3倍ほどの値がつく場合も。大型のマゾイは個体数が少なく高級魚と言って良いでしょう。ソイやカサゴなどの磯魚が高級魚となる理由は別記事にて解説しています。
マゾイとクロソイが別の魚であることは分かりましたが、どのように見分ければ良いのでしょうか?見た目の違いも詳しく見ていきましょう。
マゾイとクロソイの見分け方
マゾイとクロソイは「涙骨」という部位のトゲのある/なしで簡単に見分けることができます。
具体的には、下絵の赤丸部分に注目。

上の写真はクロソイで、口の方に向かって(下に向かって)顔に沿うように3本のトゲがあるのがわかるでしょうか?目と口の間の硬いギザギザ部分のことです。
これがクロソイの特徴。
ちょっと絵的にはわかりづらいけど、実際に見たり触ったりすればすぐ分かるレベルのはっきりとしたトゲです(下の写真の通り)。

対するマゾイはこちら↓

マゾイは、涙骨の所にトゲがありませんね。
これは一目瞭然!(・・と言うにはあまりにも細かい・・。)
他の見分け方
「“クロ”ソイ」と呼ぶだけあり、体色はマゾイよりクロソイのほうが濃い色をしています。また、マゾイは体全体に縦の太い縞模様を持ちますがクロソイにはありません。
加えて、マゾイのヒレ(背ビレ、尾ビレ、尻ビレ)は縁が鮮やかな青緑色をしていますが、クロソイは違います。さらに、マゾイはクロソイより体高が高く、全体的にふっくらとする傾向を持つのも特徴の一つ。
しかしこれらの特徴はどれも分かりづらく、縞模様やヒレの鮮やかな色は死後にボヤけてしまい、ほとんど見分けはつかなくなります。
一番分かりやすいのは、やはり涙骨のギザギザです。
ちなみに、メバル属には黒メバルをはじめ見た目の似た魚がたくさんいて混乱しがち。中でもクロソイとマゾイはあまりにも似すぎているため、一緒くたに「ソイ」と呼んで扱われるケースも多いです。
マゾイとクロソイの味の違いは?
マゾイとクロソイの味の違いは、サイズや鮮度などあらゆる条件が同じ場合、非常に判別しづらく、切り身にしてしまえば見た目も瓜二つなので、違いを見極めるのはさらに困難になります。そのような場合、値段もほぼ同じくらいで売買されることも多いです。
ソイ類は総じて身に弾力があり、あっさり系というよりは濃い味わいの白身魚。刺身にも煮付けにも使えます。骨などのアラから良い出汁が出る磯魚の特徴を生かしたアクアパッツァなどの洋風料理にも最適。
正直、筆者はマゾイとクロソイの味の違いを正確に見分ける自信はありません。同じタイミングで食べ比べてみれば、あるいは違いを発見できるかもしれません。とにかく似てるので味の判別は難しいですが、両方ともとても美味な魚であることは強調しておきます。
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