「カジキ」という魚のトレードマークと言えばクチバシのように尖った口。そもそもアレって何のためなのでしょうか?なぜツノみたいに伸びているの?というか、まずアレは口なの??
なかなかお目にかかれない珍魚なので、運良く手に入れた「バショウカジキ」を観察しながら調べてみました。
【くちばしが尖った魚】バショウカジキの口はなぜ尖っているのか?
一口に「カジキ」と言っても、実はカジキはいくつかの種類に分かれます。マカジキやメカジキ、クロカジキなどが有名。よくカジキマグロという名前を聞くかもしれませんが実は「カジキマグロ」は俗称でその実はマカジキのことを指します。
カジキ類に総じて言える特徴が、鳥のクチバシのように、あるいは古代の生物や想像上の生き物のツノのようにまっすぐ伸びた口。
生きるための機能として合理的にあのような形になったのは想像できるけど、いったい何のためでしょうか?




カジキの“クチバシ”は“狩り”のため
まず、カジキの長く尖ったツノのような部位は“クチバシ”ではなく「口」。もっと専門的には「吻(ふん)」と呼ばれます。
バショウカジキなどカジキ類は、長く伸びたツノ状の部分(吻)で小魚などを叩き、動けなくして捕食するのです。つまり硬く長いクチバシ状の吻を武器のように使うということ。
泳ぎの早いカジキはイワシなどの群れに突進してクチバシを振り回します。するとイワシ目線では、硬くザラザラした棒で叩かれたり引っ掻かれたりする格好となります。弱いイワシは傷付いたり動きが鈍くなるので、カジキにとってあとは捕食するだけというわけですね。
また、上位の捕食者であるサメなどが攻撃してきたときに防御に使ったりもするようです。
泳ぎが非常に早いカジキが持つ尖った口先は、時に人間を、さらには船をも傷つけたりします。しかしほとんどの場合これはカジキが意図的に攻撃しているわけではないとされます。カジキ本人にも制御できない凶器を持った魚だと言えるでしょう。
魚が持つ多様な“吻”
これまでの文章で「カジキの尖った口」と形容してきましたが、これは「吻(ふん)」とも呼ばれます。動物の口、またその周辺のことを「吻」と呼ぶ少し専門的な呼び方。
カジキの吻は唯一無二で特徴的な形をしていますが、魚類は他にも多種多様でユニークな形状の吻を持つ種が多くいます。詳しくは「魚の様々な吻の形」の記事で紹介していますので覗いてみてください。
人が住むエリアから遠く離れた外洋を泳ぐバショウカジキは、漁や船釣りにでも携わらない限り我々の暮らしから縁遠い存在です。せっかくなので体の部位画像をのせておきます。








バショウカジキの名前は帆のように幅広の背ビレに由来します。芭蕉の葉に似てるということですね。
英語名だと「sailfish」。やはり特徴的な背ビレからの命名です。ちなみに他に背ビレが「帆」のような魚にはハッカクなどがいます。
バショウカジキは赤身魚です。歩留まりはイマイチと言われること多いですが、それでも大型魚なので可食部分は多め。

特徴的なバショウカジキの鱗と中骨
ふだん見慣れない魚への興味はつきません。少しマニアックですがバショウカジキの面白い特徴を2点紹介します。
一つ目はウロコ。バショウカジキのウロコは針のように細いのが特徴です。

これはシイラやエチオピアの特徴と類似します。エチオピアはウロコが取りづらくすき引きが必要です。
また、バショウカジキの中骨も特徴的。


中骨の形が非常にユニークです。見慣れてない人はピンと来ないかもしれませんが(笑)。

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