「飛ぶ魚」と言われるトビウオ、なぜそのような動きをするのでしょうか?また、どうやって飛んでいるの?
魚は、海面から飛び出してジャンプすることがあります。海や湖、川でも良いですが、ポチャン!と魚が跳ねる音を聞いたり、姿を見たりすると思います。
しかし、トビウオのように明らかに飛んでいるように見える魚は珍しい。
トビウオが飛ぶ理由と、その仕組みを調べました。
【飛ぶ魚】トビウオはなぜ飛ぶのか?飛ぶ仕組みを解説
トビウオは比較的暖かい海の沿岸部、表層近くに群れで暮らすことが多い魚。全長は30〜40cmほどで主食はプランクトンなど。“飛ぶこと”を除けばサンマやイワシなどと似た生態を持ちます。
実際、「ダツ目トビウオ科」に属するので、「ダツ目ダツ上科サンマ科」のサンマとは親戚のような間柄と言えるかもしれません。トビウオとはどんな魚か。別記事でも紹介しています。
無二無三(むにむさん)の魚と思われがちですが、トビウオに似た魚も多数おり、見間違えられることもしばしば。特技は派手ですが、見た目はけっこう地味です。以下記事で解説しています。
さて、世の中に不思議と言われる魚は多いけど、中でも「飛ぶ」という個性は抜きん出てユニークに思えるわけです。なぜ、トビウオは泳ぐだけでなく空中にも飛び出すのでしょうか?
トビウオはなぜ飛ぶのか?
トビウオが胸ビレを広げて飛ぶ理由は、マグロ、カジキ、シイラ、イルカなどの捕食者から逃げるためと言われています。
原始的に「ただ逃げる」だけでなく、奇をてらって相手の目をくらます効果があり、イカやタコが墨を吹いたり、昆虫が死んだふりをしたりするのと同様の特技と言えそうです。
魚から逃れて空中へ飛び出したトビウオ。しかし空中は100%安全地帯ではありません。海鳥にとっては飛んで火にいる夏の“魚”ということで、鳥からも追われる立場となってしまいます。
トビウオは海鳥から逃げるために、飛ぶ向きを変えたり急降下したりして逆に海の中へ飛び込んだりすることもできます。
逆に、空中で滑空する特徴を利用した漁方もあり、飛んでるトビウオに皿のようなものを投げて気絶したトビウオを拾うやり方があるそうです。
羽(のような胸ビレ)を手に入れたからとて無敵ではなさそうですね。
トビウオが飛ぶ仕組み
トビウオをよく観察すると、厳密に言えば「飛ぶ」というより「滑空する」動きをしています。
実は「飛ぶ魚」と言っても、鳥のように羽ばたいて上昇したりはできず、水面に勢いよく飛び出して、翼のようなヒレを広げて滑空するメカニズムのようです。
風に乗って滑空するグライダーのような動きで海面から2〜5メートルくらい浮いた空中を真っ直ぐ移動し、翼のようなヒレを器用に動かして方向転換や急停止(急下降)も可能。
トビウオの翼(胸ビレ)は明らかに鳥類のものとは違い、蝶やトンボなどの昆虫のようにツルっとした触り心地で、昆虫のものよりは破れにくい厚さでした。


よく見ると腹ビレが後ろのほうに付いていて、広げると飛行機の尾翼みたいに羽が4枚になる感じ。

胴体は真正面から見るとちょっと逆三角になっていて飛行機っぽい。空気抵抗をすくなくするための進化でしょうか。
トビウオが当たると痛い?
トビウオが空中滑空する時の速度は50〜70キロくらいだそうです。
車の速度を考えるとかなり早いように思えます。しかし大谷翔平選手の打球速度が180キロとかで、野球のボールに関しては打球が当たって即死とかは想像しにくいところ(もちろん当たりどころによってはヤバい)。
質量とかでも危険度は変わるでしょうから何とも言えませんが、20センチほどで1kgにも満たないトビウオが人間の体に当たっても、「痛っ!」くらいで済みそうです。
しかし洋上で船の上とかでトビウオに突撃されることを想像すると、海に落ちるなど2次的な事故に繋がるかもしれないので、当たった時の痛さだけでは語れないリスクもあるでしょう。海の上で魚にぶつかること自体が想定外すぎてパニックになるかもしれませんし、侮れません。
トビウオとは違いますが、同じダツ目の仲間には口の尖った体の大きな種もいて、海面から飛び出してきた魚が首に刺さって重傷を負った釣り人もいたり、ダツ目はけっこう突っ込んでくる魚として世界的に有名っぽいです。
ちなみに、トビウオは食材として優秀。トビウオの一夜干しは美味でした。



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