明太子やタラコの偽物とは?

魚介の雑学

明太子やタラコの偽物があるという噂を小耳に挟みました。

明太子もタラコもご飯のお供、とりわけ、おにぎりの具材として定番の存在。そんなメジャー級食材の偽物があるとはにわかに信じられないけど・・・。

筆者自身は偽物を見たことはありませんが、あり得る話だなと直感したので、どうして「明太タラコ偽物疑惑」が発生するのか推察してみました。

明太子やタラコの偽物があるってホント?

明太子とタラコの偽物は世に出回っているのか?

まず前提として、明太子とタラコはスケトウダラ(スケソウダラ)の卵巣の加工品のことです。明太子は「“辛子”明太子」と同じモノと考えてほぼ間違なく、必ずスケトウダラの卵が使われていなければなりません

一方、「タラコ」もスケトウダラの卵を原料とするのが一般的ですが、広い意味では「鱈子(タラコ)」の名前の通り、スケトウダラ以外のタラ科の魚が使われても間違いではありません

スケトウダラはマダラと同じタラ科の海水魚。白身のあっさりとした味わいは、卵巣以外も美味しく食べれます。卵巣というのは、魚の卵が入った袋のような臓器のことですね。内臓の一種です。

マダラは精巣(「雲子」と呼ばれる)が美味なお魚として知られていますし、精巣はマダラで、卵巣はスケトウダラという感じ。

「明太子の偽物」の存在とは?

SNSを中心に、「明太子の偽物を見た」という情報が一部のスーパーなどに対して出回ったようです。明太子に比べ粒が小さいのが特徴だとか。

そんなことあり得るのでしょうか?

筆者は「明太子の偽物」を見たことはありませんが、これは率直に言ってあり得る話だと思います。

そもそも、多くの魚の卵巣は食べることができ、だいたい美味しいです。筆者自身、職業柄、ヒラメとかクロダイとか様々な魚種の卵巣を食べてきましたが、突出してスケトウダラのものが美味しいというわけではなく、おしなべて似たような味でした。(もちろん粒の大きさ、食感、色など多種多様ではある)

何が言いたいかというと、スーパーマーケットやお魚屋さんが独自に工夫して、未利用魚や低利用魚含め、スケトウダラ以外の魚の卵巣を加工品として販売することは考えられるということ。

もちろん、スケトウダラではない魚の卵を「明太子」と偽るのはダメです。しかし、例えば「クロダイ明太子」みたいに銘打つのは、微妙なラインだがアリなのかも。(ちょっとズルい気するけど・・・)

あるいは、明太子と同じ手法で加工した魚の卵は、見た目は明太子とそっくりになるので、よく調べずに購入した消費者側が、店側の意図に反して「偽物だ!」と思い込んでしまうケースも考えられます。

他の魚の卵の加工品を商品化するのは、魚介類の持続可能性の観点からは良いことだろうし、海洋環境も変化する昨今、初めて見るような魚介類、海鮮食材が食卓に並ぶようになっていくのかもしれませんね。

「偽物」という言い方は印象悪いので、売る側も買う側も、見方と扱いを改める必要があるかもしれません。

魚の卵はだいたい美味しい

魚の卵巣を原料とした食材は明太子以外にもあり、高級食材「カラスミ」はボラの卵巣が原料です。

卵巣そのものではありませんが、魚卵で有名なのは、鮭の筋子、ハタハタのブリコトビウオの「とびっこ」など。

つまり、卵巣や魚卵が美味な魚はスケトウダラ以外にも存在し、繰り返しますが、スケトウダラの卵巣だけが飛び抜けて美味しいというわけではなく、卵巣が美味しい魚はたくさんいます

個人的には、魚の卵巣を比較したとき、一番違うのは大きさと食感だと考えます。例えば、イクラのようにプチッとするもの。イクラより粒が小さくコリコリとした「数の子」を想像すると分かりやすいでしょうか?

「明太子の偽物」は、「〇〇の明太子」などと銘打って売るとかして、消費者側も「今日は〇〇の明太子なのね」みたいな考え方で慣れると良いのかなという感じです。

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