「八角(ハッカク)」という魚の捌き方と食べ方

ハッカク(八角) 料理レシピ

特徴的な見た目の「八角(ハッカク)」という魚は、水族館に展示されたりするほどの珍魚でありながら産地の北海道では食用魚としてもメジャーな存在。

八角は「トクビレ(特鰭)」という標準和名も持ち、“ヒレ”にもユニークな特徴があります。

見どころたっぷり八角を美味しく食べるためには、他の魚と同様に内臓を取り除く等の下処理をしなければなりませんが、八角はどのように捌き、どう食べれば良いのでしょうか?

今回は、八角の捌き方と食べ方を紹介します。

八角(ハッカク)とは?捌き方と食べ方について

八角(ハッカク )の珍魚っぷりに惑わされがちですが、捌き方はマダイなどの基本的な魚と大きく違いません。

ただし、八角(ハッカク)特有のポイントもあります。

  • 身体中、トゲだらけ
  • 体が円錐状の形をしている
  • ウロコが”皮”のように一体化している

以上を踏まえた上で捌くのは意外と簡単です。

八角(ハッカク)のトゲに毒はある?

ハッカクの体はトゲだらけなので捌く時に注意が必要です。しかしトゲ自体に毒は持ちませんので、その点は安心して良いでしょう。

魚の中にはトゲに毒を持つ種類もおり、これを「刺毒(しどく)魚」と言います。ヒレなどのトゲについた毒腺から毒を分泌して敵を攻撃する身体機能を持つ魚のことで、毒の強度にもよりますが一段上の注意を要する魚種もいることを覚えておきましょう。

ハッカクの体はトゲだらけ。見た目はトゲトゲしくありませんが全身を細かく鋭い刺状のウロコが覆っています。トゲに毒はありません。しかし海中の細菌がついていることもあるので、トゲによる傷口からバイキンが入らないよう、取り扱いには十分気を付けたいところです。

上記写真はハッカクの体表面。写真だと分かりづらいですがよく見ると小さく鋭利なトゲが身体中をびっしりと覆っています。

鱗が変質して皮のようになっておりトゲだらけ。非常に厄介です。

皮のようなウロコは、ウマヅラハギウスバハギなどカワハギ系の魚と似た特徴と言えそうですが、カワハギ系はトゲトゲはありません。

厄介なトゲの多い魚を処理するために一番良いのは厚いゴムの手袋をはめて作業すること。

「体長30㎝にも満たない魚に対し大げさでは?」と思う人もいるかもしれませんが、魚は外敵から身を守るために様々な進化を遂げているので舐めてはいけません。人間の柔らかい皮膚などすぐに破れていとも簡単に流血してしまうものです。

流血した手で魚を触っては、刺身などの料理が台無しになってしまい衛生的にも良くないし、バイ菌が入って傷が化膿してしまう可能性も。

防刃のゴム手袋は魚を捌くときに非常に重宝しますので、できれば準備することをオススメします。

以下のような品も有用です(防刃ではありません)。

ちなみに、魚を扱う初心者には防刃のゴム手袋の方が良いと思います。ただし、手先の自由は多少犠牲になるかもしれません。

ハッカクを捌く

前述のように、ハッカクの体表はちょっと特殊で、ウロコを取る必要がありません。

ハッカクの捌き方はまず、ウロコを取らず頭を落として内臓を除去します。そして、そのまま三枚おろしに。

八角(ハッカク)は体の断面が丸く、横向きに包丁を入れるのが難しい魚。

↑このように、真正面から見ると丸い。
というか八角形。だから”ハッカク”。

そこで、まな板に対し”うつ伏せ(または仰向け)”になるよう八角(ハッカク)を寝かせたら、その真上から包丁を入れます。角度が違うだけで、三枚おろしの出来上がりは他の魚と同じ。

このように、まな板に対し仰向けにする
真上から垂直に包丁を入れる。

ちなみに、魚の腹を開く時、肛門から包丁を入れますよね。

八角の肛門はちょっと変わったところにあります。

たぶんこれが肛門。

腹ビレで隠すような位置になぜか肛門という謎。ただ、魚を捌く時にはあまり気にしなくて良いポイントなのでスルーしましょう。

三枚おろしの後にウロコを”剥ぐ”

三枚におろしたら、ウロコをとります。

シールをはがすように、端から指でつまんで引き剥がす

簡単です。ハギ系の魚と同じように皮を引っ張れば取り去ることができます。ウロコにびっしりあるトゲが痛いので注意してください。

剥がした皮(ウロコ)

魚を三枚おろしにすると、中骨から身に対し垂直に伸びる細い骨(肉間骨とか小骨とか呼ばれる)が魚の身に残ります。ハッカクも小骨を持ち、場所は他の魚とだいたい同じ場所にあります。骨抜きなどで抜く場合にもそれほど困らないでしょう。

八角(ハッカク)の食べ方

これで八角の身が3枚におろされました。あとは焼いて食べるなりしましょう。

皮状のウロコを油でカラッと揚げて「皮せんべい」にしたら美味しいですよ。

身の方は、旬の時期であれば扱う手にまとわりつくほどの脂がのっていて刺身、焼き物、いろいろ使える魚です。

味わいは濃厚で、脂の乗り方などヤガラに似ているなと感じました。ということで出汁も濃厚なスープが抽出できるのでは?

ここからは、ハッカク料理を食べる時に使える豆知識を紹介します。

八角(ハッカク)という名前は地方名で、正式な名前ではありません。

八角(ハッカク)の持つ大きなヒレを由来とした標準和名は「トクビレ(特鰭)」といいます。「大きな(特)ヒレ」の意味ですね。

大きな背ビレと尻ビレはオスに見られる特徴で、メスはここまで大きくはなりません。

ホウボウも特徴的で大きなヒレを持っていましたが、ホウボウの場合は外敵を威嚇するような役割があると考えられています。体を大きく見せる効果がありますからね。

おそらくはトクビレも似た目的でヒレが発達したと想像できます。

また、この大きなヒレはオスだけに見られる特徴ということで、もしかしたらメスへのアピールに使われたりもするのかもしれませんね。

では、「八角(ハッカク)」の由来とは?

それは胴体の断面の形が八角形だからです。市場ではこちらの名前で売られていることが多い印象。

魚の断面といえば、普通は楕円形をしていますよね。

マダイでもアジでもイワシでも、白身だろうと赤身だろうとだいたいは楕円の形です。

八角形の胴体は非常に珍しい魚と言われるポイントの一つです。

ちなみに、ボラトビウオなどは、真正面から見ると「逆三角形」の形をしており、こちらも珍しい形と言えるでしょう。

八角(ハッカク)が特徴的なのは、体の表面だけではありません。

ヒゲらしきものが口にあります。なぜヒゲがあるかはよく分かりません。何らかの感覚器官だとは思うのですが・・。

そして、八角(ハッカク)は「受け口」ではないことも特徴的。

普通、アカメバルのように、魚はほぼ「受け口」なものが多いです。

八角(ハッカク)の口は、海底の砂地に潜む「底生生物」を食べる為に都合の良い形で、これはホウボウと同じ特徴です。

他に類を見ない珍魚、八角(ハッカク)は漁獲地の北海道ではよく刺身で食べられるようです。

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