摩訶不思議生物「ホヤ」です。
ホヤはご覧のように南国系フルーツっぽい見た目の海産物で、食べ物。それは分かりますが、いったい何類なのでしょうか?
「ホヤ貝」と呼ぶ人が結構いて、その見た目から筆者も貝の仲間なんだろうと思ってたところ、ホヤは「貝」でなく「ナマコ」でもなく、我々「人間」に近いと言うではありませんか。
全くピンとこない人の為にもう一度。
ホヤは、「貝」よりも「ナマコ」よりも「人間」に近い生物なのです。
でも写真を見る限りその姿は哺乳類とあまりにかけ離れていて、人間と同じ仲間とか言われてもにわかに信じ難いですよね。
貝じゃなくてナマコでもない。人に近いと言うけれど、言葉を発する訳でも手足があるわけでもない。じゃあ一体コイツは何者??・・と思うわけですが、その疑問の答えは「ホヤ」だとしか言いようのない存在なんですよね。
要するに、他の魚介類から一つ飛び抜けたオンリーワンの生物。それが「ホヤ」なのです。
今回は、ホヤという生き物のことを調べてみたので、「どんな生き物か?」を食レポを混えて伝えていきたいと思います。
結局のところ「ホヤ」は何類なのか。何の仲間?
ホヤは漢字で「老海鼠」と書きます。(漢字と読みの字数が合いませんが間違いではありません)
ちなみに「海鼠」だけだと「ナマコ」と読みますが、ホヤはナマコの仲間ではないのです。
では何者なの?と言うと、冒頭で書いた通りホヤは学術的に見て特殊な存在。
見た目から「海藻など植物の仲間かな?」と考える人も多そうですが、ホヤは植物ではなく動物です。
wikipediaに興味深い記述がありました。
脊椎動物に近縁であり、生物学の研究材料として有用。血液(血球中)にバナジウムを高濃度に含む種類がある(Michibata et. al., 1991など)。現在確認されている中では、体内でセルロースを生成することのできる唯一の動物であり、これは遺伝子の水平伝播を示唆していると考えられている。
要するに、「他に類を見ない唯一の動物」的なことが書いてある。
生物学的に見ると、地球上で今のとこただ一つの特徴を持つ動物って事ですよね。
いまいちピンと来ないな・・・。
ホヤは脊索動物(人間と同じ)
ホヤが何類の何科の何の仲間なのか、もう少し詳しく掘り下げてみましょう。
ホヤの学術的な分類は、
- 界:動物界
- 門:脊索動物門
- 亜門:尾索動物亜門
- 網:ホヤ網
となります。
ここで重要なのが、「脊索動物門」は我々人間(ヒト科)も属しているということ!(下図)

我々人間が属する「哺乳類」よりも、脊椎アミダではだいぶ上位の存在だけど、ホヤと人間は同じ「脊索動物」の仲間!
ちなみに、ホヤと見た目が似ている(少なくとも人間よりは)ナマコはと言うと、

ご覧の通り、ナマコは脊索動物(ホヤ、哺乳類が所属)とは別の「水腔(すいこう?すいくう?)動物」に所属しているので、完全にあっち側の存在なのです!ホヤはこっち(人間)側。
とにかく、学術的に重要な存在がホヤであり、植物のような見た目とは違って動物の仲間だという、不思議で神秘的とも言える存在なんですね。
ホヤのさばき方、食べ方
でも、食べちゃいます。
ホヤのさばき方はとても簡単。
最も手早く調理するなら、丸のまま茹でて冷水につけて冷まし、外皮をめくって中の身を取り出すだけ。
取り出した身は、水分をよく切って薄くそぎ切りにすれば刺身で食べれます。
外皮から取り出した身がこちら。

むき身のホヤをそのままにしておくと、いつの間にか謎の液体に浸かっていることがあります。
これは「ホヤ水」と言って、ホヤから出て来た水(元は海水)らしいです。
謎すぎるホヤ。
ホヤは生のまま食べることもできるそうで、ホヤ水に身を浸けながら刺身で食べるという通好みの食べ方もあるとか。
ホヤ水の気になる味は、ほぼ海水の味でした。しょっぱいです。
僕もホヤを実際に食べてみました。
刺身は通好みの味ですが、唐揚げなら万人向けだろうと思い、作ってみました。

ご覧の通り、見た目はおいしそうだけど、かなり塩辛い。
原因は、食べやすいようにと、塩をちょい強めに当てたこと。
もともとホヤ水に浸かっていたせいか、そのままで十分に塩味は付いていたんですね。むしろ今思えば塩抜きしても良かったように思うくらい。
ホヤ水おそるべし。
とはいえ、塩がキツすぎだことを除けば、歯ごたえもあり、独特の風味もあって美味しかったですよ。
ホヤ水が海水の味と書きましたが、本体のホヤも海水の味がしっかりしてました。珍味ですね。

ホヤ(老海鼠)は貝?ナマコ?いいえ、「ホヤ」です
ホヤが唯一無二の存在であることをお分かりいただけたでしょうか。
「何の仲間なの?」という問いの答えは、「ホヤです」としか言いようがありません。
しかし、ナマコや貝よりも、人間などの哺乳類に近い動物であることはかなり意外でした。
珍味として根強い人気があるホヤ。
唐揚げにすると、見た目は鶏の唐揚げそっくりだけど、かじった瞬間に肉汁ならぬホヤ汁が溢れてきます。そして独特の噛みごたえと磯の風味が広がって、何とも言えず独特な味がしますよ!
次にもし機会があれば、たくさんの薬味なんかと一緒にポン酢の刺身で食べてみたいですね。
最後に、ホヤに関するちょっとした雑学と、通販で買えるホヤに関する商品を紹介しておきます。
一時期、ツイッターなどで話題となったホヤの赤ちゃんとされる画像。

めちゃくちゃ可愛いですよね!
しかし実はこの写真はホヤの赤ちゃんではないそうです。
ホヤの仲間なのは間違いないようでですが、マボヤとは別種の成体とのこと。
少し残念だけど、可愛いから良しとしましょう。
続いて、宮城県気仙沼市の観光PRキャラクター「ホヤぼーや」。

元になったモデルはそう、「ホヤ」です。こちらも唯一無二の存在。かわいいですね。
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