ヒラマサは時に高級魚として扱われる、ブリ属のお魚。
ブリ、カンパチと合わせて「ブリ御三家」と呼ばれたりします。
「御三家」と言われると何だか納まりが良く聞こえてスルーしそうになりますが、この3匹、よく似ていて見間違うこともしばしば。
ちなみにブリ属とは「アジ科ブリ属」のことを指す青魚で、味が良いことから名前がついたとも言われる「アジ」と生物学的に見て近い存在です。ブリ御三家も刺身や寿司で非常に人気の高い魚。
ヒラマサをはじめ他のブリ属3種は白身魚として扱われるケースもありますが、実は赤身の魚です。切り身の見た目は白身っぽいし、脂の乗った刺身を食べて「本当に赤身なの?」と思ったことがある人もいるでしょう。白身と赤身の良いとこどりな面も、万人に食べられる魚である理由だと思います。
では、ブリ、カンパチ、ヒラマサのどれが一番美味しいの?というとやや複雑で、ブリ属3種の序列でも触れていますが、一概には言えません。
どの魚が高級かで言えば、市場の傾向ではヒラマサが一番高値であることが多いです。しかし、これも味に関して同様、季節や個体や獲れた場所により変わってきます。
一つ確実に言えるのは、似たような魚で似たような味だからといって、ブリ御三家を見分けるのはどうでも良いというわけではなく、むしろ人気の3種だからこそ、見分け方が重要になってくるということ。
前置きが長すぎましたが、ブリ御三家(ブリ、カンパチ、ヒラマサ)の違いと見分け方を解説していきます。
ヒラマサとは?ブリ、カンパチとの違いと見分け方
ブリ属3種(ブリ、カンパチ、ヒラマサ)の見分け方は難易度高めです。
カンパチは他の2種に比べると見分けやすいと言われていますが、厄介なのがブリとヒラマサ。両者は非常によく似ています。
そこで3種の見分け方のポイントをまとめてみました。
ヒラマサとブリは口の形が違う
ヒラマサの顔に注目。写真の赤印の部分を見ると・・・。

赤印の部分は口の端ですが、少し丸みを帯びています。
ブリの場合、この角度が鋭角である点がヒラマサとの違いです。
顔を見ただけで分かるポイントなので簡単ですね。
ちなみにカンパチは、口の端がヒラマサよりもさらに丸くなっています。

ヒラマサはブリ&カンパチより細身
ヒラマサとカンパチの写真を並べてみます。


微妙な違いですが、カンパチの方が丸こいフォルムをしています。
対するヒラマサは細身で、顔は体に比べて小さめ。
ブリもカンパチと似た体型なので、ヒラマサと他2種を見分けるのに役立つポイントですね。
ヒラマサはブリ&カンパチより腹ビレが大きい
ヒラマサの腹ビレは、他2種に比べ大きいのが特徴です。

見分け方法の一つとはなりますが、見慣れないと違いに気付きづらいポイントではあります。
とは言え、もし見分けに迷ったら確認する箇所として覚えておくと良いでしょう。
体の黄色ラインと顔の模様
他に、ブリ、カンパチ、ヒラマサの見分け方でよく言われるのは体の黄色ライン。
3種とも、顔から尾にかけて真ん中を黄色の線が通っていますが、それぞれ次のような違いがあります。
- ブリ、カンパチの黄色線は胸ビレよりちょっと上
- ヒラマサの黄色線は胸ビレ上に少しだけ重なっている。
- カンパチの黄色線は他2種に比べてちょっと薄い。
体の黄色線はヒラマサが他2種と比べて特徴あるので見分ける時の参考になると思います。
さらに、カンパチの顔に注目すると、カンパチ(間八)という名前の由来となっている通り、真上から見て「八」の字の模様になっていて非常に分かりやすい違いとなっています。

ブリとヒラマサは稀に交配する(ブリマサ)
ブリとヒラマサは自然界で稀に交配することがあります。ブリとヒラマサのハーフで「ブリマサ」と呼ばれ、人為的に養殖されたりもします。
ブリマサは両者の特徴が混ざり合っているので、見分けるのも困難となるでしょう。
異種交配は稀なケース。もし目の前に現れた時に戸惑わないよう、頭の片隅に置いておくと良いかもしれません。
人間の顔立ちが一人一人違うように、魚たちも個性を持っています。
ブリマサは例外としても、ブリに似た特徴を持つヒラマサや、カンパチっぽいブリも個体によっては存在するでしょうから、上述した複数の見分けポイントを見比べて総合的に判断する必要があります。
時たまプロでも見間違う魚たちなので、見極めの難しい3種であることは間違いありません。
ブリ御三家の旬
ブリ、ヒラマサ、カンパチは味の一番良い時期(旬)が微妙に異なります。
- ブリは冬(12月〜翌2月)
- ヒラマサは夏(5月下旬〜9月上旬)
- カンパチは通年(特に6月〜10月頃)
どの魚も旬の時期意外は全く市場に出回らないというわけではありませんが、流通量で言えばほぼ上記の傾向になるでしょう。
味が良い時期という意味で「旬」とするなら、夏のブリも味が良かったりしますし、単純には言えないところではあります。
味についてもう少し付け足すと、3種の違いは、脂のブリ、バランスのヒラマサ、あっさりのカンパチ、です。脂のノリは旬の時期のブリが群を抜いていて、口に入れただけで違いが分かるほどです。
流通量で言うなら、ほぼこのような傾向にあります。
ブリ、カンパチ、ヒラマサ、一番高価なのはどれ??
ブリ属3種の市場価値の違いについては、なかなか一概には言えません。
冬に旬を迎えるブリは「寒ブリ」の別名で呼ばれるほどに市場価格が跳ね上がり、一気に高級魚扱いとなります。
漁獲される時期、地域、締め方や鮮度の状態などで高級魚になったりならなかったりするのは他の魚種同様、ブリ属3種も同じ。
くれぐれも、一概にどの魚が一番高級なのかは言えないということを前提として、それでも高値の順番の傾向としては、
- ヒラマサ
- カンパチ
- ブリ
の順でしょうか。
ヒラマサの旬は夏と言われていますが、どの時期に買っても高い印象です。
高価ならば味がめちゃくちゃ美味しいか?というと必ずしもそうではありません。市場価格は流通量(漁獲量)も大きく関係します。ヒラマサは美味な魚ですが、漁獲量はそう多くはないようです。
アジ科のヒラマサはアジを食べる
ヒラマサがふだん何を食べてるか気になっていたら、口の中から小さめのアジが出てきました。

同じアジ科なのに、海の中は弱肉強食みたいです。
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