産卵期の鮭(サケ)を食べる時、オス(雄)かメス(雌)かを見分けることは重要です。なぜかというと産卵期のメスの鮭は味が劣化している場合があるし、サプライズで卵を孕んでいる可能性もあるからです。卵持ちならラッキーですが、産卵後の疲労困ぱいのメスザケならば(食材として見れば)アンラッキー。
もし切り身の鮭ではなく頭のついた丸のままの鮭を買う時、産卵期においては迷わず「雄(オス)」の鮭を買ったほうが良いです。なぜなら・・・。
- 産卵期のメスは高値で売られている場合がある(卵をもっているから)
 - 産卵期のメスは身の味が良くないケースがある(産卵後の栄養失調などで)
 
大量の筋子(イクラ)を持ったメスを安く買えた場合はラッキーですが、それはまた別の話。むしろ想定外のお宝は持て余すかもしれません。
そんなわけでサケの性別を見極めるのは重要。今回は鮭のオスメスの見分け方を紹介していきます!
鮭(サケ)のオスとメス、違いと見分け方
サケのオス(雄)とメス(雌)の明確な違いは産卵期であれば卵(筋子)の有無。他にも食材としての違いはあるのでしょうか?
さらに、鮭のオスメスの見分け方は腹を割いて見れば一目瞭然ですが、外見だけで鮭のオス(雄)とメス(雌)を見分ける方法はあるのでしょうか?外見の見分け方について、いくつかのポイントを紹介します。
鮭のオスとメスの違い
まず食材として鮭のオスとメスの違いは何か?それは「味」と「卵の有無」の2つです。
なぜオスとメスで味が違うのかというと、産卵期のメスは卵に栄養を注ぐため身の方に栄養が行き渡らないから。味が落ちるだけでなく身も痩せ細り歩留まりも悪くなります。
しかしこれは産卵期に限った話で、それ以外の時期では味についてオスとメスで大きな違いはほとんどありません。
鮭の産卵期はだいたい6月〜翌1月くらいの間で、河川によって産卵する時期がズレます。オスメスを見分けるのが大事になってくるのはこの半年程度の産卵期の間。とりわけ遡上がはじまった鮭は性別の判別が重要と言えます。
産卵期が6月〜翌1月の間で幅があるのは産地(河川)によって産卵期がズレるからです。産卵時期が河川ごとにズレる理由は、河川自体の場所(海から戻る距離)や水温など外的要因、あるいは鮭そのものの遺伝的な性質が河川に帰属する鮭ごとに違うためだとされています。
「遺伝的な性質が河川ごとに違う?どういうこと?」となりますが、鮭は生まれ育った川に繁殖活動のため帰ってくる母川回帰性を持つ魚。つまり何年も外洋に出て過ごした後、自分が生まれた川へ帰る能力を備えているのです。これは同じ河川に属する鮭どうしで交配しやすく、別々の河川に属する鮭どうしは交配しにくい仕組みと言えます。この仕組みにより母川が違う系統間で遺伝的な差があることが知られているそうです。具体的には体の大きさに加え遡上の時期(産卵の時期)も母川ごとに微妙に違うのだとか。
鮭の性別は「顔」で見分ける
鮭のオスメスの違いと前提の話が長くなりましたが、本題の見分け方を解説していきます。
鮭のオスメスはだいたい「顔」で見分けます。
抽象的な説明ですが、産卵を迎えた鮭はオスはオスらしく、メスはメスらしい顔つきになります。
その上でヒレの特徴もオスとメスで違いが出る場合があり、顔以外に見分ける方法として使えます。
しかし、鮭は「子孫を守るためにオスがメスのような体つきになる」という防衛本能を持つため、見分けるには鮭の持つメスっぽい雰囲気を感じることが重要です。それはやっぱり「顔つき」を見極める必要が出てきます。
まぁとにかく、これから鮭の写真をいくつか確認し、メスっぽい雰囲気を頭に叩き込んでおきましょう!
鮭のオスメス判定テスト
まず下の2匹。どっちがオスでどっちがメスでしょうか??

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正解は、どちらも「オス」です。
続いてこちら。

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正解は、「オス」です。
最後はこの1匹。

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正解は、「メス」でした!!
いかがでしたか。確かに、オスとメスで微妙な雰囲気の違いがあることに気づいていただけたでしょうか?
見分け方のポイントをこのあと紹介します。
鮭のオスとメスの見分け方
顔の違いを含め、鮭のオスとメスの見分け方は次の通り。
- 顔つき(オスは尖った口、メスは丸みを帯びる)
 - 尾ビレのフォルムが、オスは「く」の字。メスは平坦
 - 油ビレの大小(オスの方が大きい)
 
メスの顔をじっくり観察しましょう。

メスの方がオスに比べ丸みを帯びた顔つきをしています。対するオスは口先が尖ってくる。これは産卵期の鮭に見られる特徴で、通年で有効な見分け手段ではありませんが、可愛らしい顔をした方がメスと覚えておくと良いでしょう。
オスの顔の特徴もアップでご確認ください。

口が尖っています。そして全体的にゴツイですよね。少し怖い感じもします。
顔の違いがオスメスで確実とは限らない
サケは子孫繁栄のため産卵間近のメスがオスのような見た目をしたり、逆にオスがメスのように振る舞ったりする防衛本能のような特徴があると言われています。
つまり、残念ながらここまで説明した見分け方法が必ず当てはまるとは限らないのです。
この防衛本能的機能。例えば先ほど写真を紹介したメスの尾ビレを見てみると・・。

この通り、「く」の字の切れ込みで、完全にオスに見られる特徴を持っています。
本来なら下の写真の赤線で示したように、切れ込みはフラットになっていることが多いのですが・・・。

お腹を開いてみると・・。

この通り卵を持っているので紛れもない「メス(雌)」であることが分かります。
サケのオスメスの選別は、魚を扱うプロでも間違うことがあり難易度は高いのです。
顔の雰囲気、体の形などを注意深く観察する。これを繰り返し繰り返し実践すれば、自然と性別の違いを見分けられるようになってくるでしょう。
結論:鮭のオスメス判別は難しい
鮭のオスメスはプロでも間違うことがあるほど難しい。しかし、見分け方の基本をもう一度おさらいすると、
- 顔つき(オスは尖った口、メスは丸みを帯びる)
 - 尾ビレのフォルムが、オスは「く」の字。メスは平坦
 - 油ビレの大小(オスの方が大きい)
 
の3つとなります。
産卵期以外では味や見た目に大きく違いはありませんが、記事冒頭で書いたように、秋に産卵を迎えた鮭は、味だけでなく食材としての用途さえも変わってくるので、オスメスの違いを理解しておくと便利です。
ヒトの世界でも、外見だけで男性か女性か見分けがつかないことってありますよね。でも全く同じ顔は2つとありません。
魚の顔も、同一の種であっても良く見ると千差万別。長く付き合って注意深く観察することで個体ごとの違いに気づくことができるでしょう。
 
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