「アカシタビラメ(赤舌平目)」はカレイの仲間で夏の食材ですが、どうやって食べるのが良いでしょうか?

食べ方の最適解は「ムニエル」でしょう。
「舌平目」と一口に言っても細かく見れば幾つかの魚種が存在し、日本では赤舌平目が代表格。味覚の上でも同属の中で上位ランクに君臨します。
小ぶりの魚だから繊細で水分の多い見質、見た目を裏切る淡白な味わいは、他のカレイ系の魚と共通の特徴です。
捌けば、綺麗な白身が現れるので初見だと外見とのギャップにちょっと驚くでしょう。
流通量はそれほど多くなく、まぁまぁ珍しい魚でもあるので、王道の料理で食べたいところ。
アカシタビラメ(赤舌平目)の食べ方は「ムニエル」が良い
赤舌平目はフィレにしてあるものとして、話を進めていきます。
念のため、捌き方について少し説明すると、
- ウロコは金ダワシでこすって取る。
- 5枚おろしでも良いが、小さい魚なので3枚おろしの方がベスト。
以上の2点がポイントで、捌き方はマダイやスズキなどメジャーな魚とほとんど一緒です。ヌメっとしてるので包丁をすべらせないよう注意しましょう。
赤舌平目は20cmくらいのものの半身(1人前)を使って説明していきます。
「舌平目のムニエル」作り方
- 赤舌平目フィレに塩ひとつまみ、表と裏に振る。
- 身を優しくピタピタと叩いて塩をなじませる。
- その間にフライパンを熱す。多めのオリーブオイルも入れておく。
- 赤舌平目に強力粉をまぶす。バットなどに強力粉を出しておいて身をくぐらせると良い。(余分な粉は払い落とす)
- 3のアツアツのフライパンに赤舌平目を皮目から入れる。
- 弱火にし、フライパンを横に軽く揺すりながら身を油の上で滑らせる。
- 皮目がきつね色になったらバター1匙を投入。フライパンを横に回してバターを身に馴染ませる。
- バターの色が薄く茶色に変わってきたら身をひっくり返して、フライパンを揺すって7と同量くらいのバターを馴染ませる。
- 1〜2分で火を止める。
- 赤舌平目を皿に盛り、胡椒を振る。
- フライパンに少しバターを足して熱する。バターが溶け、さらに薄茶色になったら白ワインを少し振って強火。
- 数秒、フライパンのソースが馴染んだら赤舌平目の身に全部かける。出来上がり!
バリエーションとして、白ワインを入れるときに醤油をひと回しすればご飯のお供に相性良くなりますよ。
そもそも”ムニエル”ってどんな料理??
ムニエルのルーツはフランス料理です。
正しくは「meunier(ムニエ)」と言い、言葉の意味は粉屋とか製粉業者のこと。
つまり、”粉”を使うのがムニエルの定義と言えます。小麦粉ですね。
そして、多めのバターを使うのも定番。
出来上がりにレモンを添えたりパセリをふったりすれば、より本場感が出るでしょう。
ムニエルの食材は舌平目のほかマトウダイも定番の魚で、魚種は何でも良く、白身魚を使うことが一般的です。

アカシタビラメ(赤舌平目)はどんな魚?
フランス料理や洋食でかなりポピュラーである「シタビラメ」。
実は「カレイ目ササウシノシタ科」および「ウシノシタ科」の魚のこと。
「アカシタビラメ」もシタビラメだし、同属だけど別の魚種の「クロウシノシタ」のことをシタビラメと呼んでも、間違いではありません。
ちなみに、その中でも「アカシタビラメ」は、最も味が良いとされています。
「舌平目」の名前の由来は、読んで字のごとく「舌」のこと。姿形が牛の舌に似ていることからこう呼ばれます。「ウシノシタ科」という科名はそのまま分かりやすいネーミングです。
ちなみに、名前に「ヒラメ」とありますが、ヒラメとは異なる別の魚で、カレイに近い魚です。
赤舌平目の場合、“アカ”シタビラメということで、体全体が赤みがかった色をしています。
ちなみに地方では、「クチゾコ(「靴底」が訛ったもの)」や「ゲタ」など、靴の底を意味するような名前がつけられている地域もあるそうです。これもその見た目からついた名でしょう。
おもしろいことに、英名のSoleも靴底を意味する言葉だそうです。
カレイの見た目はかなりの珍魚感あり
アカシタビラメは上から押しつぶしたような平べったい体をしているのですが、その顔も、つぶれてしまったかのような形をしています。
上から見たところ。可愛い目が特徴的。

そしてこちらが地面側の向き。ひん曲がった口がついています。

見方によってはかわいい口ですね。
他のシタビラメ類と違って、アカシタビラメの側線は背側(目が付いている方)に二本あり、腹側(口が付いている方)には付いてません。興味深い特徴です。
ちなみに他のシタビラメ類は腹に1本側線があり、合計3本有しているようです。
アカシタビラメの産卵期と旬
アカシタビラメの産卵期は春から夏にかけて。
ちょうどこの時期に多く漁獲されることもあり、旬の時期も春から夏とされています。そして旬の時期と産卵期は重なるので、市場には子持ちの個体が多く見られます。
ところで、魚全般に言えることですが、子持ちの個体は味の評価は低いです。栄養が卵に取られるからですね。
旬だとされる時期の目安に、漁獲量は大きく関わります。
しかし実は、産卵期を外した方が、身は美味しいケースがあることは覚えておきましょう。
見た目が変な魚が実は美味しいという、魚の世界ではよくある話の典型のような赤舌平目。
ムニエル作りにぜひ挑戦してみましょう。
コメント