ヒラメが高級魚なのはナゼなのか?

ヒラメ(鮃) 魚介の雑学

ヒラメといえば、高級な魚というイメージがあります。

確かに美味しい魚なのは間違いありませんが、真鯛とか金目鯛などに比べると華やかさがなく、味の面ではヒラメに匹敵するレベルで美味な大衆魚や低利用魚はいると思います。

ヒラメに取り立ててチヤホヤされる要素ってあるのだろうか?と思ったりするわけです。決してヒラメが嫌いなわけじゃないのですが、単純に不思議というか。

最大の疑問は、ヒラメと似たり寄ったりの姿をした「カレイ」が大衆魚扱いという点。カレイはリーズナブルな値段で売られていることが多いお魚なのです。

ヒラメが高級ならばカレイも同じように扱っても良さそうだし、逆にカレイが大衆魚なら、ヒラメも安いのでは?と、ちょっと納得いかない、というか、単純に不思議。

ヒラメがずっと高級魚として定着している「なぜ?」を考えます。

ヒラメが高級魚とされるのはなぜなのか

ヒラメが高級魚であるのはなぜか?

とりわけ同じ「カレイ目」の仲間とも言って良い存在の「カレイ」と比べた価値基準を考えます。

天然のヒラメは希少性がある

まずはシンプルに需要と供給の点から、ヒラメはカレイに比べて漁獲量が圧倒的に少ない魚。

漁獲量が少なければ、需要を満たせず値上がりするのは市場原理なのでヒラメの高級魚たる由縁なのかもしれませんし、反面、カレイは圧倒的な供給量があるから値上がりしづらいと言えるのかもしれません。

水産庁の資料を見ると、ヒラメの漁獲量は全国で602トン(2020年)だったのに対し、カレイは同年のデータではありませんが、41,352トン(2019年)。年によって漁獲高の推移はあるでしょうが、規模が2桁くらい違います。

  • ヒラメの漁獲量は602トン(2020年)
  • カレイの漁獲量は41,352トン(2019年)

このデータを見ただけでも、ヒラメが高級魚かはさておき、ヒラメに比べカレイの価値は低いと考えるのが自然。

ちなみに、高級魚「マダイ」の漁獲量は全国で1万5千トン前後で毎年推移しています。魚によって需要量はまちまちなので一概に言えませんが、高級魚であるマダイよりも漁獲量が少ないヒラメは、供給量がマダイより少ないのは間違いないでしょう。

以上をふまえると、ヒラメは漁獲量が少なめの魚なんだな。ということが分かります。

もしヒラメを買い求める人が多ければ、値上がりしまくって高級魚として扱われるのは必然だと思います。

他方で、カレイの漁獲量が多い理由に注目すると、ヒラメに比べてカレイの仲間は種類が多く、一括りに「カレイ」として全種を総合量で見るから量が多くなるという視点も無視できません。実は細かく見れば、カレイの中にも高級な種は存在し、マツカワガレイやホシガレイは、時にヒラメより高値をつけることもあります。

ところで、ヒラメを漢字で書くと「平目」や「鮃」となります。魚の漢字グッズも販売してますので興味あれば覗いてみれください。

ヒラメとカレイの顔の向きが高級魚かを分ける

和食におけるお魚の取り扱いには決まりがあります。その一つが、魚は向かって左に顔が向くように皿に盛るということ。

カレイの場合、顔が左をむくように置くと裏返しになり目が見えなくなってしまうか、あるいは逆さまにお皿に盛り付けるようになってしまいます。目が見えなければ無作法になるし、逆さまだと奇抜だし。要するに見栄えが良くないわけです。尾ビレ付きのまま提供できないのも良くない。つまりカレイはラグジュアリー点数が低いのです。

その点、ヒラメは皿に盛ると左を向くのでラグジュアリー点数は規定を満たします。(ラグジュアリー点数ってなんでしょうね笑)

ヒラメは味の良い魚で需要が多いからこそ、市場から求められて常に価値が高いと言えるでしょう。ブサイクな見た目も、日本食において最低限の要件を満たしているのでカレイのように価値を低めに見積もられることもありません。

ヒラメとカレイの見分け方は、「左ヒラメに右カレイ」と言います。見分け方の記事も良ければ覗いてみてください。

養殖ヒラメは価値が下がっている

ヒラメの養殖物は、40cmほどの最大クラスのサイズでも1キロ当たり1,000円とかで売られるケースもあり、これは紛れもない「ヒラメ」だと考えると破格で、もはや高級魚とは呼べないレベルの値段です。

天然物でサイズ良好なヒラメはまだまだ高値をつけて、供給量も少ないので安定の高級魚扱いですが、魚市場などで出回るヒラメは養殖の方が多い印象です。

養殖されるというのは人気があることの裏返し。天然物のヒラメとの二極化が進んでいます。

最初に説明した「需要と供給」のバランスにより、昔は大衆魚だったけど、高級魚化する魚は最近でもあります。カサゴは昔は大衆魚でしたし、秋刀魚が高級魚として常識になるのは遠い未来ではないかもしれません。

なお、カレイは大衆魚と紹介しましたが、それでも料亭などでも使われるマツカワガレイやホシガレイ、マコガレイなど、高級感のある種も忘れてはなりません。味はもちろん美味です。

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