ババガレイとナメタガレイの違いは?

ババガレイ(ナメタガレイ) 魚介の雑学

一口に「カレイ」と言っても、細かく見ると多くの異なる種に分かれています。その数、20種類以上。

ババガレイもナメタガレイも、一般に「カレイ」と言われる魚のひとつで、他にもアカガレイ、マコガレイ 、ムシガレイ、ヌマガレイなどが有名どころでしょうか。

そもそもカレイ(鰈)がどんな魚かというと、海底に住み平べったく珍妙な顔、そして家庭料理の食材となる海水魚といった感じ。いわゆる大衆魚です。

ババガレイとナメタガレイもそんなカレイの仲間で、とりわけ「ババガレイ(婆鰈)」が、たくさんのカレイ達の中で異彩を放っています。なにせ、名前が「ババ(婆)」ですからね。

見た目は他のカレイ達と何ら変わらないのに、「婆(ばば)」などと呼ばれ出したのはナゼでしょうか。

今回はババガレイの名前に注目し、ババガレイとナメタガレイの違いについて解説していきます。

ババガレイとナメタガレイの違いは?

冒頭で書いた通り、カレイ(鰈)にはたくさんの生物学的な「種」が存在していて、今回はその中のババガレイとナメタガレイに注目していくわけですが・・。

まず、「ババガレイ」と「ナメタガレイ」は違う魚?と思ってここまでお読みいただいたと思いますが、すみません、実はこの2種は同じ魚です

冒頭から、まわりくどい説明の仕方ですみません。

「ババガレイ」というのは標準和名の呼び名であり、「ナメタガレイ」はババガレイの別の名前にすぎず、1つの魚に、違う名前が付いているというだけのオチでした。

ババガレイとナメタガレイは同じ魚

ババガレイは、ナメタガレイとも呼ばれる。同じ魚だと分かったところで、もう少し名前について小ネタを。

ババガレイには「ナメタガレイ」の他にもいくつか別名があります。

同じ魚に2つ以上の違う名前が付けられるのは、日本ではごく普通のこと。

むしろ1つしか名前のない魚なんて、新種レベルのレア魚でもない限りこの日本には存在しないと言って良いかも。

ババガレイに関して言えば「アブクガレイ」や「アワフキ」をはじめ、覚え切れないほどの別名が存在しているのです。

さらに「出世魚」という概念を加えると、1匹の魚につき、またまた数多くの名前が登場してきてパニックに陥ってしまうでしょう(ババガレイは出世魚ではありません)。

ババガレイとナメタガレイ、名前の由来

まず、「ナメタガレイ」の「ナメタ」というのは「滑多」、つまり字の如く「滑りが多い」が元の意味であるという説が有力とされます。(他には「美味しい魚なので皿まで舐めた(ナメタ)」という説もあるそうです)

いずれにしろ事実をそのまま名前につけているので悪い気はしませんよね。

一方、ちょっとした悪口にも聞こえそうな「ババガレイ」という名前はなぜ付けられたのでしょう?

標準和名である「ババガレイ(婆鰈)」の名前の由来は、皮がだぶつき薄汚れた感じの見た目から来ています。

年老いた女性を卑下する「婆」の字が使われるのも、決して美しいとは言えない外見から。

たくさんの呼び名を持っているにも関わらず、残念と言うべきか、ババガレイの標準和名は「ババガレイ」なのです。

ところで、先ほどからサラっと「標準和名」なんて難しい言葉を使ってますが、そもそも「標準和名」とは?

魚の標準和名とは

魚に限らず、生物には「学名」があります。我々人間にもです。

ババガレイの学名は「MIicrostomus achne」だそうですが、これでは日本人にとって読みづらいですよね。というか読めませんよね。

学名は世界共通でラテン文字が用いられるため、日本人にはちょっと難解なのです。

そこで「標準和名」の出番というわけです。

学名に対応し、1種につき1つの標準和名を付け、覚えずらい学名の代わりに標準和名を覚えることで、生物学上の分類を理解しようとの趣旨。

ただし標準和名は全ての学名と完全に1対1で存在するわけではありません。何故かというと、そもそも日本に存在しない生物には、標準和名ってあまり必要ないからです。

存在すら知らない生物は話題にも上がりませんよね?もし研究などでその生物の話をする人たちが日本に居た場合でも、その人たちはきっと正式なラテン文字の学名を使うでしょうし。

とにかく、「標準和名」は学術的に生物名を使う時の用語であり、さらに言えば、生き物に対する全国共通の名前とも言える訳です。

カレイの名前の話から、だいぶ横道に逸れてしまいましたが、要するに何が言いたいかというと、全国共通の名前(標準和名)に「ババガレイ」って名前は相応しくないのでは??と思ったわけです。

美味しい魚なのに、なぜそこまで、まるで卑下されているような名前を付けられているのか。

なんだか可哀想な気さえしてきました。ババガレイじゃなくてナメガタレイと呼んであげましょう。

ナメタガレイ(ババガレイ)はどんな魚?

さて、ババガレイ改め「ナメタガレイ」について、もう少し詳しく紹介します。

体長は最大で60センチ。

前述の通り、カレイ科にはナメタガレイを含めてたくさんの種類が存在しますが、「オヒョウ」などのように巨大するものを除けば、大抵は30〜60センチくらいの体長になる種類がほとんど。

マコガレイなど他のカレイの仲間に比べると、若干ですが楕円形の形をしていることが多く、雄よりも雌の方が大きくなります。

産卵時期は3月〜4月で、生息域は、水深5mから400mの深海までと幅広く適応します。

そして最大の特徴は、何と言ってもこのヌメヌメ。

写真で伝わりづらいのが残念

手で掴むことが難しいくらいヌメってます。写真だと伝わらないのですが。

カレイ科は概ねヌルヌルした魚であるとは言え、ナメタガレイはその特徴が際立っています。

さらに言えば、カレイの多くは独特の匂いを放っていることが多く、人によってはこれを「泥臭い」と感じるでしょう。他のカレイ種に比べてナメタガレイはその匂いが特に強いような気が個人的にはします。

強烈なヌルヌルと匂いには因果関係があるのかも?

食べ方は「カレイの煮付け」がマスト!

東北方面では、年末から正月にかけて行事等の席で食べるような特別感のある魚が、ナメタガレイです。ある程度大きめのカレイの処理は、ヒラメと同じく5枚おろしにします。

夏は刺身でも食べられますが、カレイといえば煮付けの方が一般的ではないでしょうか。マコガレイの記事で作り方を紹介しています。

ちなみに、シンプルにソテーして食べるのも美味しいですよ。

ソテーの場合、皮が厚くまた臭みがあるなどと言われますが、バターなどを使ってじっくりと皮目を焼くことで美味しく食べることができます。

カレイとヒラメは似ていますが、だいたいの場面で高級魚として扱われるヒラメと、だいたい大衆魚のカレイを間違えてはなりません。「ヒラメとカレイの見分け方」で解説しています。

ババガレイじゃなくて「ナメタガレイ」と呼んであげて

飲食業界では、「ババガレイ」の標準和名をあまり使いません。お客さんによっては不愉快に思う人がいるかもしれないからです。

もっぱら、三陸地方での呼び名「ナメタガレイ」を使います。

ナメタは漢字で書くと「滑多鰈」となり、先述した通り「滑多(なめた)」、つまりヌメっとした魚の意味だから客観的な事実ですし、名前で誰かが不快になる心配はありません。

むしろ、「ナメタガレイ」が標準和名であれば良かったのに。

ということで、刺身や煮付け用に通販でナメタガレイはいかがですか?

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