【“肝”が命】ウマヅラハギの捌(さば)き方と食べ方

ウマヅラハギ(馬面剥) 料理レシピ

ウマヅラハギは愛嬌のある見た目をした海のお魚。

意外と知らない人もいますが、食材としてはメジャーな存在です。

見た目のキュートさに目を奪われがちですが、なんといっても肝がおいしい魚。その味わいは「あん肝」に勝るとも劣らないとか。

ウマヅラハギ(馬面剥)

捌き方もちょっと独特なので、トライしていきましょう。

ウマヅラハギには以下のようなおもしろい特徴があります。

  • 角(ツノ)がある魚
  • ウロコの質感が独特(“皮”っぽい)
  • 見た目以上の生命力
  • 捌(さば)き方に特徴あり

捌(さば)き方の特徴は名前にヒントが隠されています。

ウマヅラハギの捌(さば)き方と食べ方とは?

ウマヅラハギの表皮は一風変わっているため、捌き方も他の魚とは少し変わっています。

水あらい(下処理)して3枚におろす手順は以下。

  1. 内臓を除去して頭を落とす
  2. 皮を剥ぐ
  3. 3枚におろす

順番に細かく説明します。

ウマヅラハギの頭を落とし肝をとる

まずウロコを除去せずに、いきなり頭と内臓を除去。

はっきり言ってウマヅラハギは「肝」が主役なので、鮮度がよければ除去した内蔵から肝の部位は取り除いておきましょう。

取り置いた肝は、使い方によりますが、流水にさらしたり日本酒に漬け置きしておくと良いです。

ウロコを取る必要はありません。その代わり皮を剥ぐ手順が必要なのでこのあと詳しく説明します。

頭の落とし方は特別なことはなく、他の魚と全く同様。

ちなみに、背ビレや腹ビレなどは邪魔なので、キッチンばさみでカットしても良いでしょう。角(ツノ)が付いたままの場合もハサミで切り落とします。

ウマヅラハギの皮を剥ぐ

ウマヅラハギの特殊な捌き方はこの「皮を剥ぐ」手順にあります。

頭と内臓を除去したら、皮を剥ぎましょう。

シールとかステッカーを台紙から剥がす要領で、少しめくってキッカケを作ってから、一気に引っ張れば皮を取ることができます。

説明が要らないくらい簡単で、包丁は使いません。

皮を剥いだウマヅラハギ(馬面剥)

ウマヅラハギの表面は、ザラザラして“皮”っぽい質感

海にいる多くの魚は「鱗(ウロコ)」がついているのが普通です。

ウマヅラハギにもウロコはありますがとても小さく、加えてウロコの下の皮が発達しているので、厚くて丈夫な皮と極小ウロコがまるで皮のような質感を生み出しています。

体を触った感触は魚というより別の生き物を思わせます。爬虫類に近いでしょうか。

この“皮っぽいウロコ”に応じた捌き方が、まさに「カワハギ(皮を剥ぐ)」の名前の由来となっています。

皮を剥いだ後、身を3枚におろしますが、3枚おろしは他の魚と同様の手順となるので説明は省略。

なお、「ウスバハギの捌き方」の記事にて、ウマヅラハギの仲間「ウスバハギ」の下処理方法も解説しています。こちらはより細かい画像を混えて説明していますので良かったら覗いてみてください。

ウマヅラハギは「角(ツノ)」に注意

ウマヅラハギを捌く時の注意点で先ほどちょっと書きましたが、ツノに注意。

ウマヅラハギ(馬面剥)

よく見ると頭に角(ツノ)、トゲのようなものが・・・。

これは背びれが変化したもので、身を守ったり威嚇したりする時に使われます。

本当はもっと長いのですが、市場で売られているものはツノを折ってあるものがほとんどです。

しかし、折れたツノでも尖っていて危険なので捌く時は要注意です。

なお、ウマヅラハギのツノに毒はありません。

【ハギの肝】毒や寄生虫の危険性

ウマヅラハギは肝が大きくて、美味な魚。それはアンコウの“あん肝”に匹敵するほど。

つまりこの魚のメインは肝。

「肝和え」や「肝醤油」などは生食。ちり鍋など火を通してもおいしいです。

フグは肝に毒を持ちますが、ウマヅラハギは無毒です。もちろん鮮度が良いことが前提です。

ウマヅラハギにもアニサキスなど寄生虫のリスクはゼロではありません。

火を通せば寄生虫リスクは回避でき、また生食の場合、肝は冷凍しても味や状態にあまり影響ないため、食べる前に一定期間冷凍すればより安全。(アニサキスは冷凍処理で死滅する

肝に隠れて存在感の薄い“ウマヅラハギの身”。こちらも普通に美味しいです。

刺身で食べる場合はフグのように「薄造り」にするのが一般的。白身の魚で歯応え良く、味は極めて淡白です。

火を通すと身が著しく縮みます。

筆者も焼いてたべてみたところ、味は美味しいですが、焼き縮んだ姿は見栄え的にはあまり良くないと感じました。炭焼きとか、唐揚げが良さそうです。

肝は刺身でも良いし、肝醤油、肝バターなどにしても良いです。生食する場合は鮮度に注意しましょう。

余談ですが、ウマヅラハギは見た目に反して非常に“たくましい”魚でもあります。

海水中のヘドロの中でも生きることができますし、食性は雑食で何でも食べます。

ウマヅラハギの持つ大きな「肝」が、内臓器官の強力な処理能力を生み出しているのでしょうか。

人間の肝臓は、毒を分解したり栄養を蓄えたり食べ物を消化したりする機能があり、魚も似たような機能を持っているでしょうから、肝臓の機能が高ければ、生活環境が悪くても耐えることができると考えることができるのかもしれません。

意外と凶暴なウマヅラハギ

ウマヅラハギの特徴として注目されがちなキュートな顔立ちと、おちょぼ口。しかしその性格はけっこう凶暴。

不便にも思える形をした口で、一体何を食べているのでしょう?

基本的には雑食で何でも口にし、好物はクラゲと言われています。

エチゼンクラゲなどの大きなクラゲも集団で襲って食べてしまいます。ついばむように剥ぎ取って食べるのですが、この口はそのような食べ方をする特別な形と言えるのですね。

可愛い顔から勝手なイメージを作りがちですが、ウマヅラハギも弱肉強食の海の世界を生きているたくましい魚なのです。

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