食用魚「ハタハタ(鰰)」とは?(寄生虫、青魚、戦国武将、日本の神話までカバーする話題多き魚!)

市場のお魚たち

ハタハタ」とは、漢字で「鰰」や「雷魚」などと書く魚のこと。

「魚」の「神」という漢字が使われるあたり、ただ事じゃない雰囲気を醸し出している魚です。

しかし見た目はいたって普通。むしろか弱い幼魚のような姿が漢字名とのギャップを感じさせます。

食用として大変に有名な魚で、もちろん刺身や焼き魚、煮物としても美味しいですが、どちらかと言えば加工品が有名で、干物はもちろん「しょっつる」と呼ばれる魚醤の原料としても使われていたりします。

今回は、ハタハタの寄生虫の話から、食用魚としての身質について、また不思議な名前の由来などを徹底調査した内容を紹介していきます!

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ハタハタとは!?

まず、意外に知られていないのがハタハタの寄生虫の話。

30㎝ほどまでにしか成長しない小ぶりな魚にも寄生虫は取り付きます。そして頻繁に消費される魚だからこそ、寄生虫の存在が認識されやすいものなのです。

ハタハタは食べる地域によって、かなりの確率で寄生虫がついていると言われます。しかし、そのほとんどは人体への影響はない安全な寄生虫のようです。

高確率でハタハタには寄生虫がいるという事実!

調べたところ、ハタハタについている寄生虫でよく見聞きするのは次の種類

  • 寄生性のカイアシ類
  • ウミチョウ

特に、寄生性のカイアシ類は高確率でハタハタに取り憑いているという話もあるようですね(参考(外部リンク))。

寄生性のカイアシ類もウミチョウも、魚の体に吸着して宿主の体液を吸います。

両者とも同じような寄生方法(魚の体表に取り付く)で、数ミリ程度と小さく、人間の目には同じように見えることもある為か、共通した別名「ウオジラミ」と言う呼び名が使われたりします。(しかし生物学的にはこの2種は異なる)

気になるのが、これら寄生虫由来の食中毒でしょう。

上記2つの寄生虫は、人体には無害です。仮に生のまま食べても影響はないとされています。熱処理すればなお安心。

カイアシ類、ウミチョウ以外の寄生虫と言えば、アニサキスやウオノエなどもハタハタに取り付く可能性はゼロではないと思いますが、ネットで検索した限りでは確認できませんでした。

アニサキスは食中毒を引き起こす寄生虫なので注意が必要です。

ハタハタは青魚?

ハタハタは青魚ではありません。

青魚というのは、背中が青い色の魚で、海面付近を泳ぐ魚に見られる特徴から付けられた名称群で、厳格な定義がありません。

しかし、ハタハタは比較的深い海に住む魚で、背も青くないので青魚とは言えないでしょう。

青魚の多くは赤身の魚が多いですが、ハタハタの身質は白身。青魚であるイワシのように貧弱な見た目と裏腹に、身の質は大きく異なります。

「ハタハタ」という名前の由来

さて「ハタハタ」という名前。ハワイとかそっち系の名前と通づるものがあると感じるのは僕だけでしょうか。

例えばシイラのハワイでの呼び名「マヒマヒ」とか。

・・と思ったら全く関係ありません。

「ハタハタ」というのは古い雷の擬声語、つまり現代で言うところの「ゴロゴロ」と同義だと言われています。

北日本ではその昔、雷光を「霹靂神(はたはたがみ)」と呼んでいましたが、これがそもそもの由来だとする説があります。「鰰」という漢字を書かせるのも「霹靂神(はたはたがみ)」を由来とする説があるからでしょう。ちなみに、ハタハタは「魚」に「雷」で「鱩」とも書きます。

でも、なぜ雷と関係があるのでしょうか。

ハタハタは秋田で特に珍重され、その秋田では雷が多発する11月によく獲られていたからと言われています。

11月というのは、ハタハタの産卵時期と重なります。ハタハタは産卵のために深海から浅い海の岩場へと移動してくる為、その時によく獲られていたということのようですね。

ちなみに別名はそのまま直で「カミナリウオ」なんて呼ばれ方もされます。

戦国武将とも関係が!

別名といえば、同じ秋田で「サタケウオ」なんて呼ばれ方も。

これは、関ヶ原の戦い以降、常陸の名族「佐竹氏」が秋田へと国替えとなった後に、秋田でハタハタがたくさん獲れるようになったと言われ、もともと水戸で獲れていたハタハタが、佐竹氏を慕って秋田にやってきた。という伝説から付いた名前だそうです。

小さいなんてことない魚に見えるけど、色んな世界が広がるハタハタの名前の由来はロマンがいっぱいでした。

ハタハタの食べ方を紹介

由緒正しきハタハタが、地域でどのように食べられているのか紹介します。

秋田の「しょっつる」

ハタハタを原材料とした「しょっつる」は、日本三大魚醤の一つにも数えられるほど有名。ちなみに日本三大魚醤とは

  • 香川の「イカナゴ醤油
  • 能登の「いしる
  • 秋田の「しょっつる

です。(の魚醤は含まれていないんですね)

他の2つはイワシイカを使った「いしる」と「いかなご醤油」。

日本で魚醤と呼ばれる調味料は世界にも存在していて、タイのナンプラーが有名ですが、イタリアのコラトゥーラや中国の「魚露(ユールー)」など多様です。

魚醤というのは、ざっくり書くと

  • カタクチイワシなど、元となる魚を塩漬けし
  • 自己消化&特殊な細菌の力で発酵
  • 発酵体から出た液体を抽出

という工程で作られます。ドバドバと作れるものではありませんね。

濃厚な味と独特な香りが特徴(ナンプラーとか)

卵は「ぶりこ」

ハタハタの魚卵は「ぶりこ」と呼ばれて珍重されています。

筋子ほどではありませんが粒が大きくて、色とりどりという特徴のある卵です。

未成熟のものがプチプチと美味しく、成熟したものは硬くて食べづらいそう。

僕は食べたことないので一度トライしてみたいです。

ハタハタは干物や一夜干しも最適!

鱗がないハタハタは、ハラワタを除いたものをそのまま塩振るなどして干すことができます。

簡単。

長く保存もでき、たくさんのハタハタを手に入れたら、余すことなく効率的に干物にして保存しましょう。

寿司や刺身も

「ハタハタ寿司」という秋田の郷土料理・「なれずし」の一種ですね。長時間熟成させて食べる料理です。

丸焼きも美味

上質な白身で皮が薄く骨も意外と少ないため、丸焼きにして食べられます。見ての通り小さい魚なので一匹でお腹いっぱいとは行きませんが・・。

ハタハタを冷凍保存!

ハタハタを冷凍する時は、タッパーやバットなどの深い容器にしっかり浸かるくらいの水を張り、その中に魚を入れて水ごと冷凍します。

解凍する時は氷の張った容器ごと冷蔵庫で解凍します。

ハタハタの特徴ある生態

ハタハタは意外なことに深海魚です。

そういう目で見れば、確かに深海魚としての特徴は確認できます。

深海魚としての特徴的な顔

この表情。なるほど深海魚だこれは。

体の大きさの割に鋭い歯とシャクレた口が特徴ですね。オキアミや小さなイカ、魚を食しているようです。

こうですよ。。

メダカのようだけど・・

一見、メダカのような川魚を想像するのは僕だけでしょうか。全体的なフォルム、体の色合い、つぶらな瞳が似ている気がしませんか。

この魚に体表を覆う鱗はありません。なるほど。メダカに通ずるものがあるじゃないですか。

と思ったらコイツ深海魚みたいです。鱗がないことや、つぶらな瞳などの特徴はどうやら深海魚としての特徴みたい。そういえば体表は粘膜で多少ヌルついています(コレ深海魚では鉄板です)。

ちなみに体長は、この写真のもので20センチ弱といったところ。成魚でもだいたいそのくらいにしか成長しないようです。水深の浅い岩場で孵化し、幼少期も同じく浅場で活動しますが、成魚となると深海に移ります。

産卵した後に死なず、寿命5年と意外と長め。

大きな胸ビレ

この魚、尻びれなど他のヒレに比べると胸ビレが極端に大きいですね。

胸ビレは魚にとって、体のバランスを取ったり旋回したりする等の動きでよく使われる部位です。岩場などに住む魚の特徴なんですよね。きっとこのハタハタもそう。

なお、ハタハタの生物学上の分類は「スズキ目ワニギス亜目ハタハタ科」に属していますが、DNAの解析によれば「カサゴ目」のカジカの仲間に近いということが分かっているそうです。しゃくれた顔、大きな胸ビレ、確かにカジカに似ている部分はありますね。

小さな体と大きな物語を持つハタハタの加工品

ハタハタは見た目やその名前の響きと異なり、壮大なロマンのある魚でした。

秋田を筆頭に人気食材であるハタハタは通信販売のラインナップも豊富。

良さそうなものをいくつか紹介します。

それにしても鱗の無い魚というのは、下処理に時間がかからなくて良いですね。

それではまた。

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