イシガキダイ(石垣鯛)には毒がある!?「シガテラ」に注意すべき魚!

魚介の雑学

イシガキダイ(石垣鯛)は磯釣りの対象魚として人気が高く、美味な高級食材として知られます。しかし同時にシガテラ毒を持っている可能性があるので、食べる時に注意をすべき魚でもあります。というのも、万が一シガテラ毒を持つイシガキダイを食べてしまうと食中毒になる恐れがあるのです。

厚生労働省からも要注意の魚とされているイシガキダイ。シガテラ中毒は沖縄での発症例が多く、しかし今後は地球温暖化などの影響で本土でも発症事例が珍しくなくなるだろう、という予測もされているようです。

シガテラ毒について知らない人でも「毒」の文字を見て漠然とした不安を覚えると思うので、今回はシガテラ毒とそれを保有するかもしれないイシガキダイについて詳しく紹介していきます。

「そもそもイシガキダイを食べなきゃいいじゃん」

これはもっともな意見ですが、味の良い魚だし自分で釣ったら食べたくなるのが本能というもの。食中毒リスク回避の見分け方とかも紹介していきます。

イシガキダイ(石垣鯛)が持つ毒性「シガテラ」による食中毒とは?

一番大事なことは、イシガキダイが必ずしも毒を持っているとは限らないということです。

まれに「シガテラ」という毒素を体の中に持っていて、それを人間が食べることにより食中毒を引き起こす可能性があるという話です。やみくもに恐れる必要はありません。

「イシガキダイって毒がある魚だ!」と言い切ってしまうのはもったいない。なぜなら単純に石垣鯛は美味しいからです。

とは言え、食中毒の原因魚種(食べるとシガテラ毒を発症する可能性があるとされる魚)を、思い切って「食べない」という選択をすれば安パイであることも事実。厚生労働省からの注意喚起(外部リンク)にもシガテラに注意すべき魚としてはっきりとイシガキダイの名前が載せられています。

食べるか食べないかはあくまで自己責任で行きましょう。

イシガキダイの「有毒、無毒」を見分ける方法は?

シガテラ毒は魚の見た目や食べた味などで見分けることはできません。100パーセントの安全は無いのです。

しかしながら、ある程度「アタリ」をつけることは可能です。

  1. 市場で売られているイシガキダイは危険度は低い(養殖の個体が多い)
  2. 素人が釣った魚は危険度が高い
  3. 大型の個体は危険。目安は2,722グラム(2.5kgオーバーは危険度MAX)

市場で売られている魚が安全という根拠は、プロが扱っている魚は安全な場所で漁獲したものであることが多いからです。「実績のある場所」と言い換えても良いでしょう。加えて、魚市場で販売されるイシガキダイは養殖物であることも多く、養殖であればシガテラの原因になる餌をある程度コントロールできますし、100パーセントではありませんが危険度は格段に低いと言えます。

逆に素人が釣った天然物の石垣鯛は危険度は高まります。ここでポイントとなるのは、天然モノ石垣鯛のサイズが大型であるかどうか。

食物連鎖上位の魚は大型のものが多く、年齢を重ねてより大きくなるにつれて、蓄積された毒素も増えていく傾向にあります。上述した魚種で大型になったもの(特に6ポンド(=2,722グラム)の肉食魚が目安)は、危険度が高いと言われています。

しかし、それもあくまで目安。それよりも小さい若魚の状態で食べた魚が原因でシガテラ毒が発症した例もあります。

あと場所も重要で、同じ魚種、同じ大きさの個体が、漁獲される場所によっては危険度が異なります。もう少し詳しく言えば、暖かい海の珊瑚礁は危険度が高いようです。これはシガテラの原因になるプランクトンが特定の暖かい海域に多いからです。

シガテラ毒の症状は?

「シガテラ毒」や、単に「シガテラ」と呼ばれるのは、毒性を産むプランクトンを由来とする食中毒のこと。シガテラ(ciguatera)の意味は、その昔、キューバ人が現地の“シガ”と呼ばれる巻貝を食べて起こす食中毒をシガテラと呼んだことが始まりだそう。

厄介なのは、加熱調理では熱分解できず、しかも対象の味も見た目も変わらないという特性を持ち、例えば、じっくりコトコト煮込んだ対象魚の「あら煮」を美味しくいただいた後、発症してしまうことがあり得ます。

なお、日本ではシガテラ毒による死亡例はまだありません(海外ではあるらしい)。

症状は腹痛や嘔吐、下痢などから、神経系に異常を来たす場合もあり、回復に数年を要したというケースもあったという恐ろしい食中毒なのです。

シガテラの症状で特徴的なのが「ドライアイスセンセーション」と呼ばれるもの。冷たいものを触るとドライアイスに触れたかのような痛みを感じてしまうという、ちょっと想像を超えてくる症状も報告されているそうです。

シガテラ毒を持ってるかもしれない魚

本記事で取り上げている石垣鯛をはじめ、バラハタ、イッテンフエダイ、バラフエダイ、オニカマス、サザナミハギ、ギンガメアジ、ヒラマサ、ブリなど、シガテラの危険性がある魚は400種以上にも登るそうです。

共通点は、成長を遂げた大型の個体の方が若魚よりも強い毒素を保持している可能性が高いと言われます。

「オニカマス」にいたっては、厚生労働省によって食用が禁止されています。それほど中毒の危険性が高いということでしょうね。

シガテラ毒のメカニズムは、簡単に言えば毒素を産生するプランクトンが大元です。

まず、毒素を産生するプランクトンを小魚が食べ、次に、食物連鎖上位の魚がその小魚を食べ、人がその上位の魚を食べるとシガテラ中毒に陥るという仕組み。

上記の連鎖の中で、魚たちには影響はなく、影響があるのはヒトだけなのです。

また、微量な毒素では影響はありませんが、上位の魚は毒素を含む小魚をたくさん食べて蓄積してしまうので、原因になりやすいということです。

ちなみにイシガキダイってどんな魚?

さてイシガキダイとシガテラ毒の関係について、ざっくりとお分かりいただけたでしょうか。

最後に、食用魚として、また釣りの対象魚として、石垣鯛の魅力をその特徴を踏まえて紹介していきたいと思います。

まず、何と言ってもこの魚から連想するのは「海釣り」じゃないでしょうか。しかも磯釣り。浅い岩礁域に多く生息しているので、波が打ち寄せる磯から竿を投じる「これぞ海釣り」な感じのする魚です。

石垣鯛の老成個体を、釣り人たちは「クチジロ(口白)」と呼び特別視します。

名前の通り口先が白くイシガキダイの特徴である体中の斑紋も消えて、中には90センチを超える大物も存在するらしいです。

こう聞いただけでワクワクしてしまう、そんな釣りロマンいっぱいの魚なんですね。

近縁種のイシダイと共に、釣り人から俗に「石もの」と呼ばれます。

熱帯、亜熱帯に分布する大型魚です。浅い岩礁域やサンゴに生息していて、3年で体長50センチ、体重1キロを超え成熟します。産卵期は春。

特徴である身体中の斑紋は大きくなるにつれ細かく薄くなって、大人になると消えてしまうようです。

また成長するにつれ口先が白くなるのも特徴。そう、これが釣り師たちが憧れる「クチジロ」です。

ただし、メスは斑紋も消えず口先も白くなりません。オスほど体も大きくはならないようですね。

食性は肉食。甲殻類、貝類、ウニ類などの底生生物を強靭な歯で噛み砕いて食べます。

↑口の骨と歯が融合して、鳥のクチバシのようになっています。強靭な顎で硬い貝や甲殻類をバリバリ食べてしまいます。

ちなみにこの魚、名前に「タイ(鯛)」とつきますが、マダイチダイクロダイなどのいわゆる「タイ科」の魚ではありません。スズキ目イシダイ科に属しています。

クチジロの画像をググってみてください。

こんなのが日本の海に潜んでいるとは驚きです。

この魚は鱗がとても細かく取りづらい上、皮膚が厚くて硬いです。

ウロコが細かくて取りづらい

しかし身質は白身で刺身でも焼き物でもめちゃくちゃ美味ですよ。

シガテラ毒のリスクさえなければ、完璧な魚と言えるでしょう。

最後まで読んでいただきありがとうございます。

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