夏野菜「オクラ」の下処理は、板ずりをした後に茹でるのが一般的。
シャキシャキ&ネバネバな唯一無二の食材は、サラダや主菜の付け合わせに欠かせない存在なので大事に取り扱っていきたいところ。
今回はオクラの下処理の注意点をまとめてみました。筆者宅で育った自家製オクラを使って実演してみます。
収穫前のオクラがどのように実をつけるかも紹介します。けっこう意外な生え方してます。
【オクラの下処理】板ずり、茹で方の注意
オクラは生食も可能ですが、基本的には茹でたり焼いたり火を通して料理に使います。
オクラには繊毛(全体にうぶ毛のような細かい毛)があるので、まずはこの繊毛を処理しないと触れた皮膚の部分がかゆくなってしまいます。皮膚の弱い人(筆者がそう)だと、かゆくなるどころかアレルギー反応のように赤く腫れてしまうことも。「板ずり」は繊毛を除去するための下処理というわけですね。
そしてオクラを茹でることは、食感、苦味ともにマイルドになり食べやすくなります。美味しく食べるためには大切な下処理となるので、詳しく処理方法を見ていきましょう。
オクラの「板ずり」
オクラをサラダで食べるときは、茹でる前に「板ずり」します。
まな板の上でオクラに塩をふって指で優しくジョリジョリこすってあげましょう。
このひと手間で、オクラの繊毛を取り除く、あるいは茹でた時に繊毛が取れやすくなります。「板ずり」をせずに茹でたオクラは、ちゃんと火が通っていたとしても繊毛で口元が痒くなったりすることがあります。
さらに、板ずりすることで茹でた時に色よく上がるという副次的な効果も期待できます。
フライパンでソテーしたりするときは、フライパンの熱で繊毛が焼けてしまうので板ずりしなくても大丈夫です(ただし、直接焼くよりも茹でてから焼き目をつけた方が見た目よく仕上がります)。
板ずりの注意点として、あまり力を入れてやるとオクラを潰してしまうので優しく取り扱いましょう。実践してみると気づくと思いますが、正直、板ずりで繊毛が綺麗さっぱり取れることはありません。無理に綺麗にしようとするとオクラを潰してしまう可能性があり、そうなっては元も子もないので、繊毛を取るよりもオクラを傷つけないほうが大事と思ってください。
オクラネットを使った「板ずり」の代替
オクラの板ずりは、オクラが包装された「オクラネット」で代用できます。
(すみません、「オクラネット」は筆者が勝手にそう呼んでるだけで正式名称かは不明です)
どうやるか、写真で解説します。




オクラを買った時、たいてい緑色のネットに入っていると思いますが、その緑色のネットを活用します。
ネットの網目を利用して、オクラを擦って繊毛を除去するという方法で、オクラがネットに入った状態のままラベルを取り、水道の流水にさらしながら揉み込むだけ。オクラとネットが擦れる作用を利用して繊毛を除去するのです。
ただし、注意点も。
- 力を加えすぎてオクラを潰さないようにする。
- 最後にネットから出してオクラを水洗いする。
力を入れすぎないようにするのはネットを使う場合も同じ。強調したいのは、最後に水洗いするべきということ。摩擦によって、オクラネットから超微細な緑色のプラスチックゴミ(ギリギリ目に見えるくらいのやつ)みたいなものがボロボロ出ることがあるからです。
オクラの茹で方
オクラの茹で方は、1分〜1分半ほど塩茹でしてすぐに色止めのため冷水に晒して熱を取ります。
注意点は、オクラは必ず丸のまま茹でること。オクラの中は空洞になっているので、中途半端に切ってから茹でると、中に水が入ってベチャベチャになるし、切り口からネバネバが溢れ出して扱いづらくなってしまいます。
オクラは茹でれば食べやすく、フライパンで焼いたりする時も予め茹でてからの方が出来上がりに違いが出ます。(炒めたりする時は火が入るまで長く熱を加えるので、水分が飛んでシワシワの見た目になってしまいます)
茹で時間は意外なことに短め(1分〜1分半)で大丈夫です。心配で長めに茹でてしまうと、オクラ特有の食感がすぐに無くなってしまうので、1分ちょっとで十分です。
オクラをレンジで加熱するやり方
普通は塩水で茹でるオクラ、電子レンジで加熱することにより、茹でるのと同じような結果になります。
茹でるよりも簡単な反面、色艶が茹でるより悪くなり、大きさも少し縮んでしまったような見た目となります。味は変わりませんが、食感は茹でたほうがイイ感じです。
手軽にできるというメリットを活かしたい場合もあるので、電子レンジなのか塩茹でなのか、目的に応じて使い分ければよいと思います。
電子レンジでオクラを加熱するやり方は、耐熱皿などにならべてラップをし、5本で40秒〜50秒くらい。加水はしません。
オクラを生で食べる時の注意
オクラは基本は加熱して食べますが、薄切りにして生食に使う場合もありますし、生食に特化した品種もあります。丸オクラなどはその代表格。
しかし、オクラを生食する時の注意点もあります。
- 繊毛を除去する下処理(板ずりなど)は必要
- 小ぶりで柔らかく、収穫から時間が経ちすぎていないものを選ぶ。
- 薄い輪切りがオススメ
- 大量には食べない
生食であっても繊毛を除去する下処理は必要です。唇がかぶれてしまうかもしれませんので。
古いものは避け、なるべく未熟な瑞々しいものを選びましょう。
さらに、オクラには整腸作用のある成分が入っているので、食べ過ぎるとお腹を壊す可能性があります。特に生食の場合は食べすぎないよう注意してください。
切り方は、なるべく薄い輪切りがオススメです。生のオクラはシャキシャキ感が強いので、薄切りにすることで食べやすくなります。
【家庭菜園】オクラの生え方がおもしろい
ちょっと横道に逸れますが、オクラが畑でどのように実るかを紹介します。
オクラの生え方は?
家庭菜園で実をつけたオクラがこちら。

茎から空に向かって実をつけます。ねばっこいだけでなく“真っ直ぐ”な性格の野菜のようです。
「固いオクラ」を見分ける切り方
稀にスーパーマーケット等で購入したオクラの中にも、成長しすぎのものがあったりします。
オクラは収穫のタイミングを逃すとあっという間に成長して繊維が固くなります。これを木質化と言い、木質化したオクラは固すぎて食べれません。
少しでも固くなったオクラは、長時間茹でたとしても繊維が柔らかくなりません。
木質化の特徴は、オクラの茎側より先っちょの方が硬くなっていることが多いです。

固くなっている(木質化)かどうか、見た目で判断がつかないときは、茹でる前に細くなっている先の方を少し包丁で切ってみてください。
(上の写真の穂先部分、しおれた花びらがついている部分を切ってみる!)
抵抗なく切れればOK(多少の繊維感があっても、茹でる前提であればOK)。一方、包丁にかなり強めに繊維が引っかかって「ジョリッ」とした感触があればアウトです(食べれないことはないですが)
オクラは穂先のほうが固い野菜です。木質化しかけているオクラは穂先を切り落とすことで違和感なく食べれることもあります。
もし、木質化して繊維が強いと感じたら、「オクラ茶」などにしてみてはいかがでしょうか?せっかくなので無駄なく食べたいところです。
オクラの原産地とネバネバの正体
オクラの原産地はアフリカ。つまり、暖かい気候であるのが生育の条件です。
日本でも高知や沖縄などの暖かい地域での栽培が盛んですよね。
だいたい10度以下で発育に障害が出てしまう、寒さにめっぽう弱い野菜なので、四季の寒暖差の激しい日本では冬は越せません。
オクラは実は多年草だったのですね。日本では季節物のイメージが定着していますが。
オクラのネバネバの正体は、ペクチンとミューシレージ(ムチレージと書く場合もある。英語でmucilageのこと)です。
ペクチンは水溶性食物繊維。水に溶けてジェル状になる食物繊維は、腸壁に張りつきコレステロールや糖質などの吸収を穏やかにしてくれますし、腸内細菌の栄養になって活発にしてくれます。一言で言えば整腸作用のペクチン。
ジャムを作る時、“とろみ”をつけるために混ぜるのがペクチンですよね。柑橘類の皮などに多く含まれ、やはりオクラの粘りに共通したものを感じます。
ミューシレージ(ムチレージ)は植物性糖タンパク質ですので、バランスの良いタンパク質接種に配慮したいならば肉料理の付け合わせとしてオクラを使うのは理にかなった選択っぽいですね。
ちなみに動物の粘液(人間の鼻水など)は「ムチン」という動物性タンパク質を含んでいて、植物に含まれる「ミューシレージ(ムチレージ)」と区別されているようです。ムチンは動物性、ミューシレージ(ムチレージ)は植物性のタンパク質。
「オクラのネバネバってなんか体に良さそう」となんとなくは分かっていましたが、なるほど、やはり優秀な栄養源のようです。
オクラの英語名と種類
ちなみに、「オクラ」という名前、英語の「Okra」から来ています。日本で定着しすぎている野菜ですが、実は英名がそのまま日本語名になったという衝撃の事実。
和名ではその昔「アメリカネリ」とか単に「ネリ」と呼ばれていたそう。
他にも、「陸蓮根(おかれんこん)」の異名もあります。オクラの断面が蓮根を思わせるからでしょうか。俳句の歳時記には「陸蓮根(おかれんこん)」の名前で登場します。
筆者の住む関東で一般的にオクラといえば、断面が五角形のものを想像するでしょう。
しかしオクラにも色々な種類が存在します。
- 角オクラ
- 丸オクラ
- 赤オクラ
- ジャンボオクラ
- 星オクラ
沖縄方面では、角がなく断面が円状になる「丸オクラ」の方が一般的だそうです。
対して、区別するため関東で一般的な五角形のものは「角オクラ」とも呼ばれます。違いは、丸オクラの方が繊維が柔らかいということ。
赤オクラというのは、色が赤いオクラで、生で食べることができる場合が多い品種。サラダの見栄えに良いでしょう。
茹でると赤色は消え、くすんだ緑っぽい色に変色してしまいます。
ジャンボオクラは太さが倍以上もあろうかというドデカいオクラで、味や食感は大差ないですが見栄え的にはかなりインパクト大。輪切りにすると一層引き立ちます。
星オクラという呼び名が正しいか自信ありませんが、断面が星型のオクラもあります。これも輪切りにしてサラダに散らす等すれば見た目が良いです。
ということで、自前で育てたオクラは注意深く処理しましょう。
- オクラの収穫は早めに。花が落ちたらみるみる成長するので
- 木質化は、先っちょを包丁で切って確認
- 繊毛は板ずりで処理。焼いて使うときはやらなくて良い。
- 下茹では必ず行う。冷水での急冷も忘れずに
夏のネバネバ野菜「オクラ」と、同じくネバネバ発酵食材である納豆の最強コンビで夏を乗り切りましょう!
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