【魚の塩水処理】刺身や焼き魚が美味しくなる方法

料理レシピ

“塩水処理”は、文字通り食材を塩水に漬け込んで、臭み除去と下味をつける下処理です。

主に魚介類に対して行われますが、肉や一部の野菜にも使われます。

簡単に言えば、塩水を作って食材を漬け込むだけ。“浸透圧”の作用で水分が抜くことができます。

今回は魚に対する塩水処理のやり方を解説。

【魚の塩水処理】効果とやり方を紹介

塩水処理とは、食材を塩水に漬け込んで臭みを取る下処理のこと。「浸透圧」の作用を使って、食材の余分な血液、臭みを取り除くことができます。

やり方は、水の容量に対し3%〜5%くらいの塩を溶かして漬け込むだけ。ちなみにこの塩水は料理用語で「立て塩」とも呼ばれ、魚などの処理方法として昔から使われてきました。現代においては「ピチット」という臭み取りや食材の脱水のための便利な料理道具も登場していて、塩水処理と似たような効果を手軽に得ることができます。

今回は昔ながらの古典的な塩水処理を紹介していきます。

塩水処理の効果

魚の切り身などを塩水に漬け込むと、身の中の水分が外に出ようとする働きが起こります。

この働きは「浸透圧」と言って、例えば、濃い塩水と水をセロハンなどを間に挟んで隣接させた場合、時間が立つと濃い塩水側の水位が上昇するという現象がおこります。

セロハンは塩を通さず水だけ通す「半透膜」なので、塩分濃度の違う液体をセロハンを隔てて並べた場合、膜の両側の塩分濃度が一緒になるよう、水がセロハンを通過して塩水側へ移動するというカラクリ。

浸透圧のしくみを利用した「塩水処理」は、魚の切り身に含まれる余分な水分を塩水側に移動させる効果があるのです。

臭み取りが塩水処理の主な効果ですが、当然、食材に対し塩味をつける効果も。塩分濃度と漬け時間と水分量をいろいろ変えると、塩味の加減や水分の抜け具合を調整することができます。

さらに、水分抜いて塩味を付けることで食材を長持ちさせる効果もあります。ただし、アニサキスなど寄生虫を除去する効果はありません。

塩水処理のやり方

まず、塩水(つまり「たて塩」)を作ります。

3%のたて塩を作りたい場合、水1リットルに対し30gの精製塩を溶かすだけ。水の量と塩の量は漬け込む食材によって調整します。塩分濃度は水量に対し3%〜5%で、料理業界では海水の塩分濃度と同じと表現されることが多いです。

魚の切り身を塩水処理する場合、大きめのタッパー容器などにヒタヒタに立て塩を作って漬け込むだけ。

漬け込む時間と塩分濃度は、食材やどんな料理に使うかでまちまち。刺身の場合は濃度3パーセントで10分くらいでOKです。焼き魚にする場合は15分〜20分くらい。

トビウオの一夜干しを作った時に塩水処理したのでそちらでも解説しています。

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一夜干し、つまり干物なので半日ほど漬け込みしっかりと塩味をつけました。水分が抜けすぎたとしてもそもそも干物なので大丈夫ということで。

塩水処理してはいけない魚

エビやカニなどの甲殻類、イカやタコなどは塩水処理しません。カニやイカは体中に海水を含んでいるので浸透圧が働かず、塩分濃度によっては逆に水分を吸ってしまうからです。

カニやイカの臭み取りは、塩水処理の代わりに片栗粉を使います。食材にまぶしてから軽く揉んだあと10分ほど置いて水洗いすれば、余計な臭みが取れて焼き上がりもふっくらとします。

また、個人的な意見ですが、状態の良い魚は塩水処理しない方が良いと思います。

特にマダイやヒラメなど白身魚は繊細な旨味があるので、「振り塩(身に塩をふるだけ)」で十分と思ってます。

塩を振った魚から出た水分をペーパーで拭き取るのも、状態の良い魚ならば要りません。塩の作用で身から出た水分は、さらに時間を置けばまた身に戻り旨みが逃げません。

エビやイカも、状態の良い刺身用のものなら臭み取りは不要だと思います。スーパーで売られている刺身様のものはケースバイケースです。

ちなみに、アサリなど貝類の砂抜きも塩水処理と似ています。でも、目的は臭み取りというよりは砂や老廃物を綺麗にすることなのでちょっと違うかも。浸透圧と違い、砂抜きは生きた貝の新陳代謝でゴミを体外に出させます。

肉料理にも使える塩水処理

高いお肉を塩水処理するケースはあまり聞きませんが、スーパーなどで手に入れた安価なお肉に対して行えば、肉を柔らかく美味しく焼き上げることができます。

麹漬けのような、肉料理の下処理のバリエーションとしてアリじゃないでしょうか。

塩漬け肉やパンチェッタ、ベーコンなども塩水処理で作れる?と、ふと思いつきましたが、肉の保存食の一般的な作り方は、塩をすり込んだ肉を一定期間置き真水で塩抜きして乾燥させるのが王道なので、ちょっと微妙かも。試してみてもおもしろいかもしれませんけど。

野菜にはどうかというと、たぶん漬け物になるのかな?

その他の塩水処理方法

業務用になりますが、大規模に塩水処理をする機械もあります。筆者は詳しくないけどたぶんスーパーとかで魚の切り身を量産したりするのに使われるのかなと想像しています。あるいはチェーンの回転寿司店とか?

家庭用だとすでに紹介した通り「ピチット」が有名。家庭用と言いつつ、プロの世界でもよく利用されます。ピチットには筆者もよくお世話になっていて便利なので、機会があれば使い方を紹介してみたいと思います。

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