日本には「魚の神」がいることをご存知でしょうか。その名も「ハタハタ」。漢字で「鰰」と書きます。
なるほど「鰰」という漢字を分解すると「魚」と「神」になるので、確かに神。・・にしても神なんてずいぶん壮大な雰囲気ですが一体どんな逸話を持つのでしょうか。
なにしろハタハタの見た目に神々しさは感じられず、逆にか弱い幼魚のような姿が名前とのギャップを感じさせるので。
なぜハタハタが魚の神なのか、名前にまつわる話を調べてみました。
【神の魚】ハタハタの漢字「鰰」の読み方と逸話
ハタハタは秋田をはじめ東北地方で有名な海のお魚。産地では郷土料理に使われるほど歴史のある食材。ということは、ただならぬ“食”の逸話を持つために「魚の神」の名を与えられたのでしょうか?
ハタハタ由来の食材と言えば、例えば「しょっつる」や「ぶりこ」。全国的にも有名なハタハタを原料とする加工品で、ハタハタは知らないけど加工品の名前を聞いたことある人はいると思います。
「しょっつる」と「ぶりこ」。美味しい加工品ではありますが「神がかって」というのもちょっと大げさすぎる気が・・。美味しい食材が「神の魚」というわけではなさそうです。ちなみにハタハタの加工食品についての記事も書いてますのでよろしければ。

神話が語源!?「ハタハタ」の名前の意味
話はちょっと逸れますが、「ハタハタ」はハワイ方面のネーミング法則と通づるものがあると感じました。
例えばシイラのハワイでの呼び名「マヒマヒ」とか。でもハワイとは全く関係なし。
ここで結論に一歩近づく情報を紹介。
「ハタハタ」は、昔の日本での雷の擬声語、つまり現代で言うところの「ゴロゴロ」とか「バチバチ」のようなニュアンスなのだそう。
秋田などで雷が多発する11月頃によく獲られるハタハタ。「雷」との印象付けがそのまま名前になったとする説が有力です。
では、なぜ「魚の神」なのでしょうか?
雷は「神」の象徴
北日本ではその昔、雷光を「霹靂神(はたたがみ)」と呼んでいたそうです。雷神つまり霹靂神(はたたがみ)と関係の深いハタハタに「鰰」の漢字が当てられたとする説が、まず1つ。
2つ目の説は雷神と関係なく、ハタハタの体の模様が「富士山」に似ていたことからめでたい「鰰」の字を当てたとするもの。
体の模様の話はともかく、ハタハタは雷と密接な関わりがあります。「鰰」とは別に「鱩」と書いてもハタハタのことを指しますし、「カミナリウオ」の別称もあるとか。
雷の時期に多く獲れる理由は、ちょうど11月頃がハタハタの産卵時期と重なるためです。
もともと深海に住んでいるハタハタは人の目にはあまり触れません。しかし、産卵のために浅い海の岩場へと移動してくる性質を持っているため、雷の多い11月に大漁になるということのようですね。
ハタハタ伝説!戦国武将とも関係が!
ハタハタは「サタケウオ」とも呼ばれます。
関ヶ原の戦い以降、常陸の名族「佐竹氏」が秋田へと国替えとなった後に、秋田でハタハタがたくさん獲れるようになったとの言い伝えがあり、もともと水戸で獲れていたハタハタが佐竹氏を慕って秋田にやってきた、という伝説から付いた名前だとか。
小さくてか弱い魚に見えるけど、神だの戦国武将だの、ハタハタの名前は壮大なロマンがいっぱいでした。
ハタハタの食べ方や注意すべきこと
そんなロマンたっぷりの魚も、美味しい食用魚であることを忘れてはいけません。特に加工品が有名であることは冒頭で紹介しました。詳しくは「ハタハタの食べ方」の記事にて紹介しています。
ハタハタを食べる時に気をつけたいのが、寄生虫の存在です。こちらも「ハタハタにつく寄生虫」の記事で詳しく解説しています。
「神の魚」はハタハタ以外にもいる
ハタハタの他にも、神と呼ばれる魚は存在します。
- 漫画「将太の寿司」で、白い斑点のあるシブダイが「神の魚」とされていた。
- 漫画「ゴールデンカムイ」で、鮭(サケ)を「カムイチェプ(神の魚)」と紹介。
- アイヌの人はオオオカミウオを「チップカムイ(魚の神)」と呼ぶ。
他にもありそうなので、気が向いたら探してみます。
日本は魚にまつわる伝説が豊富で、「地震をおこす大鯰(おおなまず)」や「全長10Kmもある赤えい」の話など、妖怪とも言えそうな話は多いです。
街や村レベルでも、「〇〇池のヌシ」のような話は、きっと無数にあることでしょう。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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