「つぶ貝」は海で獲れる食用の巻貝。
「一度にたくさん入手することの多い魚介類No.1」の呼び声高いつぶ貝(筆者の家だけでしょうか?自分で買うというより、いただくことの多い海産物です。しかもたくさん・・。)
無理やり食べず工夫して保存しましょう。
具体的には、「冷凍」します。
なるべく料理で使いやすい状態で保存したいので、3パターンの冷凍保存する方法を紹介していきます。
【冷凍つぶ貝】冷凍保存のパターン3選と食べ方
大量のつぶ貝を手に入れたら、冷凍保存が有効です。どんなに貝好きな人でも一度に食べるのは飽きてしまいますよね。
つぶ貝は冷凍しても食感や味の変化が少ない食材。1〜2週間冷凍していても、味の変化はほとんど感じられません。冷凍保存と相性の良い食材なのです。
つぶ貝の冷凍保存の仕方はいくつかパターンがあります。
- 生のまま殻付きで冷凍
- 茹でてから殻付きで冷凍
- 茹でて殻をとり下処理後に冷凍
いずれのパターンでも、共通するのは「砂抜き」を必要とすること。
下処理手順も踏まえながら、個別の冷凍保存の方法を順にみていきましょう。
冷凍保存前の処理「砂抜き」
3パターンの冷凍保存方法の前に共通する下処理として、「つぶ貝の砂抜き」をします。
巻貝に限らず二枚貝も同様で、貝類を食べる時はだいたいコレやります。
やり方はアサリの砂抜き方法を別の記事で書いてますので参考にしてみてください。磯つぶ貝でもやり方は同じ。
ただし、貝類は生息域によっては砂抜きしても完全には砂が除去できないケースがあります。
筆者の印象では、砂抜きの工程でも除去できないのは、殻の開閉口の裏側に付着する砂だろうと思います。高級な料理店では、特大のアサリやハマグリの場合、砂抜きに加えて剥き身をキッチンペーパーで拭いて砂を取ったりすることもあります。
つまり何が言いたいかと言うと、「砂抜き」は完全ではありません。砂が除去できない場合もあります。
貝類を食べた時のジャリっと感。もちろん無いのがベストではありますが、少ジャリっとしたからと食べるのをやめてしまうのはもったいない気もしています、筆者的には。
砂抜きが終わったら冷凍処理をしていきます。今回は3つの方法を紹介。
(1)「殻付き」で生のまま冷凍する
具体的に、つぶ貝の冷凍方法を紹介していきます。
一つめは生のまま冷凍する方法で、下処理が一番簡単。
砂抜きが終わった後、そのまま冷凍してしまいます。
具体的には、砂抜きが済んだら冷凍用の保存容器(タッパーなど)に殻付きのつぶ貝が完全に浸るくらいに水を張り、そのまま冷凍すればOK。
メリットとデメリットがあるので参考までに。
メリット
- 冷凍庫に入れるまでの手間がほとんどない
デメリット
- 冷凍庫の場所をたくさん取る
- 解凍後の処理は面倒
解凍方法は、氷の塊となったタッパーを、そのまま冷蔵庫に移して冷蔵庫内で緩やかに解凍します。あるいは、流水を当てながら解凍すれば早く解凍できるでしょう。
(2)茹でてから冷凍する
2つめの冷凍方法は、茹でたつぶ貝を冷凍するやり方です。
砂抜き後、塩ひとつまみした熱湯に殻付きのまま「つぶ貝」を投入。
2〜5分ほどで茹でザルにあげましょう。
常温くらいになるまでそのまま冷ましたらジップロックなどに入れて殻付きで冷凍庫へ。
余談ですがつぶ貝は生食も可能です。ただし、生食は食中毒のリスクもあるのでオススメはできません。
特に「人から頂いた物」など、由来がはっきり分かってないものは避けたほうが無難でしょう。
メリット
- 殻付きのまま料理で使いたい場合に便利
デメリット
- 下処理が少し手間
- 殻付きの分、冷凍庫の場所をそこそこ消費する
(3)ボイル後、殻から身を取り出して冷凍
茹でた「つぶ貝」の身を殻から取り出して冷凍する方法です。
茹で上がったつぶ貝を手に持ち殻から身をくり抜いていきます。茹で方は前項の手順を参考に。茹でてすぐのものは熱々ですので火傷しないように。
金串や楊枝などを使ってクリン!と取り出すだけです。


くり抜いた身の先端に注目。
殻の口の部分に蓋をするような器官がついていますが、これは食べるには硬すぎるので除去。シールを剥がすように引っ張れば簡単に取り除けます。
内臓は食べられますので、残すも良し、取り除いても良し、です。
剥き身をジップロックに入れて冷凍しましょう。
メリット
- 冷凍のまま、料理にすぐ使える
- 冷凍庫のスペース消費は一番少ない
デメリット
- 冷凍保存するまでの工程がけっこう面倒
そもそも「つぶ貝」とは?
ここで本題から少し脱線し、「つぶ貝」ってどんな生き物?という話をしていきます。
実は「つぶ貝」は標準和名ではなく、「総称」とか「通称」みたいなニュアンスで使われる名前。
標準和名が「ツブガイ」っていう生き物は存在せず、エゾバイ科に属する、それぞれ別種の貝を一緒くたに「つぶ貝」の俗名で呼んでいるにすぎません。
エゾバイ科の巻貝たちは、種類を見分けるのが非常に難しい。
例えば、エゾバイ科には「エゾバイ」や「エゾボラ」や「ヒメエゾボラ」など、近縁種とは言え別種の巻貝が複数存在し、これらは各々非常によく似ています。
面倒臭いので、全部まとめて「つぶ貝」や「磯つぶ貝」と呼ぶのが一般的です。
なお、今回の記事に登場する「つぶ貝」は「エゾバイ」という種類だと思います(・・たぶん)。
エゾバイ(と思しき)つぶ貝の写真をご覧いただくと、色、形、大きさがけっこうバラバラなのがお分かりいただけると思います。これでは本当に全部がエゾバイなのか、自信が持てなくなるのも理解いただけるかと。

同じ種であっても、形、大きさ、色が多種多様すぎて他のつぶ貝と間違えてしまうのも無理はないですよね。
厳密に見分ければ実は別々の種に分けられる「つぶ貝」についての豆知識でした。冷凍保存の仕方の話に戻ります。
オススメ冷凍保存の方法は?
これまで3パターンの冷凍保存法を説明しました。「結局どの冷凍方法が良いの?」というと、オススメは最後に書いた「保存パターン3」です。
冷凍庫内をスッキリできますし、何より実際の料理で使う手間も含めて考えると、実は一番ラク。
下処理の工程を一番前に持ってくるので最初が面倒ですが、冷凍してしまえば後は楽ちんです。
ただ、時間がなくて忙しい時など、つぶ貝の鮮度が悪くなってしまうようであれば、とりあえず砂抜きだけして冷凍しておくというのも選択の一つです。
冷凍せずに新鮮なまま使い切るのが理想ですが、大量に入手した時などはむしろ、冷凍を前提とした方向で処理していった方が良いと思いますよ。
つぶ貝の”唾液腺”は取る?
冷凍したつぶ貝、あるいは生のつぶ貝を食べるときの大切な注意を一つ紹介します。それはつぶ貝による食中毒に関しての話。
巻貝の中には、軽度な食中毒症状を引き起こす「テトラミン」という毒成分を持つ種類がいます。
どの部位に毒があるかと言うと、「唾液線(通称”あぶら”と呼ばれる)」と呼ばれる器官で、テトラミンは火を通しても分解されません。
しかし、エゾバイ属に類する「つぶ貝」はテトラミンを持っておらず、従って唾液線の除去は不要です。
・・とは言え、目の前にある巻貝が本当に磯つぶ貝なのか不安である時は、念のため食べる前に除去しましょう。
冒頭で書いたようにつぶ貝は種類の判別が難しく、怪しきは唾液腺を念のため取っておくのが良いかもしれません。
つぶ貝の食べ方は?
下処理した磯つぶ貝は、アヒージョがおすすめ!
今回は以下の手順でアヒージョを作りました。
- 鍋にオリーブオイルを注ぎ、にんにく1片、鷹の爪1本、塩を入れ火にかける
- 油がフツフツとなってきたら一口大より小さめにカットしたつぶ貝入れる。
- 同時にお好みで、玉ねぎやジャガイモなどの具材を入れても美味しい。
- そのまま中火くらいで加熱し、再び油がフツフツとなってきたら超弱火。
- 油がグツグツになれば、一旦火を止め少し置いてまた点けるなどし、温度をキープ。
- 15分くらい「フツフツ」の状態で煮込んだら完成!
塩は薄めにして、食べてみて物足りなければ後から足すと良いでしょう。
磯つぶ貝は、火を通しても冷凍の状態から解凍しても、食感などの状態変化が少ない食材です。
磯臭さも少なく、適度に歯応えのある貝なので非常に食べやすいですよ。
つぶ貝の右巻き、左巻きの理由
最後につぶ貝の雑学をもう一つ。
巻貝の多くは「右巻き」で、つぶ貝も普通は右巻きです。
右巻きと聞いて一瞬「どういうこと?」となる人のために説明すると、貝のとんがった方(殻頂)を真上から見て、貝の体が出入りする穴に向かって時計回りに渦が回っている様子を「右巻き」と言います。
別の見方もあり、とんがりを上にして貝を真横から見た時、体の入り口が右側に見えるならば「右巻き」となります。
つぶ貝は基本、右巻き。しかし稀に左巻きのつぶ貝が見つかるようです。
そもそも、巻貝の中には右巻きの種と左巻きの種がいて、どういった理由で分かれているのかは解明されていないとか。その上で、右巻きの種から稀に左巻きのものが現れるメカニズムも謎です。
つぶ貝やカタツムリのように、螺旋状の形をなした部位を持つ生き物は、生物界の中では非常に珍しい存在なのです。
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