キジハタ(アコウ)を捌いて3枚におろしたら身に黒いゴマのような粒が・・・。
病気? 寄生虫? いったいなぜ・・・。
気持ち悪いので独自に調べた内容を書いておきます。キジハタに限らず、魚をさばいたら身に黒い粒、黒点が出ていて「何これ・・・」となった人の参考になればと思います。
追記!
記事を公開したあとに読んでいただいた方から「これはイカリ虫だろう」とのメッセージをいただきましたので記事の最後に情報を追加しました。
キジハタに寄生虫?魚の身に謎の黒い粒
キジハタ(アコウ)は「スズキ目スズキ亜目ハタ科ハタ亜科ハタ族マハタ属」の高級魚です。今回、状態がベストでない一匹を格安で入手。

鮮度がイマイチであるのとサイズが小さいので安値です。しかし外見からは特に変わった様子は見受けられず全く問題はないように思います。


ウロコを取り、3枚におろしてフィレにしても何も気づかず・・。
しかし、皮を引いてみてギョッとしました!

ポツポツと黒い斑点のようになってる!
黒い点をアップで良く見てみると、単純な「丸い形」ではない様子。

これは病気ではなく寄生虫でしょう。
しかし、一体どんな寄生虫なのか・・・。
寄生虫「リリアトレマ・スクリジャビニ」か?
「キジハタの寄生虫」とネット検索してみましたが情報が少なくて特定の寄生虫を見つけることはできませんでした。
その上で、断定はできませんが、怪しいと思われるのが「リリアトレマ・スクリジャビニ(Liliatrema Skrjabini)」という覚えづらい名前の寄生虫。もしくはその仲間。
この「リリアトレマ・スクリジャビニ」は、生物学では「扁形動物門(へんけいどうぶつもん)」の「吸虫綱(きゅうちゅうこう)」に属す生き物です。
詳しい知識がなくても、「吸虫」の字を見れば、なんとなくイメージが湧きやすいのではないでしょうか。
吸虫とは、「ジストマ」や「二口虫(にこうちゅう)」などの通称で呼ばれる寄生虫の一種の総称で、人間に寄生する「横川吸虫」が吸虫の類では有名なところです。
その吸虫のひとつである「リリアトレマ・スクリジャビニ」は、「クロソイ」に寄生する個体が研究で明らかになっているようで、今回、キジハタの身の中にいる生き物と特徴が酷似していました。
寄生キジハタは“まずい”?
とりあえず、今回遭遇したキジハタの寄生虫は「リリアトレマ・スクリジャビニかも?」という結論をいったんは出したのですが、もし寄生された魚を食べてしまった場合人体へ影響あるのかが気になるところ。
寄生された魚はマズいのでしょうか?というか、そもそも食べて大丈夫なのでしょうか?
結論は、もし今回のキジハタの寄生虫が「リリアトレマ・スクリジャビニ」であるとするなら、人体への影響はなく味がマズくなることもありません。
しかし、正体の断定ができないので食べない方が無難。というか、見た目が気持ち悪すぎるので食べてOKと言われてもかなりの抵抗があります。味に影響はないのかもしれないけど、見た目が悪いと気持ちの問題でNGになりそう。
もし食べるのであれば、黒いポツポツをピンセットなどで取り除き、さらに加熱した上で食べれば良いと思います。刺身はちょっと・・・。自己責任でお願いします。
「リリアトレマ・スクリジャビニ」はどんな生き物?
せっかくなので「リリアトレマ・スクリジャビニ」について、さらに詳しく調べてみました。
この生き物は鳥類を最終宿主とする寄生虫で、人間には寄生せず人が食べても食品衛生上の問題はないとされています。
漁業関係者などからは、見た目のまま「黒ゴマ」と呼ばれるとか。
クロソイにみられる黒いポツポツは、「シスト(囊子[のうし])」と呼ばれるサナギのようなものかもしれず、一見すると卵のような形を成すシストの中に幼虫がいるという構造になっています(今回の寄生虫はリリアトレマではなかったのでシストではないと思われますが)。
シストは卵とは違います。殻のようなものに包まれていますが、中で幼虫が暮らしています。
もう一度、キジハタの寄生虫を良くみてみましょう。

シストではないような気がするのですが・・・。
アップで見ると黒ゴマのような形とは全く違います。植物の根っこのように思えますが、シストの中から幼虫が出てきているのでしょうか?
アニサキスのように線状のものが、たくさん集まっているように見えなくもない。
ちなみに、「リリアトレマ・スクリジャビニ」は、口の部分が百合(ユリ)の花びらの形をしているそうです。そのことから、名前に「Liliatrema」の文字が使われているとか。(ユリの英語は「lily(リリー)」)
(追記!)正体はイカリ虫と判明か
山口でマイボート釣りをされている方からメッセージいただき、これは「イカリ虫」と呼ばれる寄生虫であろうとの見解をいただきました。
イカリ虫はカイアシ類なので、吸虫の一種であるリリアトレマとは少し違う成り立ちの生き物です。
海の中でイカリ虫に寄生された魚は一目瞭然だそうで、魚の体表からヒモのような黒い線が伸びて漂っている状態になるそうです。
教えてくださった読者さんによると、釣り仲間の間では「ヒジキ」とか「タグ」とか呼ばれ数年前に大量発生したそうで、メッセージをもらった2021年6月の時点では落ち着いてきているとおっしゃっていました。
ちなみに人間が食べても影響はありません。念のため火を通して食べれば安心だと思います。
イカリ虫は取ってしまえば外見からは寄生されていたと分からないので、流通の過程でペンチとかでむしり取っているのかもしれません。取ってしまっても、皮の下の身の表面には根っこのように寄生のあとが残っているというカラクリのようでした。
キジハタの画像にある根っこのような黒い粒は、イカリ虫の一部だったのですね。
山口のミツミツさん、ありがとう!
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