ハタハタの食べ方【歴史ある食材はバリエーション豊富】

ハタハタの丸焼き 魚介の雑学

ハタハタという魚は産地以外では馴染みの薄い魚かもしれません。なので、刺身で食べるのか、焼き魚なのか、「ハタハタの食べ方は?」と聞かれてもイマイチ想像しずらい人が多いでしょう。(そもそもハタハタって白身なの?赤身なの?)

ご当地ではどうやって食べているのでしょうか?

食べ方に様々なバリエーションがあり郷土料理や特産物の代名詞とも言える食材「ハタハタ」について、一般的な食べ方を紹介していきたいと思います。

ハタハタの食べ方いろいろ

ハタハタは小型の白身魚で地域密着型の伝統的な食材なので、食べ方は部位、加工方法により様々なバリエーションがあります。

  • ハタハタ寿司(熟鮓)
  • しょっつる
  • ぶりこ
  • 刺身や干物

また、食べ方バリエーションだけでなくバックストーリーも豊富に持ちます。特にハタハタの名前の由来に関する話は知っておいて損はない深い逸話があるのでぜひご覧ください。

古くから利用されてきたお魚は情報が溢れていてまとめ辛いので、「そもそもハタハタとは?」の記事でも細かい豆知識など記載しています。

さて話を戻して、ハタハタを食材として注目すればおいしい食べ物が多い東北において、地魚とか特産品の一角として挙げられる存在でソウルフードと言って良いレベルの食材なのですが・・・。では、産地ではいったいどのように食されているのでしょうか??ハタハタの食べ方を紹介します。

ハタハタの食べ方【ハタハタ寿司】

ハタハタ寿司は「なれ鮨」の一種で、保存食としての側面もある、歴史の古い食べ物。秋田県に伝わる郷土料理です。

「なれ鮨」というのは「熟鮓」とも書き、魚介を塩とでんぷん(ハタハタの場合は米)で乳酸発酵させた食べ物。「にぎり寿司」の原型とも言えるほど古い時代からの食べ方で、日本各地で多様な「なれ鮨」が存在しています。

その上でハタハタ寿司とは、捌いたハタハタの身を一口サイズに切り、酢水に3日ほど漬け込んでから、麹ご飯、にんじん、ふのり、ゆずと一緒に冷蔵庫で発酵させたもの。笹の葉に乗せたり巻いたりして提供します。塩漬けの工程は塩水処理でも賄えます。

ハタハタ寿司は、地元では正月料理に欠かせない一品だとか。

地域や家庭によって作り方は千差万別。少しずつ細部に違いがあるようです。

ハタハタを原料とした「しょっつる」

ハタハタを原材料として作られる魚醤、「しょっつる」は全国的にも有名。日本三大魚醤の一つにも数えられるほどの調味料です。

魚醤の味を説明するのは難しいですが、大豆が原料の醤油に少し似ていながら、もっと肉々しいコクのある風味があります。

たいていの魚醤は魚臭さはなく、肉料理に使ってもOKです。

ちなみに日本三大魚醤とは

  • 香川の「イカナゴ醤油
  • 能登の「いしる
  • 秋田の「しょっつる

の魚醤は含まれておらず)

他の2つはイワシイカを使った「いしる」と「いかなご醤油」。

実は似たような調味料が日本以外の世界各国に存在していて、タイのナンプラー、イタリアのコラトゥーラ、中国の「魚露(ユールー)」など有名です。

歴史も古く、ローマ帝国時代には「ガルム」と呼ばれる魚醤が存在していたそう。

魚醤の作り方を大まかに説明すると次の通り。

  • カタクチイワシなど、元となる魚を塩漬けし
  • 自己消化&特殊な細菌の力で発酵
  • 発酵体から出た液体を抽出

工程を見て想像できる通り、少ない原材料から大量生産できるシロモノではありません。

使い方は、隠し味的に2、3滴垂らしたりする感じ。

濃厚な味と独特な香りが特徴で、シンプルな味付けの料理でも一気に奥行きができるような万能調味料です。

ハタハタの卵も珍味「ぶりこ」

ハタハタの魚卵は「ぶりこ」と呼ばれ珍重されます。

筋子ほどではないものの、粒が大きく様々な色をした(色とりどりの)卵。

成熟した卵は硬くて食べづらいので、プチプチとした未成熟のものを食します。

ぶりこは漢字で「鰤子」。

関係のない魚の名前が出てきて「なぜ?」となりますが、その由来は、その昔、藩主により乱獲を禁止されたハタハタをこっそり獲るために、「鰤(ブリ)の子供だ」と言い逃れした庶民の逸話から来ているとか。

ただし、ブリコの名前には諸説あり、

  • 卵同士の粘着力が高く、「不離子」とする説
  • プリプリとした食感から名付けられた説

など他にも複数あるそうです。

なお、いい子ブリっ子の「ブリっ子」は関係ありません。

ブリっ子の語源は「かわいこぶる子」らしいので。今では使われていないかも?

【ハタハタの食べ方】刺身や干物でも

ハタハタは刺身でも美味しい魚。

ウロコがなく、小柄な体に似合わず皮は硬めなので、皮を引いて刺身に切り分けます。

骨は少なく身もしっかり歯応えがあり、小さいからと言って青魚のように身が崩れてしまうことは少ないです。

また、ウロコがないのでハラワタを除いたものをそのまま塩振るなどして簡単に干物へ加工することができます。

昔から、東北の地で獲れた沢山のハタハタは、効率よく干物にして保存されてきました。

現代においてはちょっぴり贅沢な食べ物と言えるかもしれません。

一夜干しもウロコがないので割と簡単。でも、「ハタハタにいる寄生虫」の記事でも書いてますが、たとえ干物であっても寄生虫には注意する必要があるでしょう。

ハタハタを丸ごと食べる

丸焼きにする食べ方も手軽で一般的。

見ての通り小さい魚なので一匹でお腹いっぱいとは行きませんが、皮ごと焼いてそのまま手軽に食べることができラクチンですね。

ハタハタの煮付けも、それなりに定番です。小型の魚は丸ごと煮るのが王道。出汁も効いて非常に美味です。

筆者オリジナルのアイデアも便乗して紹介しておきます。

ハタハタを丸ごと食べるには、「コンフィ」が合うのではないかと考えています。じっくり時間をかけて骨まで柔らかくする食べ方で、青魚のような味の濃い魚、干物向きの魚に適した調理法なので、ハタハタも美味しいと思います。

ハタハタの冷凍保存のやり方

ハタハタを冷凍する時は、タッパーやバットなどの深い容器にしっかり浸かるくらいの水を張り、その中に魚を入れて水ごと冷凍します。

解凍する時は氷の張った容器ごと冷蔵庫で解凍します。

解凍を急ぐ場合は流水に当てれば自然解凍より早め。

ハタハタは身が柔らかく水分も多少あるので、冷凍保存した場合は刺身で食べるのは難しいかもしれません。

試してないけど、身が崩れてしまいそうな気がします。

刺身を食べるには、最上級に新鮮なハタハタを入手した場合に限るでしょう。

寄生虫対策には冷凍保存が有効なのですが、もどかしい限り。

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