【高級珍味「からすみ」とは?】高級な理由と、どこで買えば良いか

魚介の雑学

「からすみ」は高級な海産物で、珍味とも言える干物のこと。

食べ方は様々。スライスしてそのまま食べるも良し。チーズスライサー等を使ってサラダやパスタに振りかけるも良し。もともとの成り立ちが保存食なので、塩味が強く料理のアクセントや調味料のような使い方もできます。

「からすみ」って聞いたことあるし実は食べたこともあるけど、結局なんなのアレ・・・。ということで調べてみました。

高級食材「からすみ」とは?

「からすみ」は、実はボラという魚の卵を加工したもの。「え!?イカのスミ的なやつじゃないの??」と勘違いしている人も、今回がっつり覚えてしまいましょう。

食材としてのボラの歴史は古く、加工品の「からすみ」は食材として様々なバリエーションを持つボラの一面で、世界中に同様のものが存在しています。ボラの一番の食べどころは「からすみ」と言っても過言ではないかも。

また、ボラは食材としてだけでなく注目すべきエピソード多数。別の記事でも紹介しています。

「からすみ」は“イカ”じゃなくて魚の卵

カラスミは、ボラという魚の卵巣の加工品のことです。

ボラは「からすみ」になる卵巣だけでなく身のほうもよく食され、食材としての歴史が古く、しかも世界レベルで流通する魚介類の一つ。「とどのつまり」という慣用句は聞いたことがあるでしょう。

「からすみ」はボラの卵巣を塩漬けして乾燥させた食べ物で、昔は保存食としての意味合いが強かったのでしょうが、時を経て超高級食材の地位を確立しました。

お腹から取り出した卵を塩漬けして乾燥させれば、黄金色の「のべ棒」の出来上がり。

「からすみ」の意味

からすみは鳥類のカラス(烏)とは無関係です。また、イカの墨とも関係ありません。

「からすみ」の名前の由来。それは中国伝来の墨「唐墨」に見た目が似ていたことから。

もともとは中国から長崎へ伝来したものとされていて、当時はボラではなくサワラを使っていたそう。

唐墨とは、その名の通り墨(スミ)のことで、字を書くためのインクのようなものです。これは書道をされる方でなくとも想像がつく人は多いのではないでしょうか?墨汁を作るための固形物で、魚の卵巣の加工品がその形に似ていたことから付いた名前です。

カラスミはボラ以外の魚の卵(卵巣)でも「○○のカラスミ」のように呼ばれて商品化されています。有名なところでは伝来当時のサワラだけでなく、サバやタラなど。

とりわけ、ボラの卵は特別(味と大きさ)で、ふつう日本で単にカラスミと言えばボラの卵巣のことです。

「からすみ」が高級な理由

からすみは「日本三大珍味」のひとつ。ちなみに・・、

  • 越前国のウニ
  • 三河国のコノワタ
  • 肥前国のカラスミ

この3つが三大珍味。コノワタとは、ナマコの内臓の塩辛です。

三大珍味などと言われてしまうと、一気に食べてみたい欲求が増幅してきますが、からすみが高級な食材とされるののは、なぜでしょうか?

原料であるボラは高級魚ではありません。・・にも関わらずカラスミが高級食材とされる理由は、希少部位である(全てのボラが大きな卵巣を持つわけではない)こと、加工に手間がかかること、そして何より味が良いこと。

珍味と聞くと抵抗感を感じる人も少ないでしょう。カラスミはクリーミーで塩気と旨味があり、それほどクセの強い食材ではないと個人的には感じます。見た目も味もチーズに近く、食べやすい珍味だと思います。

「からすみ」の食べ方

からすみには薄皮があるので、薄皮を剥いて(あるいは剥かずにそのまま)食べます。個体差あり、皮が気になる場合もあるので、最初ハジのほうをつまんで確認すると良いと思います。

「からすみ」の味は、繰り返しになりますが塩味とチーズっぽいコクを加えた感じで、焼きたらこのようなものと言うとわかりやすいでしょうか(「たらこ」もスケトウダラの卵巣です)。

補足するなら、モノによっては若干の鉄分っぽい味がする場合も。

ほぼ気にならないくらい微妙なところではあります。青魚を刺身で食べるような鉄分っぽさは感じません。それでも魚介類が苦手な人は、魚介独特の臭みを感じるかもしれません。

からすみの食べ方は、

  • スライスしてそのまま
  • チーズ削りなどで削ってふりかけに
  • 火を通して

など、調理法は様々。料理のアクセントとしての用途も多い素材です。

ピザの具材として火を通して食べられたりもします。スライスしたものをシンプルに炙って食べればワインやウィスキーが進むこと間違いなし。

なお、からすみを妊娠中に食べるのは注意しましょう。そもそも大量に食べるような食材ではないものの、「リステリア食中毒」の恐れのある食材として注意を促す国もあるそうです。

「からすみ」の英語、イタリア語、韓国語

細部は微妙に違えど、世界各地で「からすみ」と同等のものは存在します。ワールドワイドなボラの全世界規模の加工品が「からすみ」なのです。

  • 英語では、ボターゴ(Botargo)あるいはそのまんま「dried mullet roe」
  • イタリア語では、ボッタルガ(Bottarga)
  • フランス語ではプタルグ(Poutargue)あるいはブタルグ(Boutargue)
  • 韓国語では、sung eo(숭어)

英語で「mullet」はボラのこと。「roe」は卵なので、乾燥したボラの卵ってことですね。

韓国でボラのカラスミはあまり一般的ではないらしいです。たらこ(明太子)は朝鮮がルーツの食べ物なので、魚卵を食べたり保存食とする文化はあると思われます。

「自家製からすみ」の作り方

高級食材なので、一般消費者のもとに生のボラの卵が届くという事は少ないでしょうが、釣りの対象魚としても人気ですし、入手できないとも言い切れません。

カラスミ作りは奥深いながらも、素人が意外とそれっぽく作る事は可能です。もちろん高値で仕入れる一級品と同じようには難しいだろうけど、ざっと手順を解説すると次の通り。

  1. ボラのお腹から、卵巣を破らないように慎重に取り出す
  2. 破らないように、慎重に水洗いする
  3. 塩を塗り込み、タッパーなどに入れ冷蔵庫で2〜5日おく
  4. 塩を洗い落とし、多めの水を貼ったタッパーに浸して1日おく(塩抜き)
  5. 水から卵を上げて天ぷら網などにのせ、冷蔵庫内で3日〜1週間ほど乾燥

[補足]:

  • 4の塩抜きは、日本酒でやる人も多いです。そのほうが塩も抜けやすく、また殺菌効果もありそうですね。
  • 4と5の工程でかける時間の長短により、塩味と、柔らかさ(硬さ)が決まります。卵の大きさや、冷蔵庫の種類など様々な要素に影響されるので、半日くらい毎に手で触って感触を確かめると良いでしょう。塩味については確かめようも無いので、何度か作って試行錯誤を繰り返すしか無いかもしれません。

塩漬けする過程では、塩水処理を施すアレンジもアリ。

スーパーなどでも、ボラの卵は無いにしろマダラの生の卵などは入手できなくもないでしょう。ぜひカラスミ作りに挑戦してみてください。

「からすみ」はどこで買う?

「からすみ」はamazonで買えます。紹介するのはイタリア産ボッタルガ。

からすみ(ボッタルガ)は生モノではありますが、干物ですので日持ちします。通販で買うには持ってこいの食材だと思いますので、ぜひ。

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