サワラ(鰆)の身割れが発生。
サワラは超メジャー級の食用魚でいわゆる赤身の魚に分類されます。そして魚の身割れが何かというと下の写真のような状態のこと。これを「身割れした魚」と言って、料理人は肩を落とすのです。

繊維がほぐたように身が割れてしまう。
味や食感はほぼ変わらず、お刺身とかの切り身にする場合に切りづらいし見栄え悪い。・・となってしまうから魚の身割れはダメダメというわけです。
特に赤身の魚は身割れが起こりやすく注意が必要でして、今回は身割れの原因について詳しく調べてみました。
魚の身割れとは?原因と対策を解説
魚の身割れが起こる原因はいくつかあります。
- 魚をおろすときに手際が悪い
- 扱いが雑
- 漁獲時の状態
- 冷やしすぎ
順番に見ていきましょう
原因1:魚のおろし方
魚を捌くのが下手だと、身割れが起こる可能性があります。
なんとなく想像しやすい原因だと思いますが、魚を捌く時に身割れが発生するメカニズムをもう少し詳しく見ていきましょう。
包丁を使って魚をおろす時に中骨や小骨に包丁が当たることがあるのですが、その時、力まかせに包丁を引いたりすると、骨が引っ張られてめくれ上がり、その骨の動きが周りにくっついている身を破壊してしまいます。
また、包丁の切れ味が悪くてなかなか切り進むことができないと、包丁の平面部分(”平”と呼ばれる部分)で、何度も魚の身をこするような動きを作ってしまう。そうすると、包丁の平にくっついた身が何度も引っ張られて、魚の身がボロボロになってしまうのです。
原因2:扱いが雑
魚をつかむ時などや魚を取り扱う全てにおいて、少しでも無理な力が加わると魚の身割れが発生する可能性があります。
意外と雑に取り扱っても大丈夫だったりしますが、青魚は(鯖とか鰆は特に)扱いに注意しましょう。
丁寧になりすぎるのもまた別の問題があったりしますが、コツは「手早く丁寧に」が肝心です。
体を曲げすぎたり、重みを加えたりすると身が割れるので注意しましょう。
原因3:漁獲時の状態が悪い
いわゆる「野締めの魚」とは、簡単に言うと「獲った後そのまま放置して死んだ魚」や「漁獲時にすでに死んでいた魚」などのことです。
氷の中で凍死させるのも野締めの一種。
野締めの場合、魚が暴れているまま放置したり、運搬の条件が悪かったり(大量の魚で重みがかかる等)と、活け締めに比べると処理が雑であることが多いです。
そうしてお魚屋さんに並んだものは、既に身割れが発生している可能性があるということなのです。
つまり、魚を買い求める時、既に身割れの魚がいる場合があるということ。
原因4:冷やしすぎ(冷凍)
身割れしないよう丁寧に扱ってキンキンに冷凍した魚でも、身割れが起こることがあるようです。
詳しい仕組みは科学的な話になるのでよく分かりませんが、簡単に言えば魚の体を構成する成分が、とても低い温度で冷凍すると破壊されてしまうということ。
野菜のジャガイモなど、生のまま冷凍した物を解凍してみると、状態が変わってしまいますよね。あれと似たようなことです。
魚はカチカチになるまで冷凍すると、解凍した時の状態は冷凍する前とは変わってしまうでしょう。

【対策】魚の身割れ防止
魚の身割れを防ぐには、単純な話ですが、上に書いた原因の逆のことを行えば良いのです。
まずできることは、魚を素早く丁寧に扱うこと。
何度も魚に触れて処理に慣れることで、早く、そして丁度良い魚の扱い方を学ぶことができるでしょう。
しかし自分の手の外、つまりお店の人の扱いはなかなか知るのが難しいことも事実。
そして、身割れが発生している魚を外見から見極めるのはとても困難です。
シンプルに、お店の人に身の状態を尋ねてみるのも手です。
魚を売るお店では、魚の身の状態を切り開いて確認しているケースもあります。
素直に聞いてみれば、把握している情報を教えてくれる場合もあるでしょう。それにはやはり、何度かお店に通って信頼関係を築くことも大切です。
参照:まぐろ・魚に関する情報発信や魚介類のギフト品を販売|老舗の魚卸屋-焼津港 丸入商店
身割れしやすい魚たち
サワラは赤身の青魚で、同じく赤身の魚であるサバやイワシなどは身質が繊細で身割れしやすいと言えるでしょう。
マダイに代表される白身魚でも、条件によっては身割れを起こします。
また、魚類全体の傾向として、若い魚は身割れしやすいので注意が必要です。
白身魚は、身がプリプリと弾力のある魚もいるので、そのような魚は身割れしづらいようです。例えばクチビ(ハマフエフキ)など。
”サワラ”は出世魚で、若い時はサゴチやサゴシと呼ばれる出世魚です。
サゴシという名前の由来についても色々と書いたのですが、じゃあ、「サワラ(鰆)」はどうしてそう呼ばれるのでしょうか?
この意味は”狭い””腹”で、狭腹(サワラ)だと言われています。
意味は、そのまま腹回りが狭い(細い)ということ。サゴシは”狭い””腰”で狭腰(サゴシ)なので、若い時も成魚となってからも、そのスリム体系が名前の由来として使われているのですね。
確かに、サワラと同じサバ科に属するカツオやサバ、マグロを見るとお腹が丸々としていますが、サワラだけ直線的なシルエットなので納得ですね。
青魚は身割れが起きやすく、中でもサワラはその特徴が顕著なので、持ち運ぶ時や捌く時は注意しましょう。若魚のサゴシ(またはサゴチ)も同様です。
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