頭にコブがある魚と言えば?・・・そう、コブダイ(瘤鯛)ですね。エヴァ量産機かと思うほどインパクトのある顔面をした海水魚です。
一度見たら二度見、三度見しそうなくらいユニークすぎる“おでこ”、いや待て、それだけじゃないぞ分厚い唇もだ。デコに唇にと、なんて人を引きつける顔をしているんだ!加えて、成魚で大きいものは1mを越す大型魚で寿命も長いという、海のヌシたる要素を全て持つのがコブダイというわけです。
ちなみに食用としても利用されます。
頭が隆起してまさに「瘤(コブ)」。名前の由来もそのコブから来ているようですね。

ここで、誰もが思うであろう疑問が。
「コブダイのコブの中身って一体どうなってるの?」
今回はコブダイのコブの「なぜ」に迫っていきましょう。
“おでこ”がでかい魚「コブダイ」、その中身とは?
コブダイは「スズキ目ベラ科タキベラ亜科コブダイ属」の一種。暖海性の魚ながら、海流に乗って北海道方面まで移動したり日本海でも確認されたりするようです。
20歳くらいまで生きる長寿であり、大きいものは1メートルを超える大型魚です。
考えれば考えるほど不思議な見た目のコブダイ。なぜコブが必要なのか?中身はどうなっているのか?
コブはなぜあるの?
コブダイがコブを持つ理由について、一つ有力な説を紹介します。
コブダイはハーレムを作る珍しい習性を持ち複数のメスをかこうのですが、ハーレムを作る時にオス同士が戦う際、優劣を決めるのが「コブの大きさ」だと言われています。
ハーレムを持つオスへの挑戦や、逆に挑んでくるオスを撃退する戦いがコブダイの世界では繰り広げられており、まともに戦ってしまうと一方が死んでしまうこともあるかもしれません。コブの大きさで優劣が決まるのなら、種の繁栄の観点からも合理的と言えますね。
ちなみに、コブダイのコブは歳を重ねるごとに大きくなり、より長く生きているコブダイの方がハーレムを持ちやすいそうです。
しかし、なぜコブがあるのか?答えは残念ながら正確には分かっておりません。
オス同士の優劣付け説のほか、「捕食者から身を守るため」とする説も存在します。
コブの存在意義には諸説あり、物理的な攻撃から身を守るための”クッション”のような役割ではないかという考えですね。
大型のコブダイにも外敵はいるでしょうし、急所を守ると言う意味では頭にあるコブはヘルメットのような役目があるのかもしれませんね。
コブダイのコブの中身とは?
中身を調べる前にコブの感触を確認しておきましょう。

意外なことに、その感触は「プニプニ」でした。まさか柔らかいとは!コブの中身は頭蓋骨ではなさそうですね。
頭蓋骨でないなら一体・・・。
頭を半分に割ってみました。

下画像の赤丸部分が、ちょうど頭の隆起したコブ状の部分。

コブの正体は、ゼラチンのようにブヨブヨとした謎の物体。
このゼラチン状の物体は「脂肪」です。だから柔らかい感触だったのですね。
コブダイのコブの中身、それは脂肪でした。
コブダイは「雄性先熟」の魚
「雄性先熟(ゆうせいせんじゅく)」とは、最初はみんな雌(メス)だけど、成長とともに雄(オス)になったりならなかったりする性質のこと。
実は、この「雄性先熟」は魚の世界では割と多く、例えばクロダイやその近縁種も雄性先熟であり、魚類の中まで探せばそれほどレアケースというわけではありません。
そして、コブダイの”コブ”は、雄だけが持つ特徴で大型化するのもオスだけ。
メスも多少デコッパチですが、オスほど目立つものではありません。外見がオスとメスであまりに違うコブダイは、別の種として考えられていたほど。
先にも書いたように、コブダイ のオスの珍しい特徴として「ハーレムを作る」というものがあります。
1匹のオスがメスを何匹も囲って、まるでライオンのようにそれぞれのファミリーを作るわけです。
オス同士の縄張り争いもあるらしいです。
繰り返しますが、縄張り争いで重要なのがオスだけが持つ”コブ”の大きさだと言われています。
より強いオスは”コブ”も大きい。つまりコブがなぜあるのかと言うと、オス同士の優劣に使われているのではないかと考えられているのです。
特徴的なコブに目を奪われがちですが、他にも「なんかスゴそう」なコブダイの特徴を紹介していきます。
まだまだ分からない部分も多いコブダイですが、その寿命は少なくとも20年はあると言われています。
一説によると、(定かではありませんが)50年近いと言う話もあるくらい長寿な魚。
老成した個体は、岩礁の影でじっと動かずに暮らしていて、まさに海のヌシのような威厳を感じられそうです。
さらにコブダイの特徴は“おでこ”だけにあらず、“歯”もインパクト大。


噛む力が相当強く、甲殻類や貝類をバリバリと噛み砕いて食べてしまいます。人間も間違って噛まれたら大怪我してしまうかも。
白身の美味しい魚
コブダイは美味しい魚。たまにお魚屋さんで鮮魚として売られていたりします。
歩留まりも良く値段も手頃なことが多いので、漁獲量が少ないことを除けば、コスパの良い魚と言えますよ。

身質は、硬くはないけど弾力のある白身で、ハタに少し似てる感じ。
体の表面は、ヌメリが強く、下写真のようにウロコ引きでこすると粘液が泡立つほど

コブダイのコブの中には脂肪が詰まっていました。
その役割は、オス同士の縄張り争いの時の優劣に使われるという説や、外敵からの攻撃を防ぐために使われるという説が有力なようです。
もしかしたら、発達した“おでこ”はメスを引きつける効果もあるのかもしれません。動物界ではしばしばオスが身体的なアピールポイントを使って、メスへの求愛行動をとるケースが見られますよね。コブダイのコブも、もしかしたらメスには魅力的なものに見えるのかも?
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