高級食材「シャコ(蝦蛄)」。一部の地域では”シャコエビ”などと呼ばれ親しまれています。
シャコ”エビ”・・・・。つまり、「シャコってエビの仲間なの??」というと、実は違います。
カニとエビの違いは見た目に分かりやすいですが、シャコとエビは体の形がどことなく似ていて、兄弟みたいなものだろう、と思っている人も多いかもしれません。
しかし、両者は同じ「甲殻類」ではあるけれど、生物学的には別の種なのです。
むしろ、カニとエビの方が体の造りは似ていることの方が多い。
今回はシャコと海老(エビ)の違いに注目してみました。(ヒントは、シャコってなんだか「虫」みたいですよね・・・。)
シャコはエビじゃない!?何の仲間なの?
茹で上げたシャコの腹側。

パッと見はエビに似てるように感じますが、シャコとエビ、実は別種。ではいったい何の仲間なのでしょうか?
シャコとエビの違い
シャコとエビは同じ甲殻類の仲間ではあるものの、生物学的に見るとけっこう違う生き物どうし。
- 一般的に「エビ」と呼ばれる生き物は「十脚目(エビ目)」に属する。
- シャコは「口脚目(シャコ目)」に属する。
つまり、「目(もく)」の段階で違うわけです。目(もく)の段階で違うとか言われてもなかなかピンときませんよね・・。
やや強引に例えて言えば人間とネコくらい違うとでも言いましょうか。
カニと呼ばれる仲間たちはエビと同じ「十脚目」ですから、シャコに比べて“エビ”と“カニ”のほうが割と近い生き物という事実。
「じゃあ結局シャコは何の仲間なの?」というと、大きく甲殻類のレベルではエビやカニの仲間ですが、エビやカニとはけっこう違う生き物なので、「シャコの仲間はシャコ」と考えるのが一番ピンと来るかもしれませんね。
シャコって「虫」みたい

正面から見たシャコ。
先端の長く二本のツノのように伸びているやつは触覚なのですが、まるで昆虫のようです。
エビはもっとヒゲのような細い触覚ですから、やはり細かく見るといろいろ違いがありますね。エビやカニの特徴である「ハサミ」もシャコは持ちません。
ちなみに、外側にも短い触覚が見えまして、一番外側のヒラヒラとした繊毛がついたウチワ状のものは脚の一部です。
エビに比べシャコは昆虫っぽさのある生き物だと言えます。
破壊力のある「シャコパンチ」
シャコの頭頂部を横から見るとこんな感じ。

分かりづらいですが、頭にぴったりと「捕脚」を折りたたんでいます。
捕脚を伸ばすとこうなります。

「捕脚」。つまり獲物を捕らえる脚です。なんだか昆虫のカマキリのよう。

シャコが有名なのは、その強烈なパンチ力の強さでしょう。
獲物を獲ったり威嚇のために使われ、入れておいた水槽のガラスにヒビが入ったとかの逸話を持ちます。
加えて、シャコの名前の由来にもなっている「どう猛さ」にも注意が必要。
捕まえた時に癇癪(かんしゃく)を起こすことから「シャコ」ってわけ(諸説ありますが)で、とにかく攻撃力が高い上に凶暴でもあるので、生け捕りには注意が必要です。
シャコとエビに共通した「遊泳脚」
エビに似ていると思ってしまうのは、全体的なフォルムのせいでしょう。確かにパッと見ると両者は似ているように感じます。しかしこれまでの説明の通り、体の細部を見るとエビやカニと明らかに異なる特徴をいくつも見ることができましたね。
違いだけでなく、シャコとエビやカニとの身体的な共通点を一つ紹介しておきます。
下の写真は、シャコの尻尾の部分を裏側から写したもの。腹部にあるのは「遊泳脚」です。
ちょっと分かりづらいですが、お腹側のところに短い脚がたくさん折りたたまれています。これが「遊泳脚」。その名の通り泳ぐために使われる脚のことで、エビやカニの仲間にも遊泳脚を持つ種類がいます。

ちなみに、指でつまんでいるのは「尾扇」と呼ばれる部位。
おそらく移動するために使われると思いますが、トゲがついているので威嚇や攻撃にも使われるかもしれません。
シャコ(蝦蛄)の食べ方
シャコをおいしく食べるにはどうしたら良いでしょうか。
捕らえたシャコは食べる直前まで生きたままにしておくことが理想です。
もしくは捕まえたら(購入したら)、すぐに茹でてしまいましょう。
シャコや、エビ、カニもそうですが、死んだあと自らの体を溶かすという特徴があります。
劣化が早く、身が小さくなってしまうので、「活け」の状態で茹でるなり蒸すなりするのが一番です。
シャコの味は意外とあっさり系
シャコを食べる機会というのは多くはないでしょう。流通量が少ないのです。
もはや高級食材なのですが、味はエビやカニのように甲殻類特有の風味は抑えめなので、意外とあっさりしていますよ。
身の厚みもエビのようにプリプリはしていなくて、その点も上品な感じがします。
似ているけど意外と遠い存在であるシャコとエビ。しかし両者は同じ甲殻類の仲間ではあります。
しかし、シャコに比べればエビとカニの方が仲間である事実に関しては、ちょっと受け入れ難いのは僕だけではないはないはず。
そして最後に、シャコって前後わかりづらいですよね。

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