アサリの砂抜きのやり方と、長期保存のコツを紹介していきます。
潮干狩りでも手軽に採取できるほど身近な貝「アサリ(浅利)」は、太古の時代から日本で食べられてきたことが考古学などで分かっているそうで、日本のソウルフードと言っても過言ではないと思います。
英語圏だとアサリは「calm」、ハマグリ も同じ「calm」、つまり、まとめてcalmなのが欧米の皆さん。何が言いたいかというと、欧米よりも日本はアサリという二枚貝を愛しているのでは?ということ。
しかし、愛するアサリを口に入れた瞬間に「ジャリッ!」となっていまえば100年の恋も冷めるというものです。
アサリの砂抜きのやり方を紹介した上で、鮮度落ちが早いアサリの長期保存のコツも解説していきます。
【アサリの砂抜き】やり方と長期保存のコツ
「アサリの砂抜き」とは何か?それは、体内に蓄積された砂を除去して食べやすいようにする下処理のこと。多くの貝類に共通した下ごしらえでもあります。
解説に移る前に本当のことを書いておくと、「砂抜き」で砂やジャリを100%除去できるかというと、実のところ完璧ではありません。個体によっては、どうしても砂が残ってしまうこともあります。それでも、砂抜きをするのとしないのとでは大違いです。
100%でなくとも、アサリを食べる前には必ず砂抜きを行いましょう。砂が残ってしまう場合の対処法も後ほど書いてます。
まず大前提、砂抜きの前に、鮮度の良いアサリを入手することが一番大事です。元気なアサリに対して、海水に近い塩水に浸したまま、生きたままの状態で冷暗所に安置して一定時間放置すれば、砂抜きは終了。これから詳しく手順を解説していきます。
砂抜きの前にアサリの鮮度を見極める
アサリは砂抜きから料理に使うまで、生きてる状態のものを使います。(冷凍もののアサリは砂抜き不要)
元気なアサリを手に入れることは、後の砂抜き処理もキレイに行うことができます。なるべく鮮度の良いアサリを入手しましょう。
ただ、アサリは生きているのか死んでいるのか見ただけではよく分からない生き物なので、鮮度の良いアサリの見分け方の記事をご覧ください。また、死んでしまったアサリの見分け方は後ほど。
一言で簡単に言うとすれば、鮮度の良いものは以下の特徴があるということ。
- 薄く開いた口から管を出して、ニョロニョロと動き回っている個体がたくさんいる。
アサリを一個だけ買う!!なんてことは、あまり無いはずなので、売り場のアサリ一粒一粒が、上記のような状態を多く保っているのであれば「買い」です。鮮度が良いことは間違いないです。
見極めが微妙な個体は、死んでいるアサリの特徴を、後ほど紹介する記事を参考にして判断してください。
さて、購入したアサリは、できればお店から塩水を貰い(アサリは塩水に浸した状態で売り場に陳列されてます)、それに浸した状態で持ち帰りましょう。
潮干狩りの場合は、アサリが住んでいた場所の海水を後ほど砂抜きに使うことができますので、アサリの量にもよりますが300〜1000mlくらい余分に持ち帰ると良いですよ。
砂抜きに適した塩水を準備する
鮮魚店などで購入したアサリを砂抜きするための塩水を準備します。
ポイントは次の通り。
- 水道水を丸1日、ボールやバットに溜めて冷蔵庫内で冷やしておく(必須ではない)
- 水の量はアサリを平らに並べて頭が少し出るくらいの量
- 塩分は水の量の3%
- ハチミツを2、3滴混ぜる
- アサリが重ならないような平たい容器を使い、フタも準備する
- アサリの吐いた砂が沈殿するように網をかます
以上、6つのポイントを踏まえて用意した塩水が下の写真のような感じ。

水道水を丸1日、冷蔵庫内に置くことでカルキが抜け、かつ水温を低めに保って置くことができ、アサリにとっては環境変化が少なくなります。
しかし、カルキが抜け切らないままでも、また水温が高めの状態でも、元気なアサリであればちゃんと砂を吐く活動をしてくれます。アサリというのは、環境の変化に強い生き物です。
とは言え、よりアサリに低負担の環境を作るには、カルキを抜いて水温を低めに保った方が良いでしょう。
アサリを塩水に入れて冷蔵保存
用意した塩水にアサリを入れて、重ならないように丁寧に並べてください。
頭を水から少し出してあげることで、より活発に砂吐きの行動を取ります。
アサリが重ならないような容器を準備し、勢いよく水を吐いて周囲に水が飛び散らないように蓋を被せることも忘れずに。
さらに、吐いた砂を再び吸い込まないように、網を下に敷く等してアサリを浮かせて置くのもポイントです。
また必須ではありませんが、ハチミツを少し入れるとアサリを調理した時に旨味が増しますので、余裕があれば試してみると良いと思います。
以上のポイントを加味してアサリを塩水に浸した状態が下の写真。

この上に蓋をかぶせ、冷蔵庫で丸一日、静かに安置してください。
翌日、入れ物の底には砂やらゴミやらたくさん出ていれば、砂抜きは成功です。

この通り、アサリの砂抜きに使用した塩水は、砂やゴミ、アサリの排泄物なのでカナり汚れています。
アサリは冷蔵庫の中、大きな音や振動のない暗い世界を好みます。急に蓋を開けると口から水を勢い良く吐き出すので、顔にかからないように注意してください。割とよくあります。
アサリの長期保存のコツ
砂抜きを終えたアサリは、そのまま塩水に漬けた状態の冷蔵保存で1〜2日ほど生存します。保存用の塩水は、砂抜き後に取り替えた方が良いでしょう。
アサリの状態によって、1日で死んでしまうもの、3日以上生きるもの、寿命はまちまちです。死んだアサリの見分け方も解説していますので参考にしてください。
砂抜き後はすぐに調理して食べることが望ましいですが、もしそうできない場合は、冷凍保存しましょう。
水を切ったアサリをジップロックなどに入れて、そのまま冷凍室に入れるだけなので簡単です。1週間以上保存でき、使うときは解凍せず、そのまま鍋で煮たりフライパンで焼いたりすればOKです。

“砂抜きできない”場合の対処法
先ほども書いたように、砂抜きで完璧にアサリが綺麗になるかというと、そうでは無い場合も実はあります。
砂抜きにより、アサリの体内の老廃物はほぼ綺麗になります。しかし、二枚ある貝の上蓋と下蓋(左殻と右殻という)の淵のあたりに砂が蓄積されていることがあり、これが身にくっついてしまう場合があるのです。
貝の「ジャリッ!」という食感がどうしても許せなければ、火を通して貝が開いた後、気になる場所をキッチンペーパーなどで綺麗に拭き取るなどする必要があるでしょう。
砂は殻に残ることが多いため、殻付きのまま調理しないことも重要です。火を通したアサリの身を殻から外すことで、さらに砂をつきにくくすることができます。
アサリを加熱した時、白い泡が出るのはナゼ?
アサリのお味噌汁や酒蒸しなどを作るとき、加熱に伴ってアサリの口の隙間から白い泡が出ることがあります。
原因はタンパク質で、アサリの身に含まれたタンパク質が沸騰した水分と一緒に硬い殻の隙間から噴き出す際に泡となるのです。
シンプルに茹でた時、アサリの茹で汁が白く濁るのも理由は同じタンパク質。
意外なことに、アサリ汁の白濁の成分はこれまで謎だったそう。
白濁物質を電子顕微鏡で見ると大きな塊になっていることが分かりますが、たいていの場合タンパク質は熱によって性質が変わるので、この塊はこれまで「灰汁(あく)」だと思われてきました。
しかし最新の研究ではアサリ汁の濁りはやはりタンパク質で、「熱に強いタイプの特殊なタンパク質」である事実が判明したようです。
ちなみにアサリ汁のタンパク質に旨味成分は含まれていません。美味しい味はまた別の成分ですが、タンパク質による白濁も「美味しそう」と感じる要素になっているのはないでしょうか。
もちろんアサリ汁の栄養価が高いことは言うまでもなさそうですね。
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