個人事業主(飲食業)で、リクルートさんの「エアレジ」、「エアペイ」、「エアペイQR」を使っています。
飲食じゃなくても対面販売でレジを打つような業種ですと、「レジ回りにITの導入を!」とか、「キャッシュレスそろそろ考える?」とか話題に上がるのではないでしょうか?
「エア〇〇」のサービスは、レジ回りIT化ができるいくつかの選択肢の一つで、とりわけ「エアペイ」は業界シェアトップレベルなのでは?(適当)
一般消費者の方でも、テレビCMでオダギリジョーさんが泣きベソで「エアペイ!」と絞り出しているシーンを記憶している人はいるんじゃないでしょうか。
当店では行政がキャッシュレス化推進を掲げて少し経った2019年、リクルート社のエアレジ、エアペイなどを一括で導入しました。
それから3年使い続けたので、当店なりのメリット、デメリット、そして「結局導入して成功だったのか?」がだいたい見えてる状態です。
これからキャッシュレス導入したい、あるいは検討している事業主の方へちょっとでも参考になればと思い、記事にしてみました。
思いつきで書いている部分もあるので、随時、加筆修正は筆者のタイミングでやっていきます。
【エアレジ&エアペイ】導入のメリット、デメリット(飲食業)
リクルート社では、無料アプリ「エアレジ」を中心に、テレビCMでも一時流れまくってた「エアペイ」、QR決済用のアプリケーション「エアペイQR」、予約管理アプリの「レストランボード」などなど、それぞれ個別のアプリを組み合わせてレジまわりのITサービスとして展開しています。
それぞれ細かい仕組みや導入方法はリクルートさんのサポートページが充実しているのでそちらを見ていただくとして、今回はあくまで当店での使用感とかを完全なる個人的な主観に基づいて紹介してみます。
様々な環境の違いで異なる部分がある点、ご承知おきください。
参考までに、当店の環境を簡単に紹介しておきます。
- 個人事業主
- 家族経営、従業員なし
- チェーン店なし
いわゆる、町屋の小さな家族経営のレストランです。その点を踏まえ、個人的に感じたメリットとデメリット紹介していきます。
最後に、「結局入れて良かったの?」も書いてます。
エアレジ&エアペイ、メリット
エアレジ、エアペイもろもろを導入することで、良かったなと思ったことは、効果の大きさ順に以下となります。
- 確定申告が圧倒的にラクになった
- データの見える化
- ミスの削減
順に説明していきます。
確定申告が楽に
確定申告、当店の場合は「青色」で申告しています。
AirレジとMoneyForwardの確定申告用のアプリを連携することで、毎年の青色申告が圧倒的にラクになりました。
Airレジで日々入力している会計情報を、自動でマネフォに連携して仕分けデータとして記帳してくれるからです。
以前まで、当店では毎日の売り上げを毎日ノートに手書きし、毎年1月頃になるとせっせとボールペンを走らせ申告書作りを行ってきました。正直これは膨大な作業量。
申告書手作り時代を振り返ると、お客さんが来ない待ち時間を利用して作業していたし毎日ちょっとずつ作っていくので、取り立てて「大変だー」とも思わなかったですが、Airレジ&マネーフォワードで作成時間を“超”圧縮した後と比較すると、IT化の楽チンさに愕然とします。
マネーフォワードを使えば申告書一式の提出まで行ってくれるので、手書きで作成して商工会へ通っていた頃と比べると、感覚的には「ほぼ何もしなくて良くなった」と言えるレベル。これは本当に誇張なしで、です。
一つ、まだアナログな作業も残っていて、それは仕入れデータの入力。
我々飲食業において、業者さんとの取引は構造上まだまだ現金や紙の伝票でのやりとりが多く、そこだけはどうしても手入力が必要。
根本的な構造が変わらない限り、現金と紙のやり取りはまだまだ続きそうな雰囲気です。
紙情報をデータ化する機能もマネフォにありますが、自分的には使っていません。レシートを見てパソコンに手入力作業は、当店の規模では1年分を半日で終わらせられる程度です。手書きと比べたら遥かにラク。
それと、マネーフォワード確定申告のアプリは月額利用料がかかります。
売り上げデータを分析できる
売り上げデータは労せずどんどん蓄積されていて、日々の売り上げや客単価はもちろん、商品別、月別、独自のカテゴリ別など様々な切り口による売り上げデータも、ボタン一つでポポンと見ることが可能。
前年同月比の売り上げや年別の売り上げ、どの商品が売れているかなど、スマホで無意識にニュースをチェックするかのように気軽に見ることができます。というか、スマホにアプリを入れておけば普通にスマホで見れます。
データを見ることにストレスがかからないので、店の状況を以前より俯瞰的に見ることができるようになったと感じてます。つまり、会計業務に一歩先に目を向けられるということじゃないでしょうか?
データから、その先のアイデア作りや施策などに、より労力をかけることができるようになれると思います。まだ新しいアイデアは浮かんでないんですけどね。
ミスが起きにくい
メリットの最後は、レジ打ちのミスが減ったこと。以前は金額をレジスターのテンキーで都度打ち込んで会計をしてました。
Airレジで商品マスタに値段をあらかじめ設定し、会計時にはお客さんが注文した商品を選ぶだけで後は自動で会計金額を計算してくれるので、手入力が減った分、会計金額の間違いなどは減ったと思います。
ただ、別にAirレジ導入前も、手入力ではあるけど別に会計が大変な仕事という意識はあまりなく、やり方が変わったよね。ぐらいの認識でメリットとしては薄いかもです。
会計ミスは減ったでしょうが、レジ手入力していた時代でも、そもそもミスは少なかったです。
エアレジ&エアペイ、デメリット
デメリットと感じたのは以下(大きさ順)
- 事業継承の対応がイマイチ
- 操作ミス
- レストランボードの動作が遅い
- データの取り込みができない
- Androidに未対応(Airペイ)
ちなみに上で書いた「メリット」より数が多いけど、だからと言ってトータル使えないということではありません。気づいたことを挙げているだけです。
事業継承の対応がイマイチ
当店は家族内で事業継承をしました(父から子へ)。事業継承でやったことなども機会あれば記事にしてみたいと思ってます。
それはともかく、内々で経営が変わったからと言って対顧客の面では何も変わっていなくて、当然Airレジもそのまま使って(Airレジは父の代で導入した)いるのですが、Airペイの契約者名、クレジットカードの売り上げの入金先口座など、今使っているものを新しい事業主へ切り替えることができませんでした。
サポートから言われたのは、新規契約(子が契約)し、契約中(父が契約)のものを解約して欲しい。ということ。
当然ながら、無料で貸し出してもらったiPadは返却せねばならず、新規契約するにあたっては新しいiOS端末を買わなければならないということでした(1店舗で2台目のiPad無料貸し出しはNG)。
正直、面倒ですし今のiPadをそのまま使いたいので、融通を効かせてもらいたい気がしています。契約者を変えて、振り込み口座を変えるだけなので技術的には簡単なのではないか、不親切ではないかと思ってしまいました。まぁ、ワガママかもしれませんけど。
操作ミス
メリットで挙げた「ミスが起こりにくい」と矛盾するように聞こえますが、会計金額の間違いではなく、レジ打ち業務全体の話。要するにやり方が大きく変わって戸惑ったという話です。
伝票を見てレジスターに手打ちしていた時代に比べ、Airレジ導入後の会計手順は大きく変わりました。
そのことで最初のうちは戸惑いもあり操作ミスも発生しました。例えば、ボタンを押しているのに画面が進まないというような根本的な話(これはアプリ不具合ではなくてスタッフがタッチパネル操作に慣れていないため)から、商品マスタの登録がされていなくて会計データを作れないとかの凡ミスまで。
あとキャッシュレス決済については、カードリーダーの操作が分からず、謎のエラーが出て(これも、リーダーが起動していないのにカード挿しまくる人為的ミス)お客さんを前にして会計処理がストップする。等々・・。
しかしやり方を覚えてしまえば、元々やってた手作業よりも作業ステップはそもそも少なくシンプルになっていますし、操作性の良いアプリの設計とかも手伝って意外に早く慣れることはできたと思います。操作するスタッフは70代と高齢ですが、覚えるのにそこまで苦労はしませんでした。
レストランボードが遅い
レストランボードとは、Airレジとは別の、でもAirレジと連携するための公式アプリ。テーブル席を管理したり、予約システムとして使います。
イートインの飲食業では、基本的にどの店でもテーブルは番号で管理していると思います。予約が多い店や回転の早い店では、空席、満席を常に把握できる仕組みは便利だと思います。
その上で、当店だけかもしれませんが、レストランボードは挙動が遅いです。3〜4分とかのレベルでフリーズすることがあり、正直、使うのを止めました(サポートでは対応を案内しているようなので、あれこれ手を打てば、もしかしたら改善するのかもしれません)。
当店が予約とか回転数とかあまり気にしてないので、もともと必要性をあまり感じていませんでした。無いと困るのであれば、何らか対策を打ったかもしれませんけど、遅いから使わなくてもいいや、と判断した次第です。
最低限必要な、席番号と伝票の付き合わせは、Airレジだけで完結できます。
売り上げデータはCSV出力のみ
Airレジのメリットとして、色んな切り口でデータを見ることができると書きました。
しかしそれはAirレジを使い続ければ。という前提。
当然、他社の決済サービスに移行すればAirレジ時代のデータを見るのは面倒になりますし、前述のように、父から子へ経営が変わってAirレジを導入しなおせば、同じAirレジなのに引継ぎ前のデータを見るのが面倒になるのかな?と思っています。
AirレジでもAirペイでも、CSVデータの取り込み機能はなかったと思います。サポートに相談すれば個別対応してもらえるのか?未確認です。
AirレジやAirペイではデータをCSV出力することができるので、過去のデータを全く見ることができないわけではありませんが、それでもちょっと面倒だなという気がしてしまいます。
Androidに未対応
あとちょっと不思議なのが、AirペイはiOSのみ対応という点。
まぁ別にiPadではなく、最低限、中古のiPhoneとか買えば良いのかなという気はしつつも、けっこうな大企業の割と規模の大きなアプリケーションとしては、Androidに未対応なのはよく考えると不思議。
当店で特に問題なくiPadで使えているので実害はありませんけど、先ほども書いたように事業継承によってAirペイを契約し直す場合に、iOSしか選択肢がないのはちょっと不満なので、デメリットに上げさせてもらいました。
ちなみにAirレジはAndroid対応していたはずです。
Airレジ、Airペイを導入して良かった?
正直、忖度なしで言えば、「どっちでも良かった」です。
メリットとデメリット、本当に半々ですが、確定申告の圧倒的なラクさを考えるとタッチの差で「良かった」と思う気がします。ただそれは「マネーフォワード確定申告」という別会社のアプリがあってのこと。
確定申告のIT化はマネフォがかなりの役割を果たしている気がします。
Air○○導入の満足、不満足の分岐点は、お店の規模によるのかなと思います。「メリット」で挙げた内容は、営まれるお店の規模が拡大するにつれて恩恵が大きくなります。雇っている従業員が1人増えるだけで、またチェーン店が一つ増えるだけで、ITの役割は倍々ゲームのごとくデカくなるのではないでしょうか。
逆に言えば、当店ぐらいの規模でキャッシュレス化やレジIT化はあまり利点を感じづらいです。
そもそも、筆者はキャッシュレスやIT化に乗り気ではありませんでした。周りがやいのやいのうるさいので導入したぐらいのものです。
田舎の、ご夫婦でやられているような小さな飲食店で未だに現金払いだけなのをよく見かけます。そもそも導入する必要があまりないのです。
とは言え「どっちでも良い」のが本音なので、またレジ環境をアナログに戻すことは今のところ考えていません。なぜなら元に戻すのは、それはそれでめっちゃ労力かかるからです。
別の角度から、今のレジ環境が変わることがあるかもしれません。その時は改めてまた記事にしてみたいと思います。