鮎(アユ)は毎年6月頃に福島、南は鹿児島で遡上が始まり、日本各地の河川で鮎釣りが解禁されます。
鮎釣りと言えば山梨や鹿児島が有名。それに那珂川と久慈川が流れる茨城も鮎の漁獲量で全国No.1を誇ります。他県からも一般の釣り人が集うほど夏のイベントとなります。
全国の河川では人工的に孵化した鮎の放流も行われていて、つまり、鮎は養殖も盛ん。養殖が行われるのは、日本人が昔から鮎を好んで食べてきたことの裏返しなのかも。
釣った鮎、もちろん購入した鮎でも、一番美味しい方法で食べたいですよね。
旬の鮎を味わうオススメの食べ方を紹介していきます。
鮎の美味しい食べ方5選
新鮮な鮎を入手するのは意外と難しいかもしれません。当然ですが旬の時期にしか出回りません。冷凍のものであれば季節を外しても手に入るかもしれませんが。
また、鮎は天然と養殖がいて、鮎の天然物と養殖物の見分け方の記事にて紹介しています。
初夏の時期、地元の魚市場や鮮魚店、産直のお店などを覗いてみてください。鮎は完全なる「季節の食材」なので、いつもは売られていない地元のスーパーのような場所でも、注意深く探せばゲットできる可能性はあります。
われわれ日本人が鮎を食べてきた歴史は古いので、おもしろいストーリーが多々ある魚。呼び名も様々あり、鮎の別名と英語名の記事では、ヒストリーを一部紹介しています。
そんな鮎の料理一覧と、その中で筆者が一番美味しいと考える食べ方を紹介します。
前置きが長くなりましたが、鮎のオススメ料理を紹介していきます。
さまざまな鮎料理
筆者がオススメする鮎料理の一覧は以下。
料理名 | 概要 |
鮎の塩焼き | 一番メジャーな食べ方。「結局、塩焼きが一番だよ」って、よく聞くけど・・・ |
鮎の甘露煮 | 甘露煮も美味しいです。濃い味付けがたまりません。 |
鮎のコンフィ | いわゆるオイル煮。鰯のオイルサーディンと似た料理です。 |
鮎のソテー | シンプルにフライパンを使った焼き魚。実は一番手っ取り早い食べ方でs。 |
鮎の魚醤 | 鮎の加工品 |
鮎、一番美味しい食べ方は??
さまざま鮎料理を食べ比べして、筆者が一番「美味しい!」と感じた食べ方。
それは「鮎のコンフィ」です。
コンフィというのは、端的に言うと「オイル煮」のこと。じっくり弱火で形が崩れないように煮込む料理で、洋風の食べ方かと思われがちですが、以外と日本食としても成立する料理です。
なぜコンフィなの?というと、ハズレがなく成功しやすいのが一番の理由。
養殖物でも天然物でも、自分で釣った鮎でもブランド鮎でも、安価なものは高級に見え、高級なものは手間をかけた一皿へと変身します。
普通は「鮎はけっきょく塩焼きが一番だよ」となりがちなので、意外に思われるかもしれません。
確かに、鮎の塩焼きは結局のところ美味いです。しかしそれは「ちゃんと」塩焼きしたものが美味いのです。
シンプルな塩焼きだからこそ実はハードルが高く、焼き上がりの見栄え良い太った鮎を手に入れる方法や、串打ち(鮎に焼き用の串を通す)のやり方、使う塩、そもそも炭焼きを実施できる場所、などなど、簡単に思えて実は難しいのが塩焼きなのです。
ちなみに、鮎のコンフィが手軽に作れるかと言うと、けっこう時間がかかります。手順は簡単なのですが面倒な料理であるのは事実。
でも、塩焼きも、本当に美味しい塩焼きはめちゃくちゃじっくり火を通すので、想像以上に時間かかるものです。
鮎が一番美味くなる「鮎コンフィ」の作り方
鮎コンフィの作り方を簡単に説明します。
- 鮎はハラワタを除去してもしなくても良い。しない場合はお腹をしごいて掃除。
- 鮎に満遍なく塩をして半日おく。
- クッキングシートを敷いた深鍋に鮎を並べオリーブオイルを注いで火にかける。
- 85℃〜95℃くらいの温度をキープして5、6時間煮込む。
- 鮎に金串をさしてみてスッと通るようなら完成。一日寝かせてから食べる。
姿のまま、フライパンで焼き目をつけてから提供します。頭も尻尾も内臓も丸ごと食べれます。ご飯のお供にもなりますし、大きめにカットしてパスタの具材にもなりますよ。
オリーブオイルは鮎を完全に覆うくらい注ぎましょう。
コンフィに使ったオイルは再利用できますよ。炒め物にも使えますし、根菜など他の食材のコンフィ油として使っても美味しいものが出来上がります!
他の鮎料理についても少し触れていきましょう。
鮎の塩焼き(家庭用グリルで簡単)
やっぱり鮎といえば塩焼きです。・・・が、前述したとおり実はハードルが高いのが塩焼き。
また、日本人は「魚を刺身で食べることが最上」とする考えが強いですが、鮎に限っては、昔から焼いて食べるのが一番とされている魚です。
若い魚は骨まで柔らかく食べることができ、ハラワタの苦味と脂もアクセントになり美味。子持ちの個体も珍重されます。
ちなみにハラワタの苦味の正体は「苦玉」と呼ばれる臓器。苦玉を食べるのは鮎や秋刀魚など一部の魚だけです。普通の魚のものは食べれません。
塩焼きの注意点としては、焼く前にお腹を校門方向に優しくしごいて、お腹の中の汚れを出しておくこと。
ハードルが高いと言いつつ、家庭用コンロのお魚グリルでも最低限のクオリティでありながら塩焼きを作ることは可能。
塩を強めに振り、家庭用コンロのお魚用グリル(片面焼きのもの)で、片面4~5分、反対面も同じで合計10分ほどで焼き上がります。
グリルは事前に予熱しておくことを忘れずに。
鮎の甘露煮
甘露煮は割烹料理の定番。保存も効きますし、大量の鮎が手に入った時は選択肢としてアリですね。
レシピを簡単に紹介。
- 鮎の腹を校門から切り込み、ハラワタを除去します。
- グリルで素焼き(ただそのまま焼くこと)します。
- 深鍋にクッキングシートを敷いて、素焼きした鮎を並べ、水と酒を加え強火。
- 沸騰したら弱火、砂糖と水飴(あれば)を加え、液体が半分になるまで煮詰める。
- 醤油とみりんを加え、5〜6分ほど煮込んで火から下ろし常温で1日置く。
- 翌日、4と5の工程を繰り返し完成。
時間はかかりますが、コンフィと同じく難しいことは一切ありません。
甘露煮も奥深い食べ方です。「一番美味しい鮎の食べ方」に推す人もいるかもしれません。
甘露煮はどうしても味付けが濃くなってしまう料理なので、正直、青魚系のほうが合うかなというのが筆者の意見。コンフィの場合は最低限の塩と香味の味付けのため、鮎本来の風味を考えるとコッチかなと・・・。ただこれはもう人々の好みに寄る話で議論のしようがないと思います。
鮎のワンパン料理は超簡単!
フライパンで鮎の塩焼き!
サラダ油を敷いたフライパンで、こんがり焼きましょう。ハラワタは取っても取らなくてもお好みでOKです。完成して皿に盛り付けた時、鮎の左側の体面を見せたいのであれば、その逆側の体から焼き始めます。
片面に面焼き色がついたタイミングで、鮎をひっくり返して鍋に蓋をし、弱火で5分蒸し焼きにします。
最後、盛り付けで目に入るほうの鮎の体面(たいてい左側)をパリッとするよう焼けば完成です。
意外とカンタンですし、ふっくらとした焼き上がりになるのは。やはり鮎のポテンシャル。
鮎の魚醤
魚醤を作るのはプロの職人の仕事です。長期にわたり発酵と熟成が必要であり、素人には敷居が高いです。「一番美味しい鮎の食べ方」には含まれないという筆者ルールです。
ただ、めちゃくちゃ美味しいので通販で買いましょう。
醤油とはまた違った奥行きのある味をお求めの方はぜひお試しください。
鮎の刺身
鮎は昔から刺身でも食されてきました。
しかし川魚の生食は要注意で、鮎も例外ではありません。それは寄生虫などによる食中毒が危惧されるから。
プロが作った料理でもリスクはあります。魚の生食は趣向品的なものなので、あえて食べなくても良いかもしれません。筆者も食べたことありません。
養殖物の鮎は寄生虫の原因となる餌を食べずに、専用の餌で育つから危険は少ないと言われています。
調べてみると、鮎を食べて食中毒を発症した例がヒットしました(養殖かどうかは不明)。それは、「いずし」によるボツリヌス食中毒です。
ボツリヌス菌は、非常に重篤な症状となり死亡例もある食中毒の原因菌。「いずし」は「熟れ鮓(なれずし)」と同じ発酵食品。生食は生食ですが、少し特殊性のある食べ方と言って良いかもしれません。
また、鮎に限らず、川魚には「横川吸虫」が寄生している確率がとても高いです。この寄生虫はヒトを宿主とするので、もし喫食して条件が揃ってしまった場合、体内で卵を産んだり増殖したり大変なことになります。
筆者は川魚は生食しない派ですが、文化を否定するつもりはありません。食べるなら自己責任で。
(オマケ)鮎のお菓子(和菓子)!
オマケとして紹介するのはだいぶ失礼かもしれませんが、最後に「鮎の甘味」を紹介。ちなみに鮎の味はしません。
最後に、鮎の漁法について少し触れます。
鮎釣りは、一般的には専用の長い竿を使いますが、「鮎の友釣り」は特殊性が際立つ歴史ある漁法。
鮎を生き餌として利用した釣りのやり方で、鮎が縄張り意識の強い魚であることを逆手にとった職人芸的な漁法です。さらに、擬似餌(ルアー)を使った「友釣り」の応用技もあります。
つまり何が言いたいかというと、このように鮎の生態に精通するほど、日本人は鮎が好きだということ。
古くから四季に彩りを添えてくれる食材の一つである「鮎」。一番美味しい食べ方のコンフィをお試しください。
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