「飛ぶことのできる魚」でお馴染みのトビウオ(飛魚)を紹介します。
「飛ぶ」と言っても、鳥のように羽ばたいて上昇したりはできず、水面に勢いよく飛び出して、翼のようなヒレを広げて滑空するメカニズムのようです。
しかし、魚なのに「海の中」という世界を飛び出してしまうという発想は唯一無二。非常に興味深い魚ですよね。
また、イワシやボラに似ているとも言われるトビウオですが、両者の関係性はどういったものなのでしょうか。詳しく解説していきます。
トビウオ(飛魚)とは?イワシやボラとの違いも解説
トビウオは比較的暖かい海の沿岸部、表層近くに群れで暮らすことが多い魚で、身質は赤身の青魚で、骨が多く、捌いてみると脂は少なめな印象を持ちました。
旬は夏から秋とされ、魚市場では夏の時期によって一気に入荷される魚でもあります。
食用魚としても広く認知されているのですね。
なお、イワシやボラなどに見た目が似ていますが、これらは全く別種の魚となります。
トビウオ、ボラ、イワシの関係性
トビウオ、イワシ、ボラを生物学的に見ると、以下のように全く異なる分類であることが分かります。
- トビウオ → ダツ目ダツ亜目トビウオ科ハマトビウオ属
- イワシ → ニシン目ニシン亜目ニシン科マイワシ属
- ボラ → ボラ目ボラ科ボラ属
つまり、3種は「海水魚」という共通点はあるものの、全く別物であるということ。
しかし、見た目はよく似ていますよね。

イワシかな??
いや、トビウオです。

体の断面(真正面から見た感じ)は逆三角の形をしていて、これはボラによく似た特徴でもあります。
目や口をよく見ると、ボラとトビウオは結構よく似ていると感じるはずです。トビウオの一番の特徴である「翼のような胸ビレ」はボラにはありません。
発達した胸ビレが翼のよう
トビウオの発達した胸ビレにもう少し焦点を当ててみましょう。
翼みたいな胸ビレを開いてみます。

ご覧のように、本当に翼のようです。
よく見ると腹ビレも飛行機の尾翼みたいで不思議。

先ほども書きましたが、胴体は真正面から見るとちょっと逆三角で、これも飛行機っぽくて不思議な特徴と言えるでしょう。
滑空するのは、もちろん食べられないように逃げるためなんだろうけど、発想が斬新で面白いですよね。
しかし、トビウオは鳥のように飛ぶわけではなく、あくまで「滑空」です。
つまり、翼のような胸ビレで羽ばたくことはできないということで、グライダーのようなイメージと言えばわかりやすいでしょうか。
風に乗って上昇するようなケースはあるかもしれませんが、鳥のように自力で羽ばたいて飛ぶことはできません。
トビウオの種類
「トビウオ」という呼び名は「トビウオ科」に属する魚の総称を指す場合があり、トビウオ科には、今回の記事で紹介している「トビウオ」の他、「ハマトビウオ」や「ツクシトビウオ」なども属していて、これらも食用とされています。
ちなみに、トビウオの種類を世界的に見ると、全部で50種類ほどにもなるのですね。・・意外に多くてビックリです。
トビウオは「一夜干し」するべし
トビウオはイワシやサヨリなどと同じ赤身の青魚です。
刺身で食され、焼いて食べることも多い魚ですが、中でもオススメの食べ方は「一夜干し」ですよ!
トビウオの一夜干しのやり方で紹介しています。
ところで、トビウオの漁方に関して、wikipediaに面白い情報がありました。
“伝統的漁法として、トビウオならではのものとして、飛翔するトビウオに対し皿を手裏剣のように投擲し、海に落ちたものを拾い集めるものがある”
とのこと。
嘘のような本当の話です。
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