“ホッケ ”というと、干物などの加工品を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?居酒屋の定番メニューという印象。
でも、そもそも「ホッケ」とはどんな魚でしょうか?
実は高級魚「アイナメ」の仲間だということはあまり知られていないかもしれません。
アイナメは刺身や煮付けにして美味、その仲間であるホッケも非常に味の良い魚であることが予測できます。
言われてみれば確かにアイナメに似ている姿をしたホッケ。


深海魚のようなイメージもあるし、いったい“何魚”なのか気になったのでまとめてみました。
ホッケとはどんな魚か?深海魚なのか、それとも・・・。
ホッケは「アイナメ科ホッケ属」の魚でアイナメの近縁種。そして深海魚ではありません。
見た目や何となく根拠のないイメージでマダラ系の仲間だと勘違いされがちだけど、実はアイナメの仲間なのです。
ホッケはマダラの仲間との誤解からか、ホッケも深海魚の一種だと認識している人もいるかもしれませんね。
他にも、ホッケの名前の由来とか寄生虫の話など、気になるホッケの詳細に迫っていきます。
ホッケは深海魚ではない
アイナメの仲間であるホッケはいわゆる「根魚」と言われる魚で、水深100メートル前後の大陸棚に住みます。
深海魚の定義は、水深200メートル以深に住む魚を言いますから、ホッケは深海魚ではありません。
根魚、つまり海の底の岩礁域などで暮らし、餌を取るために海面近くまで上がってくることもあるようです。
幼魚から若魚にかけては沿岸の浅い海に暮らし、成長と共に深い海へと移動していく魚だと言われています。
“ホッケ”を漢字で書くと・・・
ホッケを漢字で書くと「魚」に「花」。美しい名前を持つ魚です。
ホッケの幼魚はとても鮮やかな青い色をしていて、海の表層近くに群れる習性があり、これがまるで花のように見えることから、この漢字が当てられたそうです。
ところで「ホッケ」という言葉自体は、もともとはアイヌ由来なのでしょうか?アイヌっぽい響きを感じないでもない。
wikipediaによると、
俗説によれば、鎌倉時代、日蓮宗の日持上人が、蝦夷地を去る礼として、これまでいなかった魚を獲れるようにし、地元の人はその魚を「ホッケ(法華)」と呼び、村落を「トドホッケ(唐渡法華)」と名づけたとなっているが[4]、椴法華村の地名はアイヌ語だというのが通説である。
wikipediaより引用
だそうです。
「法華(ほっけ)」ですか・・・。
急に宗教色を帯びてきましたね。
しかし引用の最後にあるように、2004年まで北海道に実際にあった椴法華村(とどほっけむら)は、アイヌ語の「トゥポㇰケ(tu-pok-ke)【山の走り根・の下・の所】」という言葉が元になっていて「法華(ホッケ)」とは関係がない、というのが通説だとされています。
ホッケの標準和名と英語での呼び方
「ホッケ」は標準和名。つまり学術的に呼ぶ名前は「ホッケ」で統一されています。
一方で様々な地方名(別名)も存在し、「ホッキ」とか「マンサ」とか呼ぶ地域もあるそうです。「マホッケ」と呼ぶ地域もあり、同じホッケ属のキタノホッケ(シマホッケ)と区別する為と言われています。
加えて、出世魚のホッケ。大きさによってアオボッケ、ロウソクボッケ、マボッケ、ネボッケと名前が変わる魚でもあります。要するに、非常に多くの名前を持つ魚なのです。
ホッケの英語名は「Atka mackerel」。無理やり読みをつけると「アッカマッケレル」でしょうか。
「Atka」はアラスカ州にある島の名前にちなんでいるそうで、どの国でも、寒い地域の魚であることが改めて認識できます。
「mackerel」とは「サバに似た魚」の意味。
あるいは、サバそのものを指す言葉でもあるようで、日本に比べると少しざっくりとした名前の付け方だなと個人的には感じました。
ホッケには寄生虫(アニサキス)がいる!
高級魚アイナメと近縁種のホッケは刺身でも非常に美味。
しかし、「ホッケにいる寄生虫アニサキスとシュードテラノーバ」の記事で書いたように、ホッケには寄生虫がついているケースが多いです。
ホッケの身に発見したシュードテラノーバ(アニサキス)を撮影しました。
アニサキスやシュードテラノーバは、「アニサキス症」と呼ばれる食中毒の症状を引き起こします。簡単に説明すると次のような症状を引き起こします。
- 激しい腹痛、悪心、嘔吐、
- 下痢、下腹部痛、腹膜炎症状
- 血圧低下、呼吸不全、意識消失
ちなみに、アニサキスとシュードテラノーバの違いも記事にしていますので興味があれば読んでみてください。
どうしてもホッケを生で食べたいなら、いったん「冷凍」しましょう。アニサキスは「−20℃で24時間以上」冷凍することで死滅します。
もしくは、活け締めの鮮度の良いホッケを買い求めましょう。しかしその場合も100%安全ではないことを覚えておくべきです。
アニサキスは宿主が生きている間は内臓で暮らしていますが、宿主の死後、時間とともに腹の膜を破って身の方へと侵入してしまいます。
締めてからすぐのホッケなら内臓を取り除いてしまえば、ほぼアニサキス症の心配はありませんが、それも時間との勝負になるからです。
とはいえ、そこまでして刺身にこだわる理由ってないかも。
なぜかというと、ホッケはアイナメと同じで焼いて食べると非常に美味しい魚なので。
アニサキスに対しては加熱処理も有効で、60℃で1分以上の加熱をすると死滅します。割と低温で死滅するので、低温調理も選択できますね。
ホッケの産地と旬
ホッケは寒冷地で獲れる魚で、太平洋南では茨城にも分布します。
日本海側では山口県くらいまでと、広く獲られていますが、しかしやはり東北〜北海道での漁獲量が多いようです。北海道は全国で圧倒的な漁獲量のホッケ産地として知られます。
ホッケは漁獲量が激減している魚の一つで、北海道でも2012年から漁獲制限が設けられている地域もあるとのこと。地球温暖化の影響からか、年々漁獲量が減り続けていたそうです。
ところが、2021年、記録的なホッケの大漁に北海道が湧いているなんてニュースも。「ここ20年で記憶にないくらいの大漁」という現地漁師さんのインタビューが印象的でした。
食材として見ると、ホッケの旬は春から夏と言われています。
通年で漁獲される魚ですが、美味しい時期は餌を貪欲に食べる6、7月頃がベスト。秋に産卵を迎えるので沿岸域に移動してくる習性があり、秋頃も漁獲量としては多いです。
加工品として有名なホッケはアイナメの仲間であり、刺身でも焼いて食べても非常に味の良い魚です。
もし刺身で食べたいなら、活け締めの鮮度の良い物を選ぶか、いったん冷凍してから食べましょう。アニサキスが高い確率で寄生していますので食中毒に注意。
また、ホッケは鮮度の落ちやすい魚でもあります。
これらのことから、寄生虫のリスクとも相まって刺身の難易度は高いと言えるでしょう。
どちらにしても、海産物としてのホッケは加工品として利用されるケースが多く、“鮮魚”として入手するのは、産地など以外ではなかなか難しいかもしれません。
ちなみに、ホッケの卵も美味です。

ホッケとアイナメの共通点
アイナメの近縁種であるホッケ。共通点を見てみましょう。


背びれや胸ビレなどもアイナメと似てます。トゲはなく全体的に柔らかい体。
さらに見た目だけでなく、側線が5本あるなどの特徴もアイナメと同じ。

顔がひょうきんなところもアイナメと似ていますね。
アイナメと比べると気持ち細身であるのと、体色が薄い傾向があるようです。
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