高級食材の「カラスミ(唐墨)」といえば、ボラの卵のことです。
お腹から取り出した卵を塩漬けして乾燥させれば、黄金色の「のべ棒」の出来上がり。これがつまり「カラスミ」の作り方というわけです。
スライスしてそのまま食べたり、チーズスライサー等を使ってパスタ等に振りかけて召し上がりましょう。
イタリアではカラスミを「ボッタルガ」、フランスでは「ブタルグ」、英語では「ボターゴ」、実は日本だけでなく世界でほぼ同様の食材が存在しています。
食べるのは卵巣だけでなく身のほうもよく食され、ボラは世界レベルで実用的な魚であり、古い歴史を持つ魚なのです。
高級食材“カラスミ”の原料となる魚「ボラ」
ボラの歴史は古く、様々なエピソードを持つ魚。
食材として見ればやはり有名なのはカラスミです。他にもボラには注目すべきポイントがいくつもあり、「いくつもの興味深い特徴を持つボラという魚とは?」の記事で紹介しています。
カラスミとはボラの卵巣を塩漬けして乾燥させた食べ物で、昔は保存食としての意味合いが強かったのでしょうが、時を経て超高級食材の地位を確立しました。
ボラのカラスミとは?
カラスミの名前の由来は中国伝来の墨「唐墨」に見た目が似ていたことから。
もともとは中国から長崎へ伝来したものとされていて、当時はボラではなくサワラを使っていたそう。
唐墨とは、その名の通り墨(スミ)のことで、字を書くためのインクのようなものです。これは書道をされる方でなくとも想像がつく人は多いのではないでしょうか?墨汁を作るための固形物で、魚の卵巣の加工品がその形に似ていたことから付いた名前です。
カラスミはボラ以外の魚の卵(卵巣)でも「○○のカラスミ」のように呼ばれて商品化されています。有名なところでは伝来当時のサワラだけでなく、サバやタラなど。
とりわけ、ボラの卵は特別(味と大きさ)で、ふつう日本で単にカラスミと言えばボラの卵巣のことです。
ボラの卵巣は日本三大珍味の一つ
カラスミは日本三大珍味の一つでもあります。
確認ですが、日本三大珍味と言えば
- 越前国のウニ
- 三河国のコノワタ
- 肥前国のカラスミ
ですね。ちなみにコノワタとは、ナマコの内臓の塩辛です。
三大珍味などと言われてしまうと、一気に食べてみたい欲求が増幅してきますよね。
「珍味」と聞くと抵抗感を感じる人も少ないでしょう。カラスミはクリーミーで塩気と旨味があり、それほどクセの強い食材ではないと個人的には感じます。見た目も味もチーズに近く、食べやすい珍味だと思います。
カラスミの食べ方
珍味とされるカラスミの味は、繰り返しになりますが塩味とチーズっぽいコクを加えた感じで、焼きたらこのようなものと言うとわかりやすいでしょうか(「たらこ」もスケトウダラの卵巣です)。
補足するなら、モノによっては若干の鉄分っぽい味がする場合も。
ほぼ気にならないくらい微妙なところではあります。青魚を刺身で食べるような鉄分っぽさは感じません。それでも魚介類が苦手な人は、魚介独特の臭みを感じるかもしれません。
カラスミの食べ方は、
- スライスしてそのまま
- チーズ削りなどで削ってふりかけに
- 火を通して
など、調理法は様々。料理のアクセントとしての用途も多い素材です。
ピザの具材として火を通して食べられたりもします。
自作しよう!カラスミの作り方
高級食材なので、一般消費者のもとに生のボラの卵が届くという事は少ないでしょうが、釣りの対象魚としても人気ですし、入手できないとも言い切れません。
カラスミ作りは奥深いながらも、素人が意外とそれっぽく作る事は可能です。もちろん高値で仕入れる一級品と同じようには難しいだろうけど、ざっと手順を解説すると次の通り。
- ボラのお腹から、卵巣を破らないように慎重に取り出す
- 破らないように、慎重に水洗いする
- 塩を塗り込み、タッパーなどに入れ冷蔵庫で2〜5日おく
- 塩を洗い落とし、多めの水を貼ったタッパーに浸して1日おく(塩抜き)
- 水から卵を上げて天ぷら網などにのせ、冷蔵庫内で3日〜1週間ほど乾燥
[補足]:
- 4の塩抜きは、日本酒でやる人も多いです。そのほうが塩も抜けやすく、また殺菌効果もありそうですね。
- 4と5の工程でかける時間の長短により、塩味と、柔らかさ(硬さ)が決まります。卵の大きさや、冷蔵庫の種類など様々な要素に影響されるので、半日くらい毎に手で触って感触を確かめると良いでしょう。塩味については確かめようも無いので、何度か作って試行錯誤を繰り返すしか無いかもしれません。
スーパーなどでも、ボラの卵は無いにしろマダラの生の卵などは「あるところにはある」でしょう。ぜひカラスミ作りに挑戦してみてください。
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ボラの卵(カラスミ)は本来、天日干しで作ります。冷蔵庫で乾燥させるよりもそのほうが栄養価が高そうですし、味も良さそうですね。自作のクオリティを高めるためにも、まずは本場の味を。
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