ウスバハギの捌き方と食べ方

料理レシピ

ウスバハギは「カワハギ科」の海水魚ですが、代表的なカワハギやウマヅラハギと比べ、マイナーなイメージを持つ人が多いかもしれません。

カワハギは今や高級魚なので値段的にちょっと扱いづらいですが、同じカワハギ科に属するウスバハギなら比較的お手頃な価格で手に入ります。

体が大きくボリュームもありますし、鮮度が良ければカワハギやウマヅラハギ同様に肝は絶品なので、ウスバハギはコスパの良い魚と言えると思います。流通量は少なめで、入手するのはレアです。

「カワハギ科」の魚で特筆すべきは、“特殊な捌き方”と“絶品の肝”です。

以前ウマヅラハギの記事でも紹介しましたが、今回はウスバハギを使ってその変わった捌き方を全力紹介していきます!

ウスバハギの捌き方と食べ方

カワハギ科の「ウスバハギ」。”ハギ”は漢字で「剥ぎ」と書き、「皮を剥ぐ魚」の意味。特殊な捌き方に由来する名前なのです。

ウスバハギの味わいを紹介しつつ、特殊な捌き方を解説します。

基本的な捌き手順、頭を落としたり内臓をとったりは他の魚と同じなので、その部分は割愛します。

【“まずい”の??】ウスバハギの味と食べ方

そもそも食材として「ウスバハギ」という名前を聞いたことのある人は少ないかもしれません。

正直、人気もあまりないマイナー魚なのでウスバハギの味について不安を感じる人もいるでしょう。

ウスバハギは“まずい”のか?いいえ、ウスバハギは美味しい魚。

マイナー魚であるがゆえ安価であることが多く、カワハギ系でより有名なウマヅラハギと比べて体が大きく可食部も多く取れるコスパの良い魚とも言えます。

味はかなり淡白な白身。カワハギ科の魚の刺身は総じて淡白な味わいで、ウスバハギも例に漏れずといったところ。

よく言えば万人向けの味わい。魚が苦手な人でも食べやすいと言えまが、反面、あっさりしすぎて物足りないと感じる人も。

肝と身を和えて食べればコクが増して淡白な身の味を補えます。

他のカワハギ科と同様にウスバハギの「肝」は美味。身よりも肝がメインです。必ず食べましょう。

肝単体では苦手意識のある人でも、ペースト状にしてソースに混ぜたりすれば違和感なく召し上がれますよ。

人気がない上、漁獲量がそもそも少なく、欲しいと思ってもなかなか手に入らないのが難点。

レア魚ウスバハギの捌き方を解説していきます。

ウスバハギの捌き方

ウスバハギがマズい魚ではなく、むしろ肝を筆頭に食べどころが豊富で美味な魚であることはお伝えした通り。

次にウスバハギの捌き方を解説。流れは次の通りです。

  1. 頭や内臓の除去
  2. 皮を剥ぐ

これだけです。順番に見ていきましょう。

頭や内臓を取り除く

ウスバハギの頭と背、尻、尾ビレを落とします(背ビレ、尻ビレはキッチンバサミで切るとラクです)。

エラと内臓も除去し、腹の中を流水で洗い血合いを綺麗にすると、下の写真に状態になります。

ちなみにウスバハギの内臓、大きくて美味しいので取り置きましょう。

カワハギ科の共通点として、肝がウマイです。あん肝より美味と言う人もいるくらい。

内臓系が美味しい魚は、お腹を開くともう既に美味しそうな香ばしい匂いが漂ってきます。

肝醤油でも作るかな。刺身でもイケそうな雰囲気

皮を剥ぐ

まず三枚おろしの要領で、右の半身に中骨ギリギリのところに包丁で切れ込みを入れます。

下は腹側。背側(こちらも右の半身)も同様に、中骨ギリギリで切れ込みを入れます。

こうすると、皮を剥ぐときに綺麗に剥がれます。

シールを剥がす要領で、皮を指でつまんで最初のきっかけを作ります。

どうしてウロコを取る必要がないのか?

ハギ科の魚はウロコが極端に小さく進化し、ウロコと皮が一体化したような体の構造になっています。

変わりにウロコの下の皮が強く発達しているので、まるでウロコの無い、皮だけの魚だと思われているのです。

ウスバハギの皮を剥がしましょう。

ゆっくり優しく引っ張ります。

多少強めに引っ張っても、皮が厚いので失敗する確率は低いでしょう。

ペリペリと音を立てて剥がれる
皮は切れやすいので無理に引っ張らない
焦らずゆっくり
はいキレイ!

スッキリ!

魚の処理は面倒なもの。

特にウロコの処理は散らかるし手間がかかるのです。

魚のウロコ取りに慣れている人なら、カワハギ科の処理の楽チンさはご理解いただけるのではないでしょうか。

ウスバハギの三枚おろし

皮を剥がすために入れた切れ込みから、さらに切り進めてウスバハギを三枚におろします。

ウスバハギの半身の写真で、上下に色が濃い部分がありますよね。

まるでヒラメの縁側のような部位、これは血合いなので刺身で食べる場合は切り取ります。

焼いて食べるときはついたままで大丈夫です。

ウスバハギの特徴的な体

最後に、見た目がチャーミングなウスバハギの特徴をいくつか紹介していきましょう。

ウスバハギとは、「薄葉」、つまり広葉樹の葉っぱのような風体が名前の由来とされています。

ハギは既に説明した通り、「皮を剥ぐ」から。

顔を見ると、カワハギ科の魚の特徴として、背びれが独立してツノのようになっていますね。

ウスバハギのツノは危ないので漁獲した時に折られちゃいます。上の写真はツノを折られている状態。

消費者向けに売られているものはツノが折られた状態で、本来、ウスバハギは細くて長いツノを持っているのです。

ウスバハギに限らず、カワハギ科の吻(「ふん」と読み、要するに口のこと)はユニーク。

獲物をついばんで食べるための口の形。

他の生物に類を見ない独自の吻を備えています。

あまりにも小さすぎる「胸ビレ」をはじめとした各所の「ヒレ」は、ウスバハギのチャームポイントです。

体に対してのサイズがマンガのようで、ちゃんと機能するのでしょうか・・。

ウスバハギには「鰓孔(えらあな)」があることも特筆すべき点です。

鰓孔のある魚類ではサメが有名で、ウスバハギをはじめとしたカワハギ科がサメ類との共通点を持っているのは意外ですね。

ウスバハギは唯一無二の海水魚

ウスバハギの捌き方、おもしろい体の特徴の紹介を通して、海の魚に興味を持ってもらえたでしょうか。

カワハギ科の処理した後の食べ方は、刺身や煮付けが最適です。

人によっては、身が淡白すぎて味気ないと感じる人もいるかもしれません。でも、カワハギ科には大きな肝がついています。

刺身にも使える肝醤油をはじめ、鮮度がよければ生のものをポン酢とかでも美味しいですよ。煮物や鍋で隠し味として使う方法もアリですね。

内臓系はなんとなく手を出さないという人もいると思いますが、一度試しに食べてみることをオススメします!(生で食べるときは寄生虫のリスクもあるので鮮度に気をつけて)

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