「ホウボウ」とは、食材以外にも観賞用途など様々な顔を持つ海のお魚。
特段レアな魚ではなく、大群ではないものの近場の海に生息するような大衆魚のひとつと言って良いでしょう。
古来より刺身とか煮物とか食べ方の確率した食用魚である一方、その珍妙な見た目と興味深い生態から水族館の観賞用としてレギュラーな存在。教育系のメディアなどで取り上げられることもしばしばです。
よく知られるホウボウの生態をいくつか列挙します。
- 見た目のユニークさ(凧みたいな胸ビレ等)
- ホウボウは“鳴く魚”
- ホウボウは“歩く魚”
めちゃくちゃ興味湧いてきませんか?
ひょうきんな姿につい目を奪われるホウボウの特徴について解説していきます。
【珍しくて食用】ホウボウとは?
ホウボウは食材でありながら、インパクトのある見た目や変わった生態を持つため観賞用途にも適した海のお魚。
カサゴ目ホウボウ科に属する魚類で、どちらかと言えば寒い海に住む魚のイメージ。しかし北海道から関東はもちろん、時期によっては沖縄や鹿児島などでも見ることができ、意外と全国レベルの魚です。
水深100〜200メートルあたりが活動圏で、水深600メートルの深海でも見ることができるそう。砂泥地や岩場などに住む低層魚で、海釣りにおいては堤防から狙うこともできます。
特徴は色々ありますが、まずはなんと言ってもその形。
硬い頭と円錐形の体、大きなヒレ、他の魚とちょっと違う見た目に食材であることを忘れてつい見入ってしまいます。
珍魚すぎる「ホウボウ」は手堅い食材
ホウボウが「珍しい魚」と言われる所以は、希少性が高いという意味ではなく他に類を見ない体の仕組みと動作にあります。
新鮮なホウボウの写真をたくさん撮ってみましたので、つぶさに観察してみましょう。










体の形は円錐型で、魚類では少数派と言えるでしょう。
口の形も多くの魚は受け口(シャクレてる)なのに対して、ホウボウは上顎が下顎より前に出た形をしています。
さらにホウボウは、広げると凧のような大きな胸ビレを持ちます。使い方が気になるところですね。
ここまで特徴を軽く紹介しただけでもネタの宝庫であることが理解できるでしょう。
紛れもない珍魚であることは分かりましたが、それと同時に食材として手堅く流通する側面も。珍魚だからといって珍味というわけではなく食べやすい白身魚。離乳食にもなるし、昔は皇族にも献上されるような格式ある食材という顔も持つのです。
ホウボウは「鳴く魚」
加えて、ホウボウは「グーグー」と鳴く魚として知られています。
「え?どういうこと?」となるわけですが、人間のように声帯を持っているわけではなく、ホウボウが鳴く仕組みは、浮き袋を使って音を出します。
浮き袋は魚における人間の肺に似た器官ですが、主な役割は「海中の位置調節(浮力調節)」です。
海水に対して魚の体は密度が高いので、そのままだと沈んでしまうわけですが、魚それぞれに居るべき深度がありますから、浮力を調節して一定の深さを維持しているということのようです。
ほとんどの魚は浮き袋を使って呼吸はせず、ホウボウも同様に浮き袋で呼吸はしません(ハイギョなど一部の魚類は浮き袋を使って呼吸します)。
その上で、ホウボウが鳴く理由はハッキリとは分かっていません。威嚇、求愛、仲間との何かしらのコミュニケーションの手段である可能性が指摘されています。
ホウボウが鳴くメカニズムは、浮き袋周辺の特殊な筋肉を使い、浮き袋を伸縮させることにより音を出しているとの説が有力。つまり浮き袋を振動させることで音を出しているのでは?ということ。
実は鳴く魚というのは他にもいて、イシモチやカサゴも発音魚。発音する方法も様々で、中にはヒレの刺を使って音を出す魚も。海の中は色々な音に満ちているようです。
ホウボウには足がある?「歩く魚」の謎
ホウボウは“歩く魚”として有名。歩くってそんなバカな!と、疑いたくもなりますが本当です。
「歩くって、足があるってこと?」詳しくは海底を歩く魚の記事で解説しています。
ホウボウのおすすめ食べ方
その昔、ホウボウは上流階級が食べる魚で、ある意味で神聖な扱いをされる魚だったみたいです。
縁起が良いということで「お食い始め」、つまり赤ちゃんに食べ真似をさせる伝統的な儀式に使われる魚として有名で、現代においても皇族のお食い始めに使われたーとか、ニュースになったりするクラスの魚なのです。
実はありがたい食材のホウボウ。オススメの食べ方はアクアパッツァです!
どんな料理か簡単に説明すると、
- 水、白ワイン、トマトを用いた、イタリア発祥の魚の煮込み料理
- 使う魚はなんでもOK(青魚でも美味しければ可!)
- 魚の他に、出汁の出る魚介類を数種類入れる(アサリやムール貝など)
超簡単説明ですが、だいたいこんな感じのイタリア料理。そして、ホウボウをアクアパッツァで食べたい理由は3つ
- 調理が簡単
- ホウボウはアラ(頭など)から良い出汁が出る
- ホウボウは歩留まりが悪い
ホウボウは刺身でも美味しい魚ですが、生食は万人向けとは言えないですし、魚の鮮度の問題もあります。ホウボウはやはり「煮物」で、洋風であればアクアパッツァのような料理向きと言えます。
アラから美味しい出汁が取れるし、調理方法もほぼ丸のまま煮込むだけで簡単。加えて、体の割に頭が大きく食べどころの少ない、いわゆる「歩留まりの悪い」魚なので、丸のまま煮物にして身を余さない食べ方が合理的と言えるでしょう。
ホウボウに似た魚「カナガシラ」との違い
ホウボウとよく似た魚に「カナガシラ」というのがいます。
詳しくはホウボウとカナガシラの違いで説明していますが、両者の違いはざっくり言えば次の通り。
- 胸ビレ(カラフルな模様はホウボウだけ)
- ウロコ(ホウボウの方がツルッとしている)
- 体の大きさ(カナガシラの方が小さいことが多い)
- 体の形状(カナガシラの方が”すんずまり”)
知らずにパッと見ると全く同じ魚のように見えますが、このようなポイントを押さえた上で確認してみると、意外と簡単に見分けることができますよ。




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