【トウモロコシの謎】原種が不明?「原産地=宇宙」説も

野菜と果物

トウモロコシは夏になると良く食べるし、なんとなく「暑い環境で育つ野菜なんだろうな」くらいに見ている人が大多数じゃないでしょうか。

まさか、ポピュラーな植物の起源が実はよく分かっていないと聞かされると、軽く衝撃を受けます。

聞くところによると、トウモロコシの原種は謎で、起源が不明で、生物が持つ「種の繁栄のための本能」みたいな観点から想像できる、体の仕組みが“あべこべ”らしいじゃないですか!?

・・・これは大変なことになっているじゃないか・・・ということで、トウモロコシの謎についてさっそく調査してみました。

ちなみにトウモロコシの食べ方も書いてます。

トウモロコシの原種は?起源は宇宙にあり?

トウモロコシの、もともとの起源をご存知でしょうか?

だいたい身近に思いつく野菜や果物の多くは「原種」が存在します。例えばバナナの原種は「マレーヤマバショウ」と「リュウキュウバショウ」だし、お米は「ジャポニカ米」や「インディカ米」が起源。

これら原種は、味や食べることができる部分の量、環境変化の耐性がイマイチだったりするので、長い人類の歴史の中で、よく実ったもの同士を掛け合わせたりあれこれ試行錯誤を繰り返して、現代の美味しい野菜や果物に進化してきたのです。

トウモロコシは、人類の歴史でけっこう昔から食べられてきたイメージあるけど、ある日パッと今の姿で脈絡なく我々の傍らに登場したような存在だと言われてきたきたのです。

トウモロコシの起源(原産地は宇宙??)

トウモロコシの生態には謎が多く、「宇宙からの隕石に付着して地球に飛来して繁殖した」なんて、荒唐無稽に思える説があるほど。

なぜ、ぶっ飛んだSF食材のような話が出てくるのか?それは、長らくトウモロコシの起源が分かっていなかったからに他なりません。

バナナとかお米とか、品種改良して農作物として育てている野菜や果物には、もともと野生に実っていた原種が存在しますが、トウモロコシにはそれが“無い”ということ。

トウモロコシは繁殖のための「種(タネ)」が何重もの皮に覆われているため、自然に任せたままでは根付きにくいとされています。さらに、そもそも動物に「種(タネ)」本体を食べさせてしまう点など、「種(シュ)の繁殖」という観点から非合理性が指摘されることも。まるで、動物が食べるためだけに生きているかのようだと言われてきたのです。

つまり、命を次世代へ繋ぐ機能面に矛盾があるのでは?ということ。地球上の植物の概念から外れた特徴を指摘されてきました。

トウモロコシの原種とは?

ロマン溢れるトウモロコシの起源の謎。しかし最近は、イネ目イネ科トウモロコシ属の野生種「テオシント(の亜種)」が、トウモロコシの原種ではないかと言われています。

一年草のテオシントは中央アメリカに今も分布し、トウモロコシの面影はあると言えばあるけど、まるきり違う植物にも見えることから、長年にわたり原種なのかそうでないのか論争になってきました。

DNA研究の発展により、最近の研究ではテオシント(の亜種)がトウモロコシの原種とする説が最も有力となりました。

食用のトウモロコシが誕生したのは、紀元前5000年〜7000年前とされています。

最初は食べられる実は少なかった(きっと味も良くない)けど、大きく実った個体を掛け合わせるなどの気が遠くなるような試行錯誤を経て、現在の姿になったと言われています。

(これらの話は筑波実験植物園さんの情報を参考にさせていただきました。)

テオシントとトウモロコシの違い

テオシントの画像を見ると分かりますが、姿形はトウモロコシとけっこう違います。

  • テオシントは枝が細かく分かれるが、トウモロコシは真ん中の茎から枝を多く作らない。
  • 雌穂(しすい)まわりの形がテオシントとトウモロコシでは大きく異なる。
  • テオシントは穎果(えいか)を硬い殻で包むが、トウモロコシは剥き出し

テオシントは枝が複雑に分岐してモッサリ混沌とした全体像ですが、トウモロコシは主の太い茎が一本まっすぐ伸びて、茎から葉っぱが均一の間隔で生えてる形。

雌穂(しすい)とは、トウモロコシの可食部(果実がついてるところ)を含むサヤのことで、トウモロコシは実が100以上できるのに対し、テオシントは5〜10個と少なめ。サイズもテオシントのほうがだいぶ小さく、形状、色も違います。しかもテオシントの実は普通は食べれません。

穎果(えいか)とは、実の一粒のことで、トウモロコシの黄色い実は殻に覆われていませんが、テオシンとは硬い殻で覆われています。

テオシントは短日植物、トウモロコシは中性植物という違いもあります。短日植物とは、夏至から冬至の間に花をつける植物。日の長さに関係なく花をつける植物を中性植物と言います。花をつけるタイミングも、テオシントとトウモロコシで違うということですね。

とにかく形状その他がいろいろ異なるので、テオシントがトウモロコシの原種というのは最近まで疑われてきたのです。

トウモロコシの謎。オチを知ってしまうと安心感とともにちょっと残念でもありますね。

筆者としては、ロマン溢れる「トウモロコシ宇宙起源説」にも引き続き注目していきたいと思います。

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