冬に旬を迎えるイメージの魚介類といえば「マダラ(真鱈)」です。
しかし実は5月、6月頃でも市場に出回りますし、さらに言えば活発化して餌をよく食べるようになる夏の8月頃もマダラが美味な季節であることはあまり知られていません。
「マダラの味ってちょっと苦手だな・・・」と、マダラの旬と聞いても特段心動かされない人もいらっしゃるでしょう。
はっきり言って、コンディションの良いマダラを食べて“マズい”と感じる人は魚食そのものを諦めた方が良いかもしれません。なぜなら魚食においてマダラはかなり食べやすい部類に入る魚。つまり、マダラがマズいなら他の魚はもっと不味く感じる可能性が高いです。
・・とは言え、早々に魚食を諦める前にマダラの食べ方を変えて魚食に再チャレンジしてもらいたいです。今回はマダラが一番おいしい食べ方を考えてみたので、ぜひお読みいただければと思います。
「マダラ(真鱈)がマズい」をひっくり返す食べ方
「タラ」と言えば、普通は「マダラ」という魚のことを指します。国民的アニメの幼児キャラでもなく、うちは一族最強の男でもなく「魚のマダラ」の話です。
「マダラがマズい = 魚食全般NG」と言われるのは何故でしょうか?
もちろん万人の魚食チャレンジにおいてマダラが最後の砦であるとは言い切れませんが、フィレオフィッシュの中身がマダラの仲間のスケトウダラだと聞けば、「フィレオフィッシュ食べれないなら魚食は無理でしょ」という論理にある程度の納得感を感じるのではないでしょうか(ちなみに少し昔はマダラがフィレオフィッシュの中身だったそうです)。
鱈が“美味しくない”なら魚食は無理かもしれない
「フィレオフィッシュ(ほぼマダラ)が美味しくない?じゃあもう魚食は無理でしょ・・・」とやや強引な論法を振りかざしているわけですが、逆に言えばマダラこそ万人受けする魚なのです。
フィレオフィッシュ(ほぼマダラ)が苦手なら魚食は諦めた方が良いかも。魚が食べれなくても死ぬことはありませんので。それはそれとして、魚食に何となく苦手意識があるだけの人ならばまだ克服の余地はあります。ぜひ「鱈(タラ)」つまりマダラを試すべきです。
マダラは圧倒的に味が淡白な白身魚。最大手のファストフード店に選ばれる食材にはちゃんと選ばれるべき理由があるのです。魚の中で最も万人向けと言っても決して大袈裟ではありません。
魚好きには物足りないとさえ思われるほど魚特有の風味や臭みがとても薄く、非常に食べやすいマダラ。そんな万人向けの味を活かした料理を紹介します。
マダラはやはり「ホイル包み焼き」で
フィレオフィッシュ、つまりフリット(白身のフライ)は実績があるので鉄板のマダラ料理。しかし今回は比肩するほどの料理を紹介します。それは「ホイル包み焼き」
マダラはバターとの相性が抜群の魚。淡白な味がバターのやさしい風味を最大限に生かすので、そのまま焼いて食べるよりも相乗効果が期待できます。
さらに、深海性の魚であることから身に多くの水分を含むマダラ。刺身では水っぽくなるので必然的に火を入れて食べることが多くなるでしょう。寄生虫も心配ですし。
それらのことを加味すると、身に多く含む水分を逆手に取った料理法が「ホイル包み焼き」がベストな食べ方の一つ。バターの油分と自身の水分で蒸し焼きにするマダラならではの料理と言えるでしょう。
また、バター同様にクリーム系とも相性が良いマダラは、シチューなどの煮込み料理とも相性が良いです。
胡椒(コショウ)の存在も忘れてはいけません。ホイル焼きでもシチューでも胡椒を使うのはマダラの淡白さにめちゃくちゃマッチします。
キノコ類なども一緒に包み焼きにすれば、味や食感、見栄えも良くなり一気に上品な食卓になるでしょう。
フライパンで焼くときの注意
マダラは「ホイル包み焼き」で食べるのが必然。しかしもっと手軽にフライパンでソテーする時にはちょっとしたコツが必要となります。
マダラをフライパンで焼くと水気が多いので皮目がパリッとせず、しかも身が柔らかいので崩れてボロボロになりがちです。
フライパンでうまく焼くコツは、
- 半日ほど、切り身に薄く塩をあてラップをせずに冷蔵庫内で水分を飛ばす
- 小麦粉をまぶして油多めの強火でソテーする。
- 「ピチット」を使って水分を抜く
いずれかの方法でやれば皮目もパリッと焼けます。「ピチット」は楽天でも買えて非常に便利な道具ですよ。
ホイル包み焼き(もしくはシンプルなフライパン料理)にトライして、マダラがマズいというイメージを改善できれば幸いです。
ここからは少し脱線して、マダラ料理を囲む食卓で話す豆知識など紹介していきます。
そもそも「マダラ」とはどんな魚?
マダラの外観を少し観察していきましょう。

マダラはアゴヒゲがあります。
その用途は不明ですが、マダラの特徴の一つであり、何らかの感覚器官なのかもしれません
また、マダラはいろんな箇所のヒレがちょっとづつ多い魚。背ビレは3つ、尻ビレは2つあり、他の魚と比べると1〜2個多いという珍しい特徴を持っています。
マダラの内臓系は全て大きく、ほとんどの臓器が食用とされます。中でも肝(キモ)は美味ですし、白子(マダラの精巣)は高級食材で有名。
生息分布は北海道や北陸などの北国の寒い海に多く、南は茨城でも見られます。水深150〜200mに多く住み800mほどの深海でも適応できる深海性で、体長は最大1メートルを越す大型の魚です。
冬の産卵期には浅場に移動してくる為、この時期の漁獲量が増えるため「冬が旬」とする向きもありますが、先に書いた通り栄養を蓄え活発に泳ぐ夏場こそ美味であるという意見もあり、一概に「旬は冬」と言えないことは確かでしょう。
ただし、高級珍味として名高い「マダラの白子」を求めるなら、秋から冬になります。
マダラのキモや白子は鍋料理との相性も良く、内臓系を使うならば、ホイル包み焼きよりも「鍋料理」がベストかもしれません。
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