那珂市でサイフォン(サイホン)式コーヒーが飲めるカフェ、ペピートです。
ペピートはもともと喫茶店としてスタートしたお店。店内カウンターの真ん中には、30年以上使い古されたサイフォン式コーヒーメーカーが置かれています。
ペピートのいちスタッフである筆者にはあまりに身近すぎて気になりませんでしたが、ふと、サイフォンコーヒーってどうやってコーヒー抽出しているの??と、なぜか急に気になりだしました。
サイフォンコーヒーの原理とは?仕組みについて調べてみました。
サイフォン(サイホン)コーヒー の原理は?仕組みは?
当店でも毎日のように活躍しているサイフォン。原理を調べつつ、せっかくなので、まつわる話もいろいろ調べてみることに。
サイフォンの起源は諸説あり、もともとスコットランドの造船技師である「ロバート・ナピアー」という人物が原型を発明したとする説が有力。200年近く、あるいはそれ以上の歴史があるコーヒー抽出器具なのだとか。
しかし、コーヒーサイフォン(または単にサイフォン)は日本独特の呼び名で、海外では「真空吸引」とか「バキューム」などと呼ばれているそう。「Vacuum coffee maker」とかですかね。何だか掃除機をイメージしました。
コーヒーサイフォンの仕組み
そもそもサイフォンではどうやってコーヒーを入れるのでしょうか。
シンプルに言うと、フラスコ内の沸騰させた水の蒸気圧で、豆粉の入ったロートにお湯を移動させてコーヒーを抽出します。
言葉だとちょっと分かりづらいので、このあと実際にやり方も説明します。
よく、コーヒーサイフォンの仕組みの説明として「サイフォンの原理」が引き合いに出されますが、実は関係ないようです。
サイフォン式コーヒーメーカーには「サイフォンの原理」は使われず。・・禅問答でしょうか。いやそうではなく、日本独自の「コーヒーサイフォン」という名称が混乱の元だと思います。
コーヒーサイフォンに「サイフォンの原理」は無関係
「サイフォン」はsyphonまたはsiphonと書き、ギリシャ語でチューブや管のことを言うそう。
そして「サイフォンの原理」と言えば、ある物理現象のことを指します。
それは、隙間のない管を使って、液体を地点Aから、それよりも低い地点Bへ(地点Aより高い管を通って)移動するメカニズムのこと。・・・なのですが、実はコーヒーサイフォンに「サイフォンの原理」は関係ないらしい。
サイフォンの原理では、作用に大気圧とか重力とかもいろいろ関係するっぽくて・・。分かりやすく説明したいところなのですが、筆者はこの原理についての説明文をしっかり読んだところ、しっかり理解不能だったので申し訳ありませんができません。
ちなみに、wikipediaで調べるとサイフォンの原理が使われている身近な例として「灯油ポンプ」が挙げられていました。ちなみにのちなみに、灯油ポンプの発明者はドクター・中松さん。正式名称は「醤油チュルチュル」なんだとか。
サイフォンとドリップの違い
コーヒーの抽出方法にはいくつかの種類があります。
紙や布を使ってドリップするやり方は「透過法(とうかほう)」と言い、お湯を注いでコーヒーを抽出することからハンドドリップと呼ばれます。
一方で、サイフォンは「浸漬法(しんしほう)」と呼ばれ、蒸気圧を利用して高温の熱湯で抽出します。
使う器具や手順がまるで違いますが、最大の違いは、ドリップはお湯を注いで抽出するのに対し、サイフォンでは沸騰し続けているお湯で言わば煮出すように抽出する点。同じ熱湯だけど温度が違います。
サイフォンで抽出したコーヒーは薄くなると思う人がいるかもしれません。しかし、サイフォンでは煮出し時間によって味が変化するため、必ず薄くなるわけではありません。実際には、使用する豆によって適切な抽出時間がだいたい決められています。
サイフォンのやり方
サイフォン式コーヒーメーカーはいくつかの形があって、一般的なのは「ガラス風船型」と呼ばれるもの。当店のコーヒーサイフォンもこの形です。
当店のものは業務用なのでLPガスを使用し、火口も4個あります。個人向けの器具だとアルコールが燃料だったりしますが、基本的な作り方は業務用も個人用も変わりません。
まず、フラスコに水または水(お湯)を入れます。水量は適当じゃダメで、作るコーヒーの分量よりもちょっと多めの量とします。水を多めに入れるのは、豆粉の抽出時に水量が減るため。

フラスコの底に水滴がついたまま火に炙るとガラスが割れる恐れがあるので、乾いたタオルで拭きます。

ロートに布製フィルターを入れて・・・。


フラスコにセットします。接合部はゴムワッシャーになっているので、フラスコに軽く押し込んで密着させ隙間がないようにします。

着火。

お湯が沸く前に、コーヒー豆をロートに入れます。量は、フラスコに入れた水の量と合わせる必要があり、今回は1人前。


お湯が沸騰し、蒸気圧の作用で密閉したフラスコからロートへと熱湯が上がってきました。

熱湯がロートへ完全に上がったら、木べらでひと混ぜ。20〜30秒かけて抽出し、火を止めます。
火にかけているのを忘れて空焚き状態にすると、耐熱ガラスの耐久度が落ちるので注意。


火を止めれば蒸気圧も止まり、自然と上から下へ、ロートからフラスコへと抽出されたコーヒーが落ちていきます。





コーヒーが全部フラスコへ溜まったら、ロートをはずし、再び火をつけてフラスコを温めます。


沸騰する手前で火を止め完成。あらかじめお湯などで温めたコーヒーカップへ注ぎます。召し上がれ!

サイフォンの欠点
と、ドリップに比べて見栄えと味のあるサイフォンですが、難点も。
- 部品が多く、それぞれがデリケートでそれなりに高価。
- 布製フィルターの衛生問題。
- 片付けが面倒
- 1杯にかかる手間が多い。
思いつくのはこれくらいでしょうか。
コスパとかタイパの逆を行く器具なので、扱いづらさは否めません。
しかし、だからこそ時間をかけてゆったりとコーヒーを楽しみたい方向けの道具であり、価値のある存在だと当店は考えて、これからも使い続けていきたいと考えています。