お魚「ヒラメ」とは?

お魚一覧

お魚「ヒラメ」は、味良く流通量も比較的多い、人気の高級白身魚の一つです。

見た目の奇抜さはトップクラス。ブサイク魚としての認知度も高めです。

名前は聞いたことあるけど、実は知らないことの多いヒラメについて、色々と豆知識をまとめてみました。

人気のお魚「ヒラメ」とは?

天然物のヒラメは高級食材である一方、リーズナブルな養殖モノもたくらん市場に出回っています。

養殖だけでなく放流も鮭に匹敵するぐらい盛んだそうで、需要が常に高い魚であることの裏返しでしょう。

ヒラメが高級魚と言われるのはなぜか?別の記事にて紹介しています。

全長1メートルほどまで成長し、触りごこちは全体的に柔らかくヌメり感強め。海底の泥に似せた体色も含め、美しく透明な白身の食材イメージとギャップがある魚です。

水深10〜200メートルの砂地に多く、北海道から九州まで幅広い漁場で水揚げされます。韓国などでも一般的な食材だとか。

ヒラメの顔(意外と凶暴)

ヒラメはこんな顔をしています。

目などのパーツは左右対象になっておらず、歪み、ねじれているのが最大の特徴です。フィッシュイーターであるヒラメは凶暴な牙を持つのもポイント。

ヒトの顔を指して「ヒラメ顔」と言う場合がありますが、これは一般的には横長の形とか、エラの張った輪郭とか、顔が大きいという意味の言葉。あまり良い意味ではありません。

話を戻して、ヒラメがこんな顔になってしまったのはなぜかというと、もともとはマダイとかアジのように垂直型の形をしていたヒラメ。海底に這って暮らす習性ゆえ、徐々に目の位置が住環境に合わせて変化していったと思われます。

目の位置は大きく変化し、口はちょっとだけ変化し、結果的にギクシャクした顔の形になりました。内臓の位置は昔とほぼ変わらず。

ヒラメの幼魚は目が左右対象の位置にあり、成長とともに目の位置が変化していきます。海底にベッタリ腹をつけて暮らしはじめるのも顔の歪みと連動してだそうです。稚魚は普通に海中を泳いでいるため、顔もヒラメぽくないし他の魚の稚魚と見分けるのは難しいんだとか。

ちなみに、ヒラメの仲間「ボウズガレイ」はどっちつかず、つまり顔のパーツは左に寄ったり右に寄ったりします。

そしてヒラメの反対と言えば「カレイ」。カレイの顔もヒラメと似ていますが、大きな違いもあり、「ヒラメとカレイの違い」の記事で解説しています。

ヒラメカレイ問題で有名なのが、「左ヒラメに右カレイ」の見分け方。成り立ちや意味を調べた時の記事は以下。

ヒラメの漢字や英語名の話

ヒラメを漢字で書くと「鮃」や「平目」、あるいは「比目魚」となります。一つじゃないことに違和感を覚える人もいるかもしれませんが、魚の名を表す漢字はヒラメに限らず複数あることがほとんど。場面によって使い分けられたりすることも。だいたいの場合、漢字の違いによる意味の違いはありません。

ヒラメは英語で「flounder」。この単語にはヒラメを指す名前の他、「もがく」とか「じたばたする」とかの意味もあるそう。ヒラメの顔は苦悶の表情をしているように見えなくもない。英語名の由来かもしれません。

ヒラメの漢字グッズも作ってます。興味ありましたらよろしくお願いします。

ヒラメの捌き方

ヒラメを食べるには、他の魚と同様にウロコを取ったり身を切り分けたりしますが、ちょっとしたコツが必要で、大きなヒラメは「すき引き」でウロコを取ったあと、「5枚おろし」をして調理するためのフィレの状態にします。

ヒラメの「すき引き」と「5枚おろし」は意外と簡単ですし、ヒラメに限らずウロコに特徴あったり、サイズの魚には使う技術なので覚えておいて損はないでしょう。

詳しくは、「ヒラメのすき引き」と「5枚おろし」の記事でそれぞれ解説しています。

筆者はそれほど上手ではありませんが、とりあえずの体裁をなすレベルであればそう難しくありません。

2〜3回繰り返せばそれなりに素早くできるようになるでしょう。練習あるのみです。

ちなみに体の小さな種がほとんどのカレイ類は、カナダワシでウロコを取る方法を取ります。これはサイズの小さめのヒラメの場合も同じです。

天然ヒラメ、養殖ヒラメの見分け方

ヒラメは和洋問わず人気の食材なので養殖物も盛んに出回っています。

味について見れば、天然物と養殖物の大きな違いはなけど、ブランド価値はやはり天然物かどうかで差がでます。

天然、養殖の見分け方は

  • 腹側が真っ白なら天然、黒い斑紋があれば養殖
  • 尾びれの角がピンとしていれば天然、ギザギザなら養殖(個体差アリ)

以上2つがポイント。特に腹側が真っ白なのは天然物の特徴なので簡単な見分け方です。

養殖ヒラメ(フィレ)の“黒化”。腹側は普通は真っ白だが、シミのような黒点がある。

養殖において腹側がマダラ模様や黒褐色になってしまう現象は「黒化」と呼ばれる色素異常として漁業関係者を悩ませてきたそうです。味はともかく見た目が悪いと商品価値が下がってしまうからですね。

黒化の原因は2つあるとされ、稚魚、幼魚の浮遊期(海底で暮さない子供の頃)が長すぎること、海底で暮らすようになってから水槽に砂の環境が無いこと。

対策として、与えるエサを変えたり水槽に砂を敷いたりして改善はしているそう(確かに、養殖ヒラメなのに腹が真っ白な個体はよく見ます)。ただし、黒化を完全に防ぐ方法は見つかっていないみたいです。

ヒラメの寄生虫(閲覧注意)

ヒラメを捌いてみると、内臓にアニサキス(寄生虫)が大量に取り付いていることも。

ヒラメを刺身で食べる時は鮮度に注意が必要です。

クドア・セプテンプンクタータは特に注意

アニサキスの他にも、ヒラメには「クドア・セプテンプンクタータ」という寄生虫がいる場合がありコイツも要注意です。

つい最近まで「謎の食中毒」として恐れられてきた症状の、まさに原因である寄生虫が「クドア」。

アニサキスと違ってほぼ目視できず、食感や味も分からないので厄介。

一過性の嘔吐や下痢など典型的な食中毒症状に見舞われます。

加熱(75度5分以上)でクドアを駆除できますので、ヒラメを食べる時は素人ならば加熱してリスクを排除したいところです。しかしヒラメと言えば刺身なので、非常に悩ましい問題です。

寄生虫の原因は、多くは「エサ」によるもの。クドアがそうかは筆者には分かりませんが、養殖物のヒラメは昨今だいぶ対策が練られ、クドアによる食中毒確率を減らしているそうです。

刺身用には、あえて養殖物を選択するのもアリかもしれません。味もそれほど変わりませんし合理的な対策だと思います。

ヒラメの”えんがわ”と擬態能力

ヒラメの胸ビレ、腹ビレは体のサイズに対して極端に小さいです。

この小さなヒレを使っての運動は対したことができなさそうですよね。

ヒラメはふだん砂泥地でじっとしているため要らないものは要らないのです。

それに対し、発達しているのは尻ビレと背びれ、尾びれです。

背びれと尻びれは、いわゆる「エンガワ」と呼ばれる筋肉へとつながっています。

独特な動きをするための繊細な筋肉(エンガワ)が発達し、刺身にするとコリコリ食感は、特徴的なヒレがあってこそなのです。

尾びれも立派。

体のサイズを考えると普通の大きさではありますが、胸ビレや腹ビレと比較すれば大きい。

大きな尾ビレがヒラメの遊泳力の源で、瞬発力の高い魚だと想像できます。

さらにもう一つの特徴は「擬態能力」。

ヒラメは海底で獲物に気付かれまいと、あるいは敵から身を守る手段なのか、周囲の環境によって体の色を変化させることができます。砂に直接潜ることもあり、見つけるのは容易ではありません。しかも夜行性という用意周到さ。

ヒラメの卵

「卵」持ちのヒラメに出くわすことも。

魚の臓器は見慣れてない人にとってはちょっと衝撃強めなので、気になる方のみ画像リンクからご覧ください。

見ようによってはちょっとアレですが、要は「たらこ」です。火を通して「ヒラメの焼きたらこ」でいただきましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました