カガミダイ(鏡鯛)とは?食べ方と寄生虫「アニサキス」のリスク有無

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カガミダイ(鏡鯛)はご覧のように珍妙な姿をしているため、水族館で観賞するような海水魚である一方、食用として一定の流通量もあります。

手鏡のようなシルエットとギラギラとした輝きは「鏡」という名に納得。観賞用なら分かるけど、いや〜正直マズそう・・・。本当に食用魚なのかと疑ってしまう人も多いはず。でも、ある特定の地域だけで食べられる魚ということではなく、ちゃんと日本全国で流通してます。数は少ないですけどね。

では、カガミダイのベストな食べ方は?

アニサキスなどの寄生虫リスクは存在するのでしょうか?

今回は食材としての「カガミダイ」に注目してみました。

カガミダイ(鏡鯛)の食べ方と味わい

カガミダイの味はマトウダイに似ています。カガミとマトウは近縁種なので見た目だけでなく味もそっくり。食べ方も必然的にマトウダイと似通った方法になるでしょう。

マトウダイの捌き方
マトウダイの捌き方を紹介しています。不思議な見た目の魚だけど基本は他の魚と同じ。

マトウダイは国内外で認知された食材で、洋食の教本などにも登場するメジャー魚種。焼いて食べるのが一般的。カガミダイはマトウダイほど有名ではないけど、似た魚と考えれば扱いやすいかもしれません。

カガミダイは生食も可能。寿司ネタなら“光り物”と呼んで良さそうですが、そもそもネタとしてはどちらかと言えばトリッキーな部類の魚だと思います。正直、カガミダイの刺身は不味くはないけど美味とも言えません。

では、カガミダイはどう食べるのが美味しいのでしょうか。それは火を通して食べること。

カガミダイの食べ方は“焼き”が一般的

カガミダイの一番ベストな食べ方は、焼いて食べること。この点マトウダイと同じで、焼き魚でもフライでもソテーでも、とにかく火入れして食べると美味しいです。

塩焼きなら、頭と内臓を除去してそのまま焼いて食べて良し。骨はしっかりと太いため身離れが良く、皮も美味しいし、見た目以上に肉厚な魚でもあります。

ムニエルやソテーはこの手の魚では定番中の定番。マトウダイが有名ですが、カガミダイでも遜色ありません。

アラから良い出汁が出るので、煮物もオススメです。唐揚げもOK。

一方で、生食は難易度が高め。分かりやすく言えばあまりオススメできません。でも工夫次第で美味しく食べることは可能です。

カガミダイに寄生虫はいる?

海の生き物である以上、寄生虫リスクはゼロではありません。

気になるのは、アニサキスのように人体に悪影響のある寄生虫ですが、カガミダイを食べてアニサキス症を発症したというのは聞いたことがなく、厚生労働省などからの注意喚起も出ていないようです。

しかし、寄生虫リスクの可能性はゼロではないと思います。

食材としてマイナーな存在であるため、発症した人の絶対数がサバなどの魚に比べて圧倒的に低いという側面もあるかもしれません。あるいは食べ方の多くは火を通す料理であることも食中毒の報告がない理由だと想像します。

いずれにしても注意するに越したことはないでしょう。

カガミダイの生食は工夫が必要

カガミダイは刺身、カルパッチョなどの生食も可能。しかし身に水分が多く、刺身よりも火を通して食べる方が美味しいかなと個人的には感じますし、生食はあまり一般的ではないように思います。

寿司ネタとしてもあまり使われません。

どうしても刺身で食べる場合は、昆布締めや一夜干しなど、味を凝縮させたりするような工夫が必要。

例えば「ピチット」を使うと手軽なのでオススメです。

「ピチット」は、難しい技術も要らなく手軽に魚の臭みや水分を取り除くことができる、プロの料理人も使うキッチン用品です。魚の切り身などにラップのように密着させて包めば、半日も経つと水分を吸収します。(旨味は残す構造になっている)

道具を使って一手間かけるというのもアリかなと思います。塩水処理一夜干しなども効果的かなと感じます。

カガミダイは焼いて食べるのがベストなのだと分かったところで、食卓に並んだカガミダイを前に披露したい豆知識も紹介していきます。

カガミダイは光り物?

カガミダイの体が銀色である理由は、刀剣のような色と形で有名なタチウオ(太刀魚)と同様、「グアニン」と呼ばれる物質によるもの。

この謎物質「グアニン」が何かというと・・・、正直わかりません。笑

人工のものではない、自然界で金属のような色は非常に興味深いですね。

タチウオと同じく、カガミダイのこの銀色の皮は、ルアー(疑似餌)を手作りするときの材料になったり、多様な用途で使われます。

カガミダイが寿司ネタで言う「光り物」か?というと、タチウオについては寿司ネタでも光り物として使われることから、カガミダイも光り物であると言えるかもしれません。しかし、味や流通量、人気度の点から、カガミダイのにぎりは聞いたことないので、一般的ではないと思います。

カガミダイとマトウダイの違い

カガミダイの生息域は水深40〜800m。深海性の魚です。温暖な海に多いですが、北海道など全国的に見られます。

体長は最大で50センチほどと、マトウダイよりは小さめ。

姿形がマトウダイに似ているこのカガミダイは、マトウダイの近縁で「マトウダイ目マトウダイ亜目マトウダイ科カガミダイ属」。一方のマトウダイは「マトウダイ科マトウダイ属」。

違いは、マトウダイがデコッパチであるのに対して、カガミダイはその逆、顔がヘコんでいます。これは両者を見分けるのにも使えます。

あと、違いという点では、体色も明らかに違います。マトウダイよりもカガミダイの方がより体の銀色が強いです。

よく見ると、マトウダイ特有の体の真ん中の斑点も、カガミダイには存在しないか、もしくはマトウダイよりも薄ぼやけているのがわかります。

シルエットはそっくりだけど、よく細部を比較するとけっこう違いはハッキリしていますね。

由来と別名

カガミダイ(鏡鯛)の名は標準和名で、由来は鏡のような姿形をしているから。全体的に丸っこいのも、どこか手鏡のような様相で面白いですね。

名前に「鯛(タイ)」と付きますがマダイ(真鯛)などの「タイ科」の魚とは無関係です。カガミダイは「マトウダイ科」。

そしてカガミダイは日本各地で様々な呼び名が存在します。

ギンマト、ギンマトウ、ギンダイ、カガミウオ、ギンカガミ、などなど。

他にも少数派の呼び名はあることでしょう。

いずれにしてもマトウダイに似ていることや、見た目の銀色が名前の由来になっていることが多いようですね。

捕食方法が面白い

カガミダイは、小さいイカや小魚などを食べます。実際、僕が市場で買ってきたものには腹の中に小魚が沢山入ってました。

それにしても、こんな体の形で獲物を捕まえるほど素早く泳げるのでしょうか。とてもそうは見えません。

プランクトンなどを食べるなら早く泳げなくても良いでしょうが、小魚を捕食するとなると、ある程度は素早く逃げるでしょうし、ちゃんと食べられるのかな・・・。

と、思ったけど大丈夫。その心配は要りません。

カガミダイの口は“伸びる”のです。

↑こんな具合に。

獲物にゆっくり近づき、射程に入ったら素早く口を伸ばして食べてしまうのでしょうか。

まるで爬虫類のような食べ方ですよね。このような口周りのメカニズムは、マトウダイも同じようです。

ウロコが無いけど側線はある

カガミダイにはウロコがありません。

しかし側線はあります。

分かりますか?

大抵の魚はウロコに覆われていて側線が分かりづらいのですが、カガミダイの場合は一目瞭然ですね。

体の真ん中より上、頭から尻尾にかけて湾曲して走っているペンで書いたような線が側線となります。

ちなみに側線とは、魚の頭から尻尾まで走っている線のことで、魚類に特有の感覚器官のことです。詳しくは、アイナメの記事で書いていますので、もしよければ読んでみてください。

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